Dixie Dregs

Dixie Dregs

結成は70年にDixie GritsとしてSteve MorseとAndy Westを中心に活動を開始。Steve Morseはマイアミ大学で音楽を学ぶため一旦解散した後、同大学でAllen Sloanと出会い、Andy Westはジョージア大学で音楽理論などを学んでいた。75年にRod Morgensteinを迎えて1stアルバム"The Great Spectaculer"を製作(97年にCD化され再発)。76年にCapricornと契約。



Freefall ('77)Rod Morgenstein(ds)、Andy West(b)、Allen Sloan(ele.violin、viola、strings)、Steve Morse(g)、Steve Davidowski(synth、key)によるジャズ・フュージョン・バンドの1st。米国南部産らしく、ヴィオリンのサウンドはクラシックのみならず、カントリーやブルーグラスからの影響も聴こえるのが特徴だろうか。"Cosmopolitan Traveler"のオープニングを聴くとKansasなどとルーツを同じくしていることが判る。代表曲"Cruise Control"のソロ回しやその前の小曲"Sleep"のテープの逆回転っぽいサウンドなど使い古された手法とはいえ工夫が凝らされている。"Wages of Weirdness"の後半のジャジーなピアノ・ソロも秀逸。そして、矢張り圧巻は締め括りのSteve MorseとAllen Sloanのアコースティック・デュオ"Northern Lights"の肌理の細かいサウンドだろう。多くのルーツを持ちながら、他では聴かれない音楽性までに高めた表現力は素晴らしい。全曲Steve Morseの作曲による。
What If ('78)キーボードがMark Parrishに代わっての2nd。前作よりも一つ一つのサウンドの持つ緊張感、存在感が格段と増している名盤。オープニングの"Take It off the Top"は長い間BBCラジオの"Friday Rock Show"のテーマ曲に使われていたそう。ライブの定番でノリの良い勢いのあるメロディアスな曲。クラシカルなヴァイオリンをイントロに置き、緊張感のあるダークな曲調の"Odyssey"はクラシカルなセクションを持ち欧州的な薫りを演出する曲。同様にムーディーな雰囲気を纏った表題曲からAndy West作の"Travel Tunes"は、タイトル通り、ハードで緊張感の高いオープニングから東洋的なメロディーをメインにしたセクションから、レゲエ調なリズムを持つセクションへと変化していく様はユーモラスでさえある。ファンキーなオープニングからシリアスなジャズ・ロックへと転じる"Ice Cakes"、そしてヴィオリンとアコースティック・ギターによるクラシカルな曲"Little Kids"、Dixieの名の通りのウェスタン・カントリーな"Gina Lola Breakdown"から流麗なフュージョン・タイプの"Night Meets Light"で締め括られる。
Night of the Living Dregs ('79)所謂LPで言うところのA面がスタジオ作でB面が78年7月に出演したモントルー・ジャズ・フェスティバルからのライブ音源で構成されている。A面のスタジオ作では今まで必ず入っていたウェスタン・カントリー色を払拭しているのが特徴だろうか。冒頭の"Punk Sandwich"からハードなジャズ・フュージョン作が聴ける。Rod Morgensteinの多彩なパーカッションのサウンドからメンバーそれぞれの見せ場を持っている"Country House Shuffle"("The Great Spectacular"にも同名曲があるが、同じ曲だろうか?)。そして今作のハイライトの一つがAllen SloanとSteve Morseのクラシカルなアコースティック・デュオの"The Riff Raff"なのは間違いないだろう。Mark Parrishのピアノのイントロに続いて始まる"Long Slow Distance"と美しい曲が続く。ライブ・サイドでは表題曲となっている"Night of the Living Dregs"からバカみたいにスピーディーで目まぐるしいファスト・カントリー・チューン"The Bash"(観客の歓声が凄い)、そして"Leprechuan Promenade"(この曲も同名曲が"The Great Spectacular"にある)、"Patchwork"と多彩なサウンドを持つ曲が並ぶ。ライブを収録したことで、バンドの持つポテンシャルをよりオーディエンスにアピールする事が出来た強力なアルバム。
