king's ax Ty Tabor



Ty Tabor

No ImageNaomi's Solar Pumpkin ('97)現在はTy Taborのサイトからダウンロード販売されている1stソロ($5.99で買えます)。元々は米国内のみメールオーダーにて受け付けていたもの。この中からオープニングの"Had to Move"は日本盤のみボーナストラックとして次作に収録、続けて"Her Palace"、"I Know Everything"、"Walk with My Love"、"Hollow Eyes"、"Live in Your House"、"Without You"と7曲目までの楽曲が2ndソロに収録されている。それ以外の3曲"Boy to Man"、"Wouldn't You like to Be"、アコースティックの弾き語りのような"That's All"はここでしか聴けないトラック。
Moonflower Lane ('98)Metal Bladeから出されたオフィシャルリリース第1弾。このアルバムに呼ばれたのが弟分達であるThe Galactic CowboysからAlan Doss(ds、organ)とWally Farkas(snake charmer;その名の通り蛇使いが使うような笛)にMonty ColvinにBen Huggins(back vo)。そしてAtomic OperaからはFrank Hart(cello)が参加。"Her Palace"ではTy Taborがオルガンとパーカッションも担当。さながらKing's Xファミリー大集合である。日本盤ボーナストラックである"Had to Move"を除く1stからの6曲は全て再録。オープニングからポジティブな歌詞で歌い上げる"I Do"からして、"I'm a Loser"的な歌詞世界とは違うTyの描きたかった世界観が見えてくる。Beatles的メロディー、ハーモニーに強い影響を受けたTyの捻りまくったポップワールドがここにある。バックはKing's Xほどではないにしても、それなりに重いが、そこはTy Taborワールド。全体的に明るい感じでまとまっている。"I Know Everything"ではお得意のシタールを使った音や最後のギターソロも、「らしい」。
Platypus "When Pus Comes to Shove" ('99)Ty TaborがDream TheaterのDerek Sherinian(key)、John Myung(b)そしてThe Dixie DregsやWingerで活躍したRod Morgenstein(ds)と組んだプロジェクト作の第1弾。いきなり、Derek Sherinianの疾走感溢れるハモンドで仰け反る"Standing in Line"は「おお、深紫」と好き者をがっちりと掴む。インスト"Rock Balls / Destination Unknown"はDream TheaterらしさやDixie Dregsっぽい瞬間や中盤の重いリフはKing's X印が聴こえる。それぞれのキャリア、出自を打ち出した曲と言える。"Platt Opus"(この歌詞のみTy Tabor、Derek Sherinian、Rod Morgensteinの共作。他は全てTy Taborによるもの)ではTy TaborのギターサウンドもちょっとDream Theater寄りかもしれない。Rod Morgensteinのテクニカルなプレイが大活躍な曲。"I'm with You"のオープニングやキーボードサウンドは「深紫」というより「虹」?って感じ。フュージョン寄りのインスト"Blue Plate Special"は大陸的な大らかさを感じさせる。静かな清流を思わせるインスト"Chimes"のピアノはRod Morgenstein。個人的にはDerek Sherinianの活躍が印象的なディスク。
Platypus "Ice Cylces" ('00)Ty Tabor、Derek Sherinian、John Myung、Rod Morgensteinによるプロジェクト第2弾。冒頭から前作よりもKing's Xばりのグルーヴにキャッチーなヴォーカルが乗る。そして続く"Better Left Unsaid"ではメロトロンやオルガンが曲のサウンドを決定付けている。"The Tower"では前作からの路線を踏襲するような曲。ここでTy Taborの声の向こうにIan Gillanの声が聞こえたら重症である。サバスリフを持つ重い"Cry"に美しいピアノが乗り、エフェクトをかけたヴォーカルハーモニーが曲にウネリを増幅させる。インド風味のオープニング"I Need You"では、トリッキーなRod Morgensteinのプレイも楽しめる(本当にこの人は!)。そしてどこかRushを思い起こさせるインスト"25"から、叙情的なサウンドスケープのオープニングの"Gone"を経て、最後に7つのセクションを持つインスト曲"Partial to the Bean"(10分ある)で大団円を迎える。Dream Theater的なアンサンブルから始まり、ギミックもあり、多様なサウンドで飽きさせない。あまりにも多彩な音楽性を持つため、とっ散らかった印象は否めないのは確か。但し、個々の曲の出来は秀逸。
Safety ('02)King's Xでも常にBeatles的な要素を表に出していたが、ソロ2作目となる今作では最もBeatles的なメロディーを前面に押し出した作風となったのではないだろうか。盟友Jerry Gaskillのドラムを担当。最後の"I don't Mind"にWally Farkasがギターで参加。本作では良質なメロディーを軸に、時に多少ヘヴィーなバッキングも入るが、その殆どはTy Taborらしい優しいサウンドに包まれている。その優しさもライナーにあるように苦難に満ちた製作過程があってのことなのかもしれない。本作は難産というよりは、単にTy Taborにしてみれば、落ち込んだ状況で出来る曲は暗い曲しか出てこなかった、という。3年という年月をかけて作られていく中、状況も変わり、ハッピーな曲も書けるようになり、今作はその両方からミックスして出来た、という。それを考えると、ガムシャラに色々なプロジェクトに首を突っ込んでいたのも何となく理解も出来るかもしれない…。因みに"True Zone"と"I don't Mind"でバックヴォーカルでクレジットされているChristian NesmithはThe MonkeesのMicheal Nesmithの息子。
The Jelly Jam "The Jelly Jam" ('02)詳しい理由などは知らないが、兎に角、Platypus-Derek Sherinianという編成で始まったThe Jelly Jam。Rod MorgensteinにしろJohn Myungにしろ、この人たちって、結局、歌物志向が強いんだな、と。但し、そうなると、Ty Taborのソロとの差別化が難しくなってしまうのも事実で。確かに所々、このリズムセクションならではの尖がったプレイというのは聞ける。聞けるが、それを売りにはしていない。あくまでも歌物勝負、といった趣。PlatypusよりはずっとKing's Xよりのグルーヴがあるし、歌もTy Taborのソロとそんなに変わった感じはしない。ある意味、何の狙いとかもなく、素直にこのトリオで音を出したらものを、そのままCDにした、という感じの盤。
