Ginger Baker
頭が生姜色していたから、Gingerというニックネームが付いたそうな。Jack Bruceのところでも同じ事を書いたけど…。Creamの一ドラマー?をいをい!?ですよ。でもCreamも勿論書きますよ、ここに。
Cream / Blind Faith
Cream "Fresh Cream" ('66) | Graham Bond Organizationでは、ステージで取っ組み合いをも演じた事があるJack BruceとGinger Baker。そのGinger Bakerが当時既にそのポジションを確立していたEric Claptonにバンド結成を持ちかけると、Eric Claptonはそんな二人の仲を知らずにベースはJack Bruceで、と提案する。Ginger BakerはJack Bruceの所へ車で趣き、Eric Claptonが君とだったら、バンドを結成しても良い、と話した、という事からCreamの結成に到ったらしい。この頃のEric Claptonは曲を書く事よりもプレイそのものに重きを置いていたように見える。事実、この1stでも曲は書いておらず、ブルーズカバーが("Spoonful"、"Rollin' and Tumblin'"、"I'm So Glad")3曲。トラッド曲が ("Cat's Squirrel"、"Four Until Late")2曲。その他はJack Bruce&Pete Brownの曲などがメイン。"The Coffee Song"は後にHeads、Hands&FeetのTony ColtonとRay Smithによる曲。"Toad"はGinger Bakerのドラムをメインに据えた曲。主にヴォーカルはJack Bruceが取るが、"Four Until Late"はEric Claptonによるもの。既にこのデビューアルバムでは、ブルーズロックなんていう小さな枠に収まりきらない、卓越したミュージシャンシップを存分に発揮させた3人の姿がある。当時からライブでは、延々とソロを回しながら1曲に何十分もかけていたらしいが、そんなライブで、Creamの地位が今日あるようなポジションに来たとは思えない。それは、正にこういったスタジオ盤の曲の良さに他ならないはず。 | |
Cream "Disraeli Gears" ('67) | ジャケットを見ても判るように時代に即し呼応してサイケデリックな作風となったのか、それとも、このプロデューサーとの出会いが結果として今作のような作風を作り上げたのか。個人的に後者に思える。この2作目ではNYでセッションプレイヤーとして、またアレンジャーとして活躍していたFelix Pappalardiをプロデューサーに起用。Felix Pappalardiは元々大学でクラシックを専攻、学ぶ。その資質をここで開花した感もある。冒頭の前作でも見られた特徴的なハーモニーを配した"Strange Brew"はEric Clapton、Felix Pappalardiとその奥方Gail Collinsによる曲。名曲と誉れ高い"Sunshine of Your Love"の印象的なEric ClaptonのリフにJack Bruceの声のマッチが良い。この曲では、ちょっと照れながらヴォーカルを入れてるように聴こえるEric Claptonの声が、また何とも良い。"World of Pain"は、Felix PappalardiとGail Collinsの曲。また、Felix Pappalardiはクレジットこそないものの、あちこちに色々な音を入れているのみたいだ。続いて、激しい即興やでかい音のライブといった評判の多いCreamの中にあって、静の世界を描ききった"Dance the Night Away"の世界が素晴らしい。Jack Bruceの声が女性的に聴こえる。Ginger Bakerによる"Blue Condition"は牧歌的なナンバー。今作の特徴の一つにEric Claptonの創作意欲がある。前作までストイックなまでのプレイヤーという印象だったのが、今作ではミュージシャンとして作曲に目覚めたようだ。冒頭曲を始め、"Tales of Brave Ulysses"は今作のイラストレーターを務めたMartin Sharpとの共作になっている。"Outside Woman Blues"はBlind Joe Reynoldsのカバーで"Mother's Lament"はトラッド曲。 | |