Dregs of the Earth ('80)ジャケットは日本盤紙ジャケから。何故かThe Dregs名義になっている。本作ではキーボードがMark ParrishからT.Lavitzへとチェンジしている。豪快なフュージョン・ナンバー"Road Expense"から冒頭が矢鱈とテクニカルなカントリー・チューン"Pride O'the Farm"、ブルージーなエレクトリック・ヴァイオリンが泣かせるツアーマネージャーに捧げられた"Twiggs Approved"、そして"The Great Spectacular"(同名の1stアルバムからの曲だろう)が披露される。圧巻は矢張り9分にも及ぶ"I'm Freaking Out"だろう。ジャジーなピアノがスピーディーにシフトアップしていきながら、オルガンやシンセが鳴り始める。スペーシーな音空間を広げていきながら、シンフォニックなテクニカル・ロックの様相を強めていく、というDixie Dregsの魅力をたっぷりと詰め込んだ曲。最後にエレガントなクラシカルなアコースティック・ギターとヴァイオリンの"Old World"で締め括られる(こういう曲もDixie Dregsにはなくてはいけない要素だろう)。プロデュースに本作からSteve Morse本人が担当する。
The Dregs "Unsung Heroes" ('81)バンド名の簡略化はバンドをより良く知ってもらいたい、という事かららしい。スピーディーなオープニングを飾るフュージョン・チューン"Cruise Control"(この曲はDream Theaterが"A Change of Seasons"でメドレーに入れていたので、馴染みがある人は多いかもしれない)に薄味ながらカントリー色を持たせた"I'll Just Pick"、東洋的なヴァイオリン・メロディーが印象的な"Day 444"、"Rock & Roll Park"ではT Lavitzはサックスも披露。荒野を疾走するが如くAllen Sloanのヴァイオリンが活躍する"Attila the Hun"、そして最後の"Go for Baroque"はお約束のタイトル通りの曲で締められている。聴き易さ、という点では本作が一番かもしれない。
The Dregs "Industrial Standard" ('82)Yesで名を挙げたEddy Offordを共同プロデューサーに迎え、初のヴォーカル・ナンバーを配した、バンド随一のバラエティを誇る作品。ヴァイオリンがカントリー畑で活躍していたMark O'Connorにチェンジしている。"Crank It Up"ではBrian AugerやSantanaとの共演で知られるAlex Ligertwood(vo)が、"Ridin' High"ではThe Doobie BrothersのPatrick Simmons(vo)が歌詞を含めて提供している。"Crank It Up"はアップで勢いのあるキャッチーで聴き易い作品である一方、"Ridin' High"はファンク色を出した意欲作。またEddy Offord繋がりでYesのSteve Howeが"Up in the Air"で参加。クラシカルなギターの競演を聴かせる。オープニング・ナンバーの"Assembly Line"はThe Dregsらしいスピーディーなインスト曲。特にAndy West(b)のウネリがあるプレイが素晴らしい。"Bloodsucking Leeches"のヘヴィネスや"Where's Dixie?"のようなお得意のカントリーチューン、"Conversation Piece"の持つクラシカルで重厚な作風とThe Dregsに期待されているものもしっかりと詰め込まれている。
Full Circle ('94)再編Dixie Dregs。ベースにT Lavitzとの共演を通じてDave LaRue、ヴァイオリンに元Mahavishnu OrchestraのJerry Goodmanが参加。スタジオ盤では初となるカヴァー"Shapes of Things"(Yardbirds)を含む。Rod Morgensteinのドラムから始まる"Calcutta"、軽妙でスウィングするロックンロール・チューン"Goin' to Town"、Jerry Goodmanのヴィオリンが印象的な"Pompous Circumstances"、クラシックっぽい雰囲気を持たせた"Yeolde"などDixie Dregsらしいヴァラエティーに富んだ作風。各曲、スピーディーで展開が多いところもらしい。アメリカからしか出て来れないサウンド。


