A

Atoll
"Tertio" ('78)
仏産プログレッシブ・ロックバンド、Christian Beya率いるAtollの3rd。「夢魔」の邦題で知られる2ndの方が有名なのかもしれないが、個人的には圧倒的にこちら。Yesのようなテクニカルな構築美でもってして、ぐいぐいと聞き手を引っ張る。ジャケットの緑のグラデーションを使ったアートワークも狙ったか?Andre Balzerが「パリーッッ!」と叫ぶ"Paris C'est Fini(パリは燃えているか)"は同名映画さながらの緊張感をもたらす。続く静から万華鏡のような動、そして静へと戻る"Les Dieux Meme..."は間違いなく名曲。そして、極めつけは最後の"Tunnel Part1"、"Tunnel Part2"。テクニックから来る緊張感を曲という枠組みの中で昇華し切った逸品。
Jon Anderson
"Deseo" ('94)
Jon AndersonがWindham Hillレコードと画策した南米ミュージシャンとのコラボレーションを収めた作品。ブラジルの声とまで評されたMilton Nascinmento(Amor Real)をはじめ、ウルグアイの大御所Ruben Rada(Seasons)、プエルトリコのGlen Monroig(Cafe)、女優としても活躍するチリ出身のValentina Vargas(Midnight Dancing)やメキシコ出身のCecilia Toussaint(Deseo)等が参加。プリミティブなビートにYesや特にAnderson Bruford Wake Howeで培ったシンフォニックなサウンドとの融合が見事にマッチした作品。Opio Reedamと命名されたバンドのAaron Serfaty(ベネズエラ出身)をはじめとするパーカッション陣、アシスタント・コンポーザーとしてもクレジットされているベースのEduardo del Signore(ウルグアイ出身)、キーボード奏者Otmaro Ruiz(ベネズエラ出身)と南米出身者で揃えているほどの熱の入れよう。特筆すべきはアルバム殆どに渡って、素晴らしいギターを披露するFreddy Ramos(ベネズエラ出身)の活躍に圧倒される。”Cafe”のみJorge Laboy(プエルトリコ出身のジャズギタリスト)の繊細なギターが堪能出来る。圧巻は表題曲だろう。この曲において、Jon Andersonミュージックは一つの頂点を極めた、と言っても過言でもない。ジャケットと同じく、ここには瑞々しくも美しい音楽が詰まっている。また、Deep Forestなどが挙ってリミックスを手がけ、クラブシーンでの反応も良かった記憶がある。
Daevid Allen and Kramer "Who's Afraid?" ('92) Shimmy Discの首領Kramer(b、g、key、flute、vo)とGongのDaevid Allen(g、vo)とのコラボ作。パーカッションにDavid Light(Klezmatics)。Gongは滅法疎い私ではあるが、このアルバムだけは愛聴盤。どこかノスタルジックで、ポップ。素朴な味わいがある。Beatlesぽい"Thinking Thoughts"、シンフォニックなインスト"Love"、単調なヴォーカルが呪術的な"Who's Afraid?"、英国フォークあたりを思わせるパーカッション、フルート、アコースティック・ギターが印象的な"Shadow"、疾走感のあるスペーシーな"Bopera III"、ヴィブラっぽいサウンドのキーボードが鳴る、ちょっとジャジーな"Pretty Teacher"、Daevid AllenとKramerのしっとりとしたヴォーカルにピアノの伴奏のみという"Song for Robert"、アラビック風なパーカッションを持つ"More & More"等々とまるでおもちゃ箱をひっくり返したかのような面白さがある。

 

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M.E.

 

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