Galactic Cowboys



Galactic Cowboys

"Galactic Cowboys" ('91)The Awful Truthで一緒だったMonty Colvin(b)とAlan Doss(ds)がBen Huggins(vo)とDane Sonnier(g)、Wally Farkas(g)をリクルートしてKing's Xと同じマネージメントに収まり弟分としてGeffenのDGCからデビュー。牛の咆哮一発、アルバムがブルースハープの音色にアコギからスラッシーなリフで始まる。基本はスラッシュメタルなんだけど、オープニングの"I'm not Amused"では、特にブルースハープが鳴るときにスピードダウンをしてSabbathリフが入るので、Black Sabbathの"Wizard"を思い出してしまう。ヴォーカルハーモニーはKing's Xと同じ手法で、メロディアスで4声のハーモニーを聴かせる。King's XほどBeatles的ではない。また、Dane Sonnierのギターは"My School"などでもグッとブルージーな音を奏でていて、当時の米国スラッシュ・シーンが意外にもブルーズからの影響が強かったのを改めて認識する。そして後半、"Sea of Tranquility"から始まるBlack Sabbathをベースにサイケでブルージーな多彩なサウンドが正にこのバンドの真骨頂と呼べるだろう。スライドまで出てくる所がテキサス出身らしさか?
"Space in Your Face" ('93)同じラインナップで製作された2nd。冒頭のタイトルトラックはバキバキなリフに"Space in Your Face"と全員で雄叫びをあげ、中間でブルージーなソロを挟む2分にも満たないトラック。相変わらず疾走型リフにキャッチーなコーラスを聴かせる。一番顕著なのは"I Do What I Do"あたりかもしれない。ザクザクと切り込むリフから一転して叙情的なセクションから往年のコーラス・グループさえ思い起こさせるハーモニーを聴かせる、という多彩な面を持つ曲。Beatlesというよりは、やっぱりKing's Xなコーラスが曲の中心となる"Blind"や疾走感が気持ち良い"No Problems"など全9曲とクレジットされているが…9曲目が終わった5分後ぐらいにまず"Ranch on Mars"なる前作から漏れた曲と更にこの曲が終わった9分後ぐらいに"Still Life of Peace"が収録されている。当時はこういう形の隠トラック的なものが結構流行った記憶もある。シタール的な響きが鳴る東洋嗜好を持ったトラック。
"Machine Fish" ('96)Danne Sonnierが離脱し、Metal Bladeと契約した1枚目。オープニングの"Feel the Rage"に代表されるように基本的にスラッシーでパンキッシュな(最近知ったのだけど、Monty CovlinはRamonesのDee Dee Ramoneの甥っ子だそうで)勢いのある生々しいサウンドになっている。得意のヴォーカル・ハーモニーも以前よりも多少わざと荒削りにしている場面が多く聴ける。それでも、"Easy to Love"のようなバラード調の曲ではビートリーなコーラスをしっかりと決めているのは流石。そして、本作の目玉は7分強と最も長い"Psychotic Companion"。へヴィーで引き摺るようなリフからサイケデリックなサウンドも聴けるトラックに仕上がっている。そして、最後を飾るヘヴィーなロッカ・バラード"Arrow"の世界観はこのバンドの力量がどれほどのものかを知らしめるのに格好のトラック。実は結構聴き所のある秀作。
"Feel the Rage" ('96)同年10月に発売されたEP。タイトル・トラックは前作のオープニング・トラックでもある"Feel the Rage"。やはり、勢いのある曲が、このグループの代表曲とレーベル側も見たのだろう。7分を超える新曲"Paradigm Shift"はヘヴィーなリフが曲を引っ張っていく。そして、続くKissの"I Want You"とWingsの"Junior's Farm"のカヴァーは、非常に生々しく仕上がっている。こういったハーモニーが生きる曲は得意中の得意だろう。そして、"Machine Fish"収録の"Idle Minds"と"9th of June"のヒューストンでのライブという構成。最後に隠しトラックの”Grandmother’s Coffin”というカントリーっぽい曲が入ってる。
The Horse that Bud Bought ('97)遊園地の嬌声から始まる"Tilt-A-Whirl"(遊園地によくある乗り物の1つ)のヘヴィーな音像から一転して"Evil Twin"ではGalactic Cowboysらしいキャッチーなコーラスが印象的なノリの良い曲が来る。そして、アルバム・タイトルが歌詞に含まれている"Oregon"はMonty Colvinの実話らしく、両親がカルト教団へ入信する際にオレゴンへ引っ越して入団の模様を歌詞にしたそうだ(怖いってば)。その時、馬を団に贈ったようで、それがアルバム・タイトルとなったようだ。"Ribbon"の後半で聴けるギターソロはちょっと興味深い。Pink Floydのような浮遊感に初期King Crimsonで聴けるようなメロディーを組合わせたような感じ。アコースティック・パートの導入部からヘヴィーな展開を持つGalactic Cowboysらしさがしっかりと刻まれている"Mona Lisa"も印象的。"Breakthrough"や"Media Slant"、"I can't Wait"といったファスト・チューンもお手の物だろう。曲数の多さから全体像がぼやけがちだが、1曲1曲の粒は良い、結構良質な作品だと思う。
At the End of the Day ('98)まずは、各曲を網羅し、またキャリアを総括するかのようなイラスト・ジャケットにちょっとだけドキっとする。オープニングの"Nothing to Say"はシングル・カットもされた疾走感溢れるGalactic Cowboysらしい曲。ハーモニカを入れてあるのも、ニヤリとさせる。ミッドテンポのヘヴィーでありながら、綺麗なビートリーなコーラスを入れた"Ants"は初期King's Xにも通じるものがある。4曲目の"Where do I Sign?"から10曲目の"How does It Feel?"までThe Machine Fish Suiteと呼ばれる組曲で構成されており、曲間を省いて一気に聴かせる。この組曲、どうやらバンドの歴史を振り返った内容になっているようだ。"Where do I Sign?"はその名の通りに契約するシーンを描いており、そして、パンキッシュでキャッチーな強力なナンバー"Puppet Show"、コーラスが印象的な"Mr.Magnet"、Alan Dossのドラムがグイグイと聴くものを引き込む"Never Understand"、そして、2ndに収められていた"Ranch on Mars"の続編"Ranch on Mars - Part2 (Set Me Free)"からサイケっぽいワウを使ったギターが印象的な"How does It Feel?"で大団円を迎えるこの組曲は、まず間違いなくマネージャーを皮肉った内容なのだろう。最後の"Through"はリード・ヴォーカルはこのアルバムを発表した後バンドからの離脱を表明したAlan Dossによるもの。その歌詞はラヴ・ソングでもあり、既にその心を決めていたようにも聴こえる。この後に来る"At the End of the Day"はうっすらと響くサウンド・スケープによる曲。個人的には決して外せない名盤。
Let It Go ('00)アルバム発表前に解散を表明していたラスト・アルバム。Ben Huggins(vo)、Monty Colvin(vo、b)、Wally Farkas(vo、g、b、ds)にKing's XのJerry Gaskillが殆どのトラックでドラムを叩いている。Alan Dossは"Another Hill"でコーラスを付けて、レコーディングを手伝った程度。"Internalize"という曲ではNano Jonesというドラマーがヘルプに入っている。アイディアのみの断片的なサウンドが入っていたりと、作品としては中途半端な印象も拭えないが、最後に全部詰め込んでしまえ!的な怒りも感じる。それでも、基本的にGalactic Cowboysらしい勢いのあるキャッチーな楽曲が揃えられているのも確か。特に冒頭の"T.I.M"、"A Different Way"、"Life and Times"の3連発や続く"Flag"、"Disney's Spinnin'"、"Hey Mr."の勢いも素晴らしい。あちこちに配されたSEなども、このバンドらしいユーモアでもある。10分を超える"Swimming in December"は冒頭2分以上はSEのイントロ。勢いだけのスラッシーな"Internalize"がある一方サウンドスケープの"Song for Sybo"と断片的なアイディアはあれこれとあるのに、それをまとめるのに一苦労している印象。