Steve Morse / Steve Morse Band

Steve Morse Band "Introduction" ('84)Steve Morse(g、organ、synth)、Rod Morgenstein(ds、synth)、Jerry Peek(b)というトリオのデビュー盤。Steve Morseらしい超絶プレイが随所で聴ける盤となっている。オープニングを飾る"Cruise Missile"はタイトル通りの疾走感を持つSteve Morseらしい曲。"General Lee"ではAlbert Lee(g)が、Dixie Dregs時代から演奏しているカントリー・ロック風なナンバーを披露している。"The Whistle"ではRod MorgensteinのシンセをバックにSteve Morseのギターをしっとりと聴かせる。"Mountain Waltz"ではT.Lavitz(p)が参加。こちらもDixie Dregs時代を彷彿させるようなナンバー。最後は"Dark Water"、"Water under the Bridge"、"Toxic Shuffle"の3部からなる"Huron River Blues"で締め括られている。
Steve Morse Band "Stand Up" ('85)前作と同じラインナップに本作ではゲストを多く擁し、ヴォーカル曲が計4曲ある。冒頭の"Book of Dreams"ではポップ・ロック・バンドThe ProducersのVan Temple(vo)、表題曲の"Stand Up"(ギターにPeter Framptonを迎えている)ではBrian Auger's Oblivion ExpressやSantanaで有名なAlex Ligertwood(vo)と言った実力派ヴォーカリストを迎えている。その他に"Rockin' Guitars"では前作にもゲスト参加したAlbert Leeがギターとヴォーカルで参加。本作でもカントリー・ロック風のナンバーを披露している。続く"Distant Star"ではEric Johnsonがギター、ヴォーカルで参加。そのキャッチーな歌声と対照的なギターフレーズを紡いでいる。これらヴォーカル曲は基本的にポップ・ロック路線でラジオ・フレンドリーで聴きやすい曲になっている。"Pick Your Position"ではMark O'Connorがヴァイオリンで、アルバム最後の"Unity Gain"ではT.Lavitzがピアノで参加。前者はカントリー風、後者はクラシカル風要素を持たせ、どちらもDixie Dregsを思わせるナンバー。
Steve Morse "High Tension Wires" ('89)ソロ名義としては初のアルバム。ギタリストSteve Morseに焦点が当たると思いきや、コンポーザーSteve Morseに焦点を当てたアルバムとなっている。スリリングなギターよりは耳に優しいメロディーを中心にサウンドを構築しているところにSteve Morseらしさが出ているように思える。オープニング"Ghostwind"はDixie DregsのAllen Sloan(violin)とのデュオ曲でしっとりと聴かせる。こういった曲をオープニングに持ってくるところにSteve Morseという人はメロディー派なんだな、と思わせる。Steve Morse BandにT.Lavitz(synth)を加えた"The Road Back Home"やそのものずばりの"Highland Wedding"はアイリッシュの香りさえ漂う。この"Highland Wedding"とアルバム最後を飾る"Modoc"の2曲はSteve Morse一人でトラックを仕上げている。Andy West(b)が参加した唯一のナンバーはDixie Dregsの"Night of the Living Dregs"からのセルフ・カヴァー"Leprechaun Promenade"はプログレッシブ・ロック・ナンバーといっても差し支えのないサウンド、展開を持つ曲。因みにLeprechaunとはアイルランドの妖精で地中にある宝のありかを知るとされている。"Tumeni Notes"はある種本作の中では異色な存在。クラシカルなファスト・ナンバー。タイトルは「too many notes」を捩ったらしい。Steve Morseという人柄がよく出たサウンドだと思う。


Flying Colors

Flying Colors ('12)同じマネージメントに所属するNeal Morse(key、vo)とSteve Morse(g)が一緒に曲を書き始め、そこにDixie Dregsの盟友Dave LaRue(b)とMike Portnoy(ds、vo)が合流。最後にAlpha RevのCasey McPherson(vo、g)がMike Portnoyの推薦によりバンドに加わりラインナップが完成する。特にMike Portnoyは発売前からラインナップから期待される(プログレっぽいであろうと思われる)サウンドに警鐘を鳴らし、ポップ・ロックを下敷きに質の高いミュージシャンシップを披露している旨をインターネットなどを通してプロモーションしていた。それでもメンバーの出自から足し算引き算をしながら想像していたオーディエンスの良い意味で期待を裏切るサウンドが完成された。オープニング・トラックの"Blue Ocean"のグルーヴは正にDixie Dregsのそれを継承するもの。後期Dixie Dregsでもヴォーカルを入れたナンバーを披露していたが、これは正にSteve MorseがDixie Dregs時代に模索したヴォーカル・ナンバーの一つの完成形だろう。そしてNeal Morseの持つシンフォニックなバックと歌メロをCasey McPhersonのブルージーな喉がなぞっていく様に聞き手をグイグイと引っ張っていく。ヘヴィなリフに導かれる"Shoulda Coulda Woulda"はそれこそDeep Purpleなどのクラシックロックの持つ風格を纏ったハードロック曲。"Kayla"のオープニングに挿入されたアコースティックギターによるクラシカルな小曲もSteve MorseがDixie Dregs時代から突き詰めてきた作風の一つ。Dixie Dregsファンは顔が緩みっぱなしだろう。それぐらいSteve Morseのギターが伸びやかに歌っている。バンド名"Flying Colors"は明らかにこの"The Storm"の歌詞から取られたのだろう。本作随一のリーダートラックに相応しいキャッチーなメロディーを持つハードロック。"Love is what I'm Waiting For"はBeatles、Queenのエッセンスをたっぷりと吸い込んだナンバー。後半のドQueenなコーラス、Brain Mayバリのギターワークには驚かされる。"All Falls Down"は雄壮なメタリックなナンバー。まるで欧州ヘヴィ・メタルを思わせる。"Fool in My Heart"はMike Portnoyがリード・ヴォーカルを取るバラード・ナンバー。カヴァー曲でのリード・ヴォーカルは披露したことがあるが、オリジナル・ナンバーでは本曲が初めてだろう。歌詞が歌詞だけにちょっと深読みが出来なくもない思わせぶりな部分も◎。12分にも及ぶ最後の"Infinite Fire"はまるでTransAtlanticの未発表曲のようなナンバー。これだけの強者が集まったアルバムであれば、ライブが俄然と楽しみになってくる。このメンバーでのDixie Dregsナンバーを入れたステージは是非見てみたいところ。