Cream "Wheels of Fire" ('68) | 前作と打って変わって、サイケデリックなんだけど、カラフルではなく、シルバーのジャケットを使った3rd。中身はスタジオ盤とFillmoreでのライブを収めた盤の2枚組。スタジオ盤の冒頭はCreamの代表曲としてあまりにも有名なJack Bruce/Pete Brown作の"White Room"。そして、古くは20年代ぐらいから歌われてきたブルーズ"Sitting on Top of the World"。今作ではGinger BakerはピアニストMike Taylorと組んで曲を提供しており、疾走感溢れる中間部が印象的な"Passing the Time"がその一つ。そして、Jack Bruceがアコースティックギターとチェロで、美しい旋律を奏でるBealesライクな"As You Said"。Jack Bruceがリコーダーを披露する"Pressed Rat and Warthog"はGinger Bakerの台詞のようなヴォーカルが乗る。未だにその歌詞が十分に通用してしまう、何とも皮肉な"Politician"から再びGinger Baker/Mike Taylor作の"Those were the Days"ではFelix Pappalardiのハンドベルの音が印象的。Booker T & the MG'sの"Born under the Bad Sign"を経て"Deserted Cities of the Heart"へと繋がる。ライブ盤では、遂にRobert Johnsonの名曲"Crossroad"がお目見えする(Eric ClaptonとJack BruceはPowerhoseセッションで録音経験有り)。本来、この"Crossroad"は相当長かったらしいのだが、プロデューサーでもあるFelix Pappalardiがバッサリとやって、濃密な4分間にした、という話もある。"Spoonful"と"Toad"はしっかりと16分収録されてますが…。ともあれ、まずは、その熱いステージの噂だけで、その模様はベールに包まれていたという当時の状況を考えれば、このライブ盤にどれだけ度胆を抜かされたことか。想像に難くない。 | |
Cream "Goodbye" ('69) | 結局元々犬猿の仲だったGinger BakerとJack Bruceの間柄は修復されることもなく、仲介役だったEric ClaptonはCreamの活動に疲れきってしまった、という。68年秋に、Creamはフェアーウェルツアーを行い、今作は最終作として69年1月に発表された。冒頭3曲の"I'm So Glad"、"Politician"、"Sitting on Top of the World"は68年10月に行われたLAフォーラムでのライブからの録音。"Badge"は盟友George HarrisonとEric Claptonの曲。George HarrisonもL'Angelo Misterioso(ミステリアスな天使)というクレジットでリズムギターで参加。また、Creamのアルバムで初めてメロトロンがFelix Pappalardiの手によって演奏されている。このアルバムではスタジオ全4曲中3曲でメロトロンが使われている。内ジャケットを広げてみると、そこには墓石が7つ。それぞれの墓石に曲名が刻まれているが、最後の"Anyone for Tennis"のみ曲名が石に刻まれておらず、奇怪なピエロのような顔のレリーフのようなものが付けられていて、R.I.P.と書かれた帯の花輪が墓石に立てかけてある。なんなんだろう?? | |
Blind Faith "Blind Faith" ('69) | 「スーパー・ジャイアンツ」の邦題の方がインパクトが強い感じがする。その邦題が示すようなメンバーが集まった。既に、デビュー当時から、本場米R&Bシンガーよりも上手くR&Bが歌える男として、The Spencer Davis Groupから出てきた16歳の少年はTrafficを解散させたばかりだった。Eric ClaptonもCreamでそのキャリアをより強力なものにした。この2人が再び何かをやろうとしたの必然であろう。それ以前はPowerhose Sessionで一度音を残している。当初、Creamを解散させたばかりのEric Claptonは元バンドメイトのGinger Bakerを呼ぶつもりはなかったらしい(これにはJack Bruceと交わした約束があって、もしも、この3人の内誰かと誰かが再び一緒にプレイするなら、必ず3人で演ろう、というもの)が、Steve Winwoodがバンドの音をより強力にするのにGinger Bakerがどうしても必要、と要請したようだ。ここにツアー途中でFamilyを離脱したRick Grechが加わり、Blind Faithが出来上がった。冒頭曲"Had to Cry Today"で、Creamサウンドを再現したかのようなEric Claptonのギターに伸びのある素晴らしい喉を披露するSteve Winwood、そして躍動感リズム隊が活躍する。そして名曲"Can't Find My Way Home"のバンジョーっぽい音から入るEric Claptonのプレイが光る。そして、Buddy Hollyのカバー"Well...All Right"を挟みEric Claptonの書いた"Presence of the Lord"にR&Bやゴスペル等への憧憬を強く感じる。現実逃避ソングで秀逸な"Sea of Joy"。最後のGinger Bakerによる"Do what You Like"の最後には4人のソロ回しをフィーチャー。ジャケットは米盤CD。内側にあの有名なヌードジャケ。あんまり意味がないように思えるけど。 |