Jughead "Jughead" ('02)PlatypusからThe Jelly Jamへ移行した際に抜けたDerek Sherinianがリズム隊にMatt、GreggのBissonette兄弟を引き連れてTy Taborと合流。結果、このJugheadとなった(何かややこしい…)。出てきた音は、モダンなパンキッシュな音を通過させたポップロック。到るところにBeatlesの影が見えるが、Ty Taborなら当然であろう。未聴なので不明だがGregg BissonetteもYellow SubmarineなジャケットのCD出していましたよね?実際、頭を過ぎったのはAvril Lavigneのような突き抜けた元気の良い音。他は、あまりこういうシーンに強くないので、例えが出てこないです。ただ、こういうシーンの音楽の向こうにも、やっぱりBeatlesの影響というのは本当に強いのだな、という再認識をしたりして…。"Waiting on the Son"と"Be like You"の共作者に名を連ねているThe Mustard Seedsとはリズム隊のBissonette兄弟がDoug Bossiというギタリストと93年に興したバンド。
The Jelly Jam "The Jelly Jam 2" ('04)Ty Tabor(g、vo)、John Myung(Dream Theater b)、Rod Morgenstein(Dixie Dregs等 ds)のトリオによる2nd。珍しくフェードインから始まるアルバム。心なしか前作よりも各プレイヤーのサウンドキャラクターが際立っているように思える。ただ、機材のせいかJohn MyungのサウンドがBilly Sheehanのそれに凄く良く似ているときがあるのは、やはり同じヤマハのベースだからだろうか?Beatlesに影響されたヴォーカルハーモニーにヘヴィーな音像という組合せはKing's Xの初期からずぅっと追求してきた音世界。ギターソロは、既にTy Taborならではの、正にシグネチャー・サウンドとでも呼べるソロを披露。シンプルながら、強烈なメッセージを持つ"Drop the Gun"や"Angel or Devil"の中間部の持つサウンドが素晴らしい。"You don't Need Me Anymore"はアコースティックギターによる、ある意味典型的なアメリカンロックスタイルの曲。ソロは別物なんだけど。Rod Morgensteinのプレイはいつも通りの素晴らしさ。この人、もっと活躍すべきドラマーなんだけど…。楽曲は全てバンド名義。歌詞、プロデュースがTy Tabor。
Ty Tabor Presents Rock Garden ('06)元Mind Body SouldのドラマーRandy St.Johnを迎えて製作された4thソロ。アルバム・タイトルに対して、非常にリラックスした雰囲気を持つアルバム。ある意味、Ty Tabor流レイド・バックとも言える。メロディ、サウンド、ソロと非常に素直にTy Tabor自身を反映したアルバムに仕上がっている。ミッドテンポの曲で占めており、そういう意味では地味かもしれない。それでも、"Stalker"の攻撃性、"Afraid"のリズムから続くKing's Xバリのグルーヴを持つ"Play"などがある一方、"Beautiful Sky"や"She's a Tree"といったTy Taborらしいメロディーを持つ曲と、Ty Taborの等身大の音楽性が楽しめるソロ・アルバム。最後の"Pretty Good"のすぐ後にお馴染みWally FarkasとTy Taborがアコギ、ShadowcastersのJames Henry(a/k/a Eddie Hash)がドブロを弾くブルーズを披露。後ろで吼える犬とか、どうしてこうもマッチするんだろう?
Xenuphobe "2.0 Electrolux" ('07)Ty TaborとWally Farkasによるサイケデリック・サウンドスケープ・アンビエント(?)・プロジェクト。1枚目はKing's Xの自主レーベル的な存在のMolkenからダウンロード販売されたプロジェクトの2作目。"Movement I"と"Movement II"に分けられている。Movement Iは全3曲。ヘヴィーなギターが鳴る中、東洋嗜好な音が散りばめられた、ある意味らしい作風。鳥の囀りが聴こえる中、ゆったりとしたギター、パーカッションが流れるサウンドスケープ作品の"Four Billion Years"、更に静謐さを増しながらも、どこかヘヴィーな音像が残る"Turiya"。Movement IIではEddie Hashが加わる。"Downing of Knowing"と"Twilight Time at the Place of Being"の2部構成の"The Likeness of where You've Been"は繊細なギターを中心に、後半、徐々に揺らぎが増していく。同様に"Sound Hole"と"The Gallant Fall from Sound"という2部構成を持つ"Expiration of Sound"は何か機械のようなノイズから電波のようなノイズ、そして水が流れるようなノイズ、へと変化していく様に何かしらの意図を感じる。
Balance ('08)Randy St. Johnのソリッドで切味の良いドラミングが印象的な疾走感のある"Money Mouth"から始まるTy Tabor名義では5枚目となるソロ・アルバム。随所にTy Taborらしいキャッチーなメロディーが満載のため、決して飽きが来ない。特に冒頭の"Money Mouth"、"Cause We Believed(Blame It)"と言った曲でがっちりと食い込んでくる。ノイジーなギターも非常にTy Taborらしい。"Angry Monster"、"Coma"、"I'm OK with You"と言ったシンプルな曲ではTy Taborがドラムも演奏。"Angry Monster"の後半のさサウンド・スケープで彩られた世界観は秀逸。"Thank God"ではエンジニアを務めたWally Farkasがギターを担当。"Coma"でAlan Dossがペダル・スティールを担当。作曲は全てTy Tabor。ソングライターとしてのTy Taborを目一杯楽しめるディスク。
Something's Coming ('10)Ty Tabor(vo、g、b、key)がRandy St.John(ds)を相方に迎えたソロ作。全編Ty Taborらしいポップで耳に馴染みやすいメロディーで多い尽くされている。このメロディーとノイジーなギターとの対比がTy Tabor作品の一つのトレードマークと言えよう。オープニング・トラックの"Free Yourself"ではRon "Bumblefoot" Thal(Guns' n' Roses)とJimi Hazel(24-7 Spyz)がギターソロで、Rick Skatore(24-7 Spyz)がベースで参加。"Fish Out of Water"の冒頭でのギターはFrank Falboによるもの。最後に収められている"She's Gone"はJohn "Clawhammer" Tabor(Ty Taborの父親らしい)のハーモニカ、ヴォーカルが聴けるブルーズ・ソング(作曲もJohn Tabor)。ドブロはWes Taborと、ファミリー・ビジネス的な仕上がりとなっている。広がりのあるサウンドがゾクゾクとさせる表題曲が特に素晴らしい。Ty Taborのサウンド、メロディーが好きなら必聴。