The Awful Truth

The Awful Truth ('89) David Von Ohlerking(g、vo)、Monty Colvin(b、vo)、Alan Doss(ds、vo)のトリオ編成のバンド。メロディアスなヴォーカル・ハーモニーなどからKing's Xを思い出すのは簡単ではあるが、The Awful TruthにはKing's Xが持つようなグルーヴはない。ある意味もっと欧州的で複雑な楽曲が多い。ある意味、現在でいうところのプログ・メタルというジャンルに近いかもしれない。"Higher"と"Drwoning Man"はトリオによる楽曲でその他は全てDavid Von Ohlerkingによる楽曲。ヴォーカルは決してシャウターではなく、囁き系ではあるので、楽曲に勢いが殺がれてしまっている部分がなきにしもあらずなのだが、それが逆にこのバンドの特徴となり良い部分となっている。多彩な表情を見せる"Circle"、ベースリフが曲を引っ張る"Ghost of Heaven"、そして、エンディングに相応しいバラード調の壮大な"Mary"などがこの盤の最大の魅力だろうか。プロデュースはお馴染みSam Taylor。因みに07年、David Von OhlerkingはThe Awful TruthをSonnier兄弟と組んでライブを行ったが、これがパーマネントな活動にはならないとは思う(確か画家としての活動もあるはず)。


King's X

Top



inserted by FC2 system