Others
Billy Preston "That's the Way God Planned It" ('69) | Beatlesの"Get Back Session"にも参加したテキサス出身のキーボード・プレイヤー。68年9月Ray CharlesのバックバンドのメンバーとしてライブしたところをGeorge Harrisonの目に止まったアップル・レコードと契約。本作はBilly Prestonが既にレコーディングしていた3曲(Wayne Schulerプロデュース)にGeorge Harrisonがプロデュースした表題曲を含む7曲から構成されている。アルバムに詳しいクレジットはないもののライナーによるとその7曲にEric Clapton(g)、Keith Richards(b)、Klaus Voormann(b)と共にGinger Baker(ds)が参加しているよう。Bob Dylanの"She Belongs to Me"とブルーズの父と呼ばれるW.C.Handyのスローブルーズ"Morning Star"のカヴァーを含む。Billy Prestonのゴスペル風オルガンとソウルフルなヴォーカルのコンビネーションが素晴らしい。圧巻はやはり名曲である表題曲だろう。Doris TroyとMadeline Bellのバックヴォーカルの貢献も聞き逃せない。91年のCD化に際しボーナストラックにRay CharlesプロデュースによるSly & the Family StoneのSylvester Stewartとの共作曲"As I Get Older"等が収められる。紛れもない名盤中の名盤。 | |
Fela & the Africa 70 with Ginger Baker "Why Black Man Dey Suffer......" ('71) | Fela KutiとThe Africa 70'sの最初期のアルバムと呼ばれる本作はGinger BakerもFela Kutiと共に共同プロデュースで関わった作品。Ginger Bakerと名手Tony Allenの両者がドラムを叩いているが、どちらがどうなっているのかはちょっと不明。その他はIgo Chico(sax)、Tonny Njoke(trumpet)、Fela Ransome Kuti(el.p)となっている。"Why Black Man Dey Suffer"(15:09)と"Ikoyi Mentality Versus Mushin mentality"(13:01)の2曲からなる本作はアフリカの苦悩を表しているかのように聴こえる。オープニングで聴けるFelaの語りのようなヴォーカルやコーラスは現在のヒップホップの源と言えるだろう。ここに一つのポップミュージックの偉大な奔流を見る思いがする。抑圧されたかのような抑えたグルーヴも、らしい。そして、その抑圧から逃げるかのようにかき鳴るホーン。上流階級が住むIkoyiと低所得層が住むMushinのメンタリティから痛烈に自国の上流階級を皮肉る歌詞をハードでありながら、どこか悲哀を感じさせるブローに乗せて奏でる。インナーには当初EMIからリリースが予定されていたのが、拒否されAfrica Songsが後にリリースした旨があるが、アフリカの人々が鎖に繋がれ、資源とともに運ばれる様を描いたジャケットでは、それも納得。因みに本作がレコーディングされたArcスタジオはGinger Bakerがラゴスに建てたスタジオ。 | |
The Baker Gurvitz Army ('74) | どちらかというとThree Man Armyの発展系と捕らえるべき作品。稀代のメロディ・メイカーAdrian GurvitzのギターにPaul Gurvitzのベース、そして、バタバタなGinger Bakerのドラム。キーボードにJohn Norman Mitchell。Martyn FordとJohn Bellによるオーケストレーションをふんだんに取り入れたシンフォニック色の強いハードロック、というのがこの盤の正体。Ginger Bakerがいることによって、焦点がずれてしまう事が多いけど、間違えたらいけない。勿論"Memory Lane"のドラム・マッドネスに代表されるようにGinger Bakerをたっぷりとフィーチャーする事を忘れていないのは流石。"I Wanna Live Again"のようにオールディーズな雰囲気を纏った曲もある。バック・ヴォーカルにMadeline Bell、Rosetta Hightower(!!!)、Barry St.John、Lisa Strikeと名手揃いで失禁寸前となる。後半、LPで言うところのB面、"Mad Jack"ではGinger Bakerの語りをフィーチャーしたブルージーな色を持つ壮大なシンフォニック・ハードロックを展開する。この作品の双子の弟がThe Graeme Edge Bandの"Kick Off Your Muddy Boots"という事。 | |
