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The Beatles
"Magical Mystery Tour" ('67)
Beatlesについて何かを書こうなんざ、百万年早い私ではありますが、お目汚しお許しくださいませ。ってな感じで書き出してみた。ともあれ、たかがポップミュージック。矢鱈と敷居が高く感じることが多いThe Beatles。だから、これ。ジャケットからして楽しそうじゃないですか?ユーモアとかって言うと、また英国風とか、そういうのが出てくるから。ファンです。Fun。おバカな着ぐるみ着て、星が飛び散るジャケット。最初に出てくる"Magical Mystery Tour"の歌詞の言葉は"Roll up!"(さぁさぁ、寄ってらっしゃい)ってぐらい、人を選ばないアルバムなんだから。このCDでは前半6曲は同名映画より、後半5曲はシングルで発表されたものからのセレクション。"I am the Walrus"もLarry Fast(Synergy)がこの曲のオープニングでみんなメロトロンを発見し、僕の人生はガラリと変わった、と言っていた"Strawberry Fields Forever"も、"Penny Lane"も、と盛り沢山。Funだよ、Fun。
Jeff Beck
"Blow by Blow" ('75)
その顔立ちのせいか、Jeff Beckのプレイには猫科の持つ「しなやか」さみたいなイメージがある。ヒョウとかピューマとか、そういった動物的な「しなやか」さ。今作は曲間を空けずに、立て続けに怒涛のように演奏されていく。冒頭の"You Know What I Mean"からして、ファンク色が強いのはPhil Chenn(b)とRichard Bailey(ds)のリズム隊よりもさらにMax Middletonのキーボードだったりもする。Beatlesナンバーの"She's a Woman"はレゲエ調に仕上がっている。トーキング・モジュレーターもクールな仕上がりに一役買っている。唯一Jeff Beck一人で書き上げた曲"Constipated Duck"はファンク色の強いバックの演奏にそれこそJeff Beckらしい「しなやか」で奔放なソロが聴ける。シリアスなジャズロック"Air Blower"は肌理の細かいドラムワークが素晴らしい。流れるように続くのが代表作とも言える"Scatterbrain"。George Martinプロデュースの本領発揮だろうか。Mahavishunuなんでしょうね、やっぱり。Roy Buchananに捧げる、とあるStevie Wonderの"Cause We've Ended as Lovers"はモロ。美しいメロディーが切ない美曲。これに対するMax Middletonの返歌がCozy Powellのアルバムに収められている"The Loner"だと思う。続いてもStevie Wonder作の"Thelonius"。TheloniusというのはやっぱりMonkなんだろうね?きっと。そして、Max Middleton作の"Freeway Jam"でもメロディアスなソロと激しいインタープレイ、特にMax Middletonのプレイが素晴らしい。最後はBrian Holland作の"Diamond Dust"。こちらは再びGeorge Martinの壮大なストリングスを取り入れた8分もある一大叙情詩の趣を持つ傑作。1ロックギタリストが時代と共に歩んだ全編インストのアルバムはこうして後のロック・プレイヤー達を刺激していった。
Il Balletto di Bronzo "YS" ('72) このアルバム・タイトルの読みが判らない、というのも困ったものである。私の日本盤の帯には「イプシロン・エッセ」とあるが、現在は「イス」で通っているようだ。メンバーはVito Manzari(b)、Gianchi Stringa(ds)、Lino Ajello(g)、Gianni Leone(vo、organ、piano、mellotron、moog、spinette(小型ハープシーコード)、celeste)からなる2ndアルバム。ジャケットのインナーを見るとそこには何かしらのストーリーがあるのに気がつくが、これがフランス・ブルターニュ地方に纏わる伝説の都市「イス」の「ダユー」をモチーフにしているのか否かは知らない(ライナーを読むとそれらしい感じはするけど…)。Gianni Leoneの現代音楽的な時にノイジーで時にクラシカルなサウンドが全編に渡って、その狂乱と混沌の世界を描いている。ヘヴィネス、という意味では優にメタルを凌駕するサウンド。"Epilogo"で聴けるピアノ・プレイの叙情性に息を呑む。ボーナストラックとして収められているちょっとポップな感じのシングル"La Tua Casa Comoda"と"Donna Vittoria"はGianne LeoneとGianchi Stringaだけで製作された模様。

 

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M.E.

 

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