I

Illusion
"Out of the Mist" ('77) + "Illusion" ('78)
オリジナルRenaissance組の再結成バンドIllusionの2in1 CD。Jim McCartyと共に首謀者の一人だったKeith Relfは感電死のため他界。グループは暗礁に乗り上げることなく、逆にその意思を貫き、活動を始める。メンバーにJohn Knightsbridge(g 元Hug)とEddie McNeil(ds)を補充し、Jim McCartyはヴォーカルとアコースティックギターを担当。よりフットワークの軽い環境を整える。オープニングナンバーの"Isadora"のJane RelfとJim McCartyのハーモニーにJohn Hawkenの気高いピアノやキャッチーな"Roads to Freedom"、ハードなギターソロをフィーチャーしている"Solo Flight"と多彩な表情を見せる。極めつけはオリジナルRenaissanceの2nd"Illusion"に収録されていた"Face of Yesterday"の再録だろうか。盟友Paul Samwell-Smithをプロデューサーに迎えた2ndでは冒頭の"Madonna Blue"の美しさに息を飲む。唯一Jane Relfが作曲に加わったのはLouis Cennamoとの"Louis' Theme"。そして初期に作られた曲なのだろうと予想される"Man of Miracles"にはKeith Relfの名前もクレジットされている。丁寧に感情を歌い上げるJane Relfの歌声は絶品。1st、2ndともに大切な作品である。  
Iona
"Journey into the Morn" ('96)
多分に漏れず、私もRobert Fripp参加を知って聴き始めたグループ。Joanne Hogg(vo)、Dave Bainbridge(g)、Troy Donockley(whistle等)が中心となるアイリッシュ・ロック・バンド。その他にもBill BrufordのEarthworksにいたTim Harries(b)、Terl Bryant(ds)がこの時のバンドメンバー。その他にもClannadのMaire Brennanもヴォーカルで参加。言葉を非常に大切に紡ぐJoanne Hoggの声やアイリッシュ・トラッドを中心とする豊かな音楽性は多くの人たちを惹きつける魅力を持っている。オープニングにゲール語で始まる"Bi-Se I Mo Shuil Part1"から自身の出自を明確にし続くように名曲"Irish Day"へと雪崩れ込む。そんな中、まるでNYダウンタウンビートのようなクールなリズムを持つ"Everything Changes"のようなトラックを用意しているのが、このグループの懐の深さかもしれない。大作"Encircling"では一部David Adamによる"The Eye of the Eagle"からの引用がある。この作品は後にDave BainbridgeとDavid Fitzeraldによって06年にCD化されているので、そちらもIonaファンならば要チェックかもしれない。Robert Frippは"The Search"、"Divine Presence"にFrippertronicsで参加。最後に18世紀にIsaac Wattsによって書かれた賛美歌"When I Survey"(The Wonderous Cross)で締め括られている。どこまでも広がるような美しさを持つアルバム。
Iron Maiden "The Number of the Beast" ('82) Iron Maidenの3rdにしてBruce Dickinson(vo 元Samson)が加入してから初めてのアルバム。特に映画「オーメン」から着想を得た表題曲から"Run to the Hills"への流れはいつ聴いても圧巻。またTVドラマ「プリズナーNo.6」からの"The Prisoner"、1stアルバムの"Charlotte the Harlott"の続編"22, Acacia Avenue"、ドラマティックな"Children of the Damned"はジョン・ウィンダムの小説(邦題「呪われた村」)から映画化された話をベースにしている。こういった小説などに歌詞のインスピレーションを求めるところは如何にもな感じがする(Steve HarrisのGenesis好きは有名)。Steve Harrisの独特なサウンドを持つランニング・ベースやドラマティックな曲想はこのバンドならではであった。特に"Children of the Damned"やアルバム最後を締め括る"Hallowed Be Thy Name"の構成はヘヴィーメタルという音楽を端的に表した好例といえるだろう。因みに当時私の周囲は圧倒的にPaul Di'Anno派が多く、このアルバムをしてIron Maidenは終わった、という声は本当に多かった。

 

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M.E.

 

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