Baker Gurvitz Army "Elysian Encounter" ('75) | 元SharksのMr.Snips(lead vo)と元Seventh WaveのPeter Lemer(key)を補充して発表された作品。オープニング・トラックはドラムから入るハードロック佳曲"People"。キーボードのPete LemerとAdrian Gurvitzのギターの絡みが素晴らしい。続く"The Key"はちょっとラテン・ロックっぽいフィーリングを持つファンキーな要素も持つ曲(Santanaの小型版って感じか?)。語りが入る"Time"はAdrian Gurvitzのリードヴォーカル。どこか、Derek and the Dominosにも通じるブルージーな曲。但し、当然ながら、あそこまでは誇りっぽくはない。続く"The Gambler"はシングルにもなったバラード。再びAdrian Gurvitzがヴォーカルを取る"Remember"の壮大な世界観は秀逸。ここでもPeter Lemerのキーボード・プレイが肝。最後にファンキーなノリを持つハードロック曲"The Hustler"で仕上げる。前作で聴かれたオーケストレーションを廃し、その代わり、ジャジーにもシンフォニックにもプレイ出来るPeter Lemerが上手くGinger Baker、Adrian & Paul Garvitzの世界とマッチしているのが特徴。 | |
Baker Gurvitz Army "Hearts on Fire" ('76) | Peter Lamerが抜け、代わりにAnn O'Dell(元Blue Mink、Chopyn)がピアノとハモンドで参加。その他にKen Freeman(セッション多数)がストリング・シンセで2曲、Brian Chatton(元Jackson Heights)がクラヴィネットとミニ・ムーグで"Smiling"に参加。ミッドテンポのヘヴィーなオープニングの表題曲に、軽快でBaker Gurvitz Armyらしいストリング・シンセのアレンジを持ったMr.Snipsが書いた"Neon Lights"、引き締まったハードロックを聴かせる"Flying in and out of Stardom"やMountainやJack Bruceっぽさを思い起こさせる"My Mind is Healing"などがある一方、Paul Gurvitzが書いたグルーヴィーな"Smiling"やThe Martyn Ford Orchestraの大仰なストリングを使ったバラード曲"Tracks of My Life"、ディスコテックな"Dancing the Night Away"などR&B的な要素を持った曲があったりと、非常に表情が豊かなアルバム。更に、Ann O'Dellのピアノが素晴らしいスロー・ブルーズの"Thirsty for the Blues"、そして最後の"Mystery"におけるAdrian Gurvitzのギター・プレイが白眉。 | |
Hawkwind "Levitation" ('80) | スペース・ロックの雄、Hawkwindの80年の作品。Dave Brock (vo、g、synth)、Huw Lloyd-Langton(g)、Harvey Bainbridge(b、vo)、Tim Blake(keys、synth)、Ginger Baker(ds)という布陣で収録された作品。何でもHuw Lloyd-Langton夫人がGinger Bakerのマネージメントを手掛けていた関係で実現したようだ。オープニングを飾る表題曲でも緻密なアレンジが施され、飽くことがない。特に後半Tim Blakeのキーボードもヴァイオリンを思わせるサウンドを入れたりと興味深い。またインスト"World of Tiers"では従来のHawkwindが持つスペース・ロック味にGinger Bakerの細かいドラムワークが合体して出来たような曲。そして、アナログで言う所のB面から"Prelude"から始まり"Who's gonna Win the War"を経て、タイトル通りのイメージを持つ"Space Chase"、そして一転してアコースティックギターを奏でる"The Fifth Second of Forever"という美しいオープニングを持つナンバーと佳曲が目白押し。但し、このコラボレーションは今作のみ、となってしまった。 | |
Nicky Skopelitis "Next to Nothing" ('89) | Nickey Skopelitis(g)、Ginger Baker(ds)、Bill Laswell(b)、Simon Shaheen(violin、oud)、Fred Frith(violin)、Aiyb Dieng(perc.)と言ったお馴染みのメンツが揃ったアルバム。オープニングの"Bad Blood"や"Shotgun News"といった曲ではGinger Bakerのバタバタ・ドラミングにスライドが埃っぽさを演出。"Black Eye"は中東風のヴァイオリンやフレーズが近くて遠い異国情緒を醸し出す。こういった中東風なフレーズがSimon Shaheenによるものだろうか?"Altai"は文字通りアルタイなのだろうが…バンジョーとヴァイオリン(というか、フィドルって感じ)を使ったもので、アメリカーナな雰囲気を持つ。全体的にレイドバックしたフィーリングに包まれたリラックスした感じのアルバム。唯一"Second Skin"の最後でアヴァンなギター・ノイズが切り込む場面がある。到る所でAiyb Diengのパーカッションが楽曲に彩りを加えているのも聴きどころだろう。 | |