Others

Munetaka Higuchi with Dream Castle "Free World" ('97)Loudness等でその名を馳せたドラマー樋口 宗孝のソロ・アルバム第2弾。Ty Tabor(g)はオープニングの"Nuclear Foot"とエンディングの"Freeze Frame"で共作者としてもクレジットされている。前者ではBilly Sheehan(b)とPaulinho Da Costa(perc.)を従えへヴィでパワフルなプレイを聴かせる。後者では技巧派Stanley Clarkeをベースにテクニカルなプレイを繰り広げる。その他にも表題曲"Free World"でもベースにJeff Pilsonを相方に、モダン・へヴィネスな重く引きずるような曲、"Bell"では再びBilly Sheehanと組みアグレッシブでトリッキーなプレイを、"Mars"ではTony Franklinと組み陰鬱のあるスローな曲。更に、Jeff Pilson作の"What Cost War"では御代Ronnie James Dio(vo)とTracy G(g)が参加。Dio featuring Higuchiという編成。Steve Vai(作曲、g、b)と組んだ"Speed"はまさにその名の通りの曲。Terry Bozzio(ds)とのドラム・デュオを聴かせる"Macro Media"は壮大なキーボード(John Schreiner)も参加したフュージョン・タッチの楽曲。Billy Sheehanが書いたバラード曲"Tell Me True"はDon Dokkenがヴォーカルで参加。"Super Prime Mover"はStevie Salas(vo、g)、TM Stevens(b)にRichie Kotzenがコーラスで参加というグルーヴィーなロック・ナンバー。インナースリーブにはドラムの配置図などもあって興味深い。ドラマーというポジションから作られた非常に「らしい」アルバム。Ty Taborの特徴ある引っ掻くようなサウンドも堪能出来る。樋口宗孝は08年に永眠する。R.I.P.


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