Kansas

Power ('86)Steve Walsh(vo、key)、Phil Ehart(ds)、Richard Williams(g)というオリジナル・メンバーにSteve Morse(g)とStreets時代のバンドメイトBilly Greer(b、vo)を加えて復活したKansasのMCA時代からの復帰1作目。殆どの曲がSteve WalshとSteve Morseの共作を中心とした作品となっている。Streetsでの音楽性やSteve Morse Bandでの流れからKansasがラジオ・フレンドリーなポップ・ロックへ移行したのも非常に自然な流れに聴こえる。その中でAndrew Powellアレンジ、指揮をしたAbbey Roadスタジオで収録したThe Philharmonia Orchestraを擁したシンフォニックな"Musicatto"からSteve Morseのアコースティック・ギターに導かれる"Taking in the View"の流れが白眉。また冒頭の"Silhouettes in Disguise"から"Power"への流れはハード・ロック・ヴォーカリストとしてのSteve Walshの声が堪能出来る作品。バラード"All I Wanted"はシングル・ヒットにもなった。最後の"Can't Cry Anymore"はVan Templeの名前がクレジットされていることからSteve Morse Bandで使う予定だった曲だったのだろう。
In the Spirit of Things ('88)前作の商業的失敗を受けて外部ソングライターによって書かれた曲("One Man, One Heart"、"Once ina Lifetime"、"Stand Beisde Me")をアルバム中盤に挟みながらも、1951年、Kansas州ネオショー・フォールズで起きた洪水をコンセプトに製作された作品。元々バンドはKansasの寂れた街をコンセプトにしたアルバムを作りたい、とずっと思っていた所、Daniel Fitzgeraldの本をRichard Williamsが見つけたところからストーリーが展開した(Daniel Fitzgeraldは本作のバックグラウンド・リサーチ/アシスタントとしてクレジットされている)。プロデューサーにBob Ezrinを起用したのも、コンセプト作に強いという理由からだろう。ストーリーは破壊された街の様子を描いた"Ghosts"から始まる。本作では"One Big Sky"(Howard Kleinfeld/Michael Dan Ehmigの曲にSteve WalshとBob Ezrin、Phil Ehartが歌詞を付け足したもの)に代表されるようにクワイヤー(教会合唱隊)を使ったビッグなコーラスの多用が目立ち、大仰さを増している。Mark Spiro/Dan Huffによるキャッチーなハードロック"One Man, One Heart"(Terry Brockがバックヴォーカルで参加)、Steve Morseのギター・プレイが光る"House on Fire"。Antonina Armato、Dennis Morgan、Albert Hammondによる"Once in a Lifetime"はストリングス系シンセが活躍する叙情的なナンバー。Marc Jordan、Bruce Gaitschによる"Stand Beside Me"を挟んで後半へと進む。オルガン系の音を使用した"The Preacher"から"Rainmaker"への流れが本作のハイライトだろう。間奏部はあたかも洪水が押し寄せてくる様が聴こえる。インスト"T.O.Witcher"はDixie Dregsのカヴァー(1st"The Great Spectacular"より)。Storm Thorgersonによるジャケット、アートワーク、歌詞、音楽性などコンセプトを持つが故に非常に映像的でドラマティックに仕上げている。裏名盤。


King's X

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