Masters of Reality "Sunrise on the Sufferbus" ('93) | Chriss Goss(vo、g、key)率いるMasters of Realityの2nd。デビュー作からGooge(b)のみ残り、Ginger Baker(ds)を迎えて製作された。ゲストにJohn "J.R." Russo(harmonica)、Ron Jeffries(p)、Sineon Pillich(cello)、Daniel Rey(g)が参加。力強いブルーズ・ロックを主軸に多彩なアイディアを散りばめた様は正しく90年代型Creamと言えよう。オープニングからヘヴィでありつつもシャキっとしたドラミングを聴かせるGinger Baker(ここまで重く録音された作品も珍しいと思う)、時にJack Bruce臭い歌メロやヴォーカルを聴かせるChris Goss、"V.H.V."のようにバンド名の由来を意識させる重いベース・リフを延々と引き摺るように弾くGooge。1分にも満たない"Bicycle"や"Madonna"にBeatles的なエッセンスを嗅ぎ取ることが出来る。また"100 Years (of Tears on the Wind)"の壮大なサウンド(メロトロン?)も素晴らしい。そして、大爆笑ものは"T.U.S.A."だろうか?Ginger Bakerがドラムを叩きながら、「お前らアメリカ人は美味い紅茶の淹れ方も知らないから、オレが教えてやるよ」という歌詞(つまり、ティーUSA)。"Tilt-A-Whirl"の後半でもメロトロンらしきサウンドが聴こえる。"Gimmer Water"はCreamファン必聴ナンバー。Ginger Bakerが関わった作品の中でも最高傑作のひとつ。 | |
Andy Summers "Synaesthesia" ('95) | 共同プロデューサーにAndy Summersの作品を多く手掛けているDavid Hentschelを再度迎えたソロ名義で6作目。ドラムにGinger Baker("Monk Hangs Ten"のみGreg Bisonette)、ベースにJerry Watts(Wishful Thiking等)、キーボードに元Mahavishnu OrchestraのMitchell Forman。そして"Meshes of Afternoon"と"Umbrellas Over Java"に参加しているストリング・クァルテットというほぼバンド形態での録音となっている。ある種CMPというレーベルカラーに沿ったAndy Summersらしいギター・ロック作品。本来のAndy Summersの持つジャズ・フュージョン作品よりも多少ハードだが、メロディーやアイディアの豊かさは変わらず。スペーシーなサウンドに尺八っぽい音も聴こえる"Chocolate of the Desperate"、タイトル通りの雰囲気を持つ"Umbrellas Over Java"、また、"Invinsible Cities"から自身のプレイするピアノのみの"Synaesthesia"(心理学用語で共感覚という意味だそうで)への流れが素晴らしい。Andy Summersが最も所謂プログレッシブ・ロックに接近した作品かもしれない名作。 | |
Bob Wallis & His Storyville Jazzmen "1957" ('06) | Bob Wallis(tp、vo)率いるニューオリンズ・スタイルのバンド。57年5月にロンドンの77レーベルに吹き込んだ作品の復刻CDらしい。58年にThe Hugh Rainey All Star Band(Ginger Baker入り)として吹き込んだ10インチ・レコードが存在する。そして本セッションからも2曲("Collegiate"、"Winter Wonderland")収録されている。当時、セッションは12インチ・レコードに収めるだけの十分な楽曲を収録しており、その時のセッションを全て収めた、ということらしい。ラインナップはLes Wood(clt)、John Martimer(tbn)、Pete Gresham(p)、Hugh Rainey(banjo)、Stu Wimsey(b)、Ginger Baker(ds)という3管編成。"Old Kentucky Home"、"Eh La Bas"、"Doctor Jazz"、"Walking with the King"ではBob Wallisがサッチモ風のヴォーカルを聴かせる。 |
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