voice of x Doug Pinnick

Doug Pinnick

Poundhound
"Massive Grooves from the Electric Church of Psychofunkadelic Grungelism Rock Music" ('98)
バンド名義ではあるが、実質Dougがドラム以外全ての音を入れたソロアルバム。ドラマーには盟友Jerry Gaskillの他、Chad Lyons(06年現在、The Sonnier Bros.Bandに在籍)、Shannon Larkin(元Wrathchild America、Souls at Zero、Ugly Kid Joe等)の3人を迎えて製作された。音は正にタイトルが示す通りのもの。アルバムタイトルをコールするだけの21秒のオープニングトラック"Rev"(このRevは、ReverendのRevじゃないかな?)から怒涛のグルーヴが流れ出す。奇しくも同時期に出されたTyとDougのソロを聞き比べれば、誰がKing's Xのヘヴィーグルーヴ担当かは明白だろう。Sabbathリフを使ったグランジーな部分も多く、Ty Taborとは違ったサイケ色をも併せ持つ。ソウルやゴスペルからの影響も本作ではしっかりと刻まれている。"BlindEye"を除く全ての曲はDoug Pinnickによる作曲。問題はその"BlindEye"だ。共作者にSlyことSylvester Stewartを迎えている。これにはひっくり返ったね。
Poundhound
"Pineappleskunk" ('01)
今作ではドラムにJerry Gaskillのみを起用。その他は全てDoug Pinnickのみで製作されたPoundhound名義の2nd。前作よりもグッと都会的なクールなグルーヴを感じる。どんなにハードでヘヴィーでも、熱くなり切らないのが本作の特徴。"Mind"で聴かれるようなグルーヴは都会的でギトギトした油っこい感じを持つ。決して小奇麗なサウンドではない。鋭利な刃物のような切れを持つ"Jumpin"にDoug Pinnickの本質を聴く思いがする。呪術的なリズムがプリミティブなグルーヴを産む"Oh My Soul"。ドゥーム・メタルのような重さを持つ"Pineapple"。一転して東洋風の奇妙なサウンドを持つ"Wrong Address"(何となく判る気もする…)からDoug Pinnick流ブルーズと言える"Higher"、King's Xタイプに一番近い"She"、"Someone"と癒しを求めるように近づいて行く様に心を動かされる。そして"Eventime"の力強さで最後を締め括る。Jimi Hendrixが聴こえる。非常にリアルな作品だと感じる。因みにMetal Blade独盤には"Live Bootleg Video"のヴィデオ・ファイルを収めたボーナス・ディスク付きがある。
Dug Pinnick
"Emotional Animal" ('05)
Magna Cartaから出されたソロ名義1作目。作曲、プロデュース、演奏の殆どをDugが手がける。ドラムには盟友Jerry Gaskill。ゲストにKelly Watsonがマウス・トランペットとヴォーカルで"Freak the Funk Out"に参加。冒頭からグルーヴのある"Crashing"から始まる。後ろではスクラッチ・ノイズも聴こえるように、都会的なフィーリングがある。重いリフに導かれる"Beautiful"やバラード調の"Change"ではKing's X的なフィーリングも用意されている。そして、"Noon"ではPink Floyd的な音空間の広がりが印象的。全編で聴かれるJerry Gaskillの抜けの良いドラムはKing's Xとは違った生っぽいサウンドが特徴だろうか。"Equal Rights"では熱いスライド・プレイまで飛び出す始末。またソウルフルなコーラスを持つグルーヴィーな"Are You gonna Come"の特徴のあるギター・サウンドも聴き逃せないだろう。Dug PinnickがKing's Xではあまり出来ることがない、ソロに相応しいプレイがたっぷりと聴ける。
Dug Pinnick
"Strum Sum Up" ('07)
Magna Cartaから出されたDug Pinnick名義のソロ第2弾。Substance Dというグループからミキシング・エンジニアを経たMichael Parninをプロデューサーに迎えている。お馴染みWally Farkas(g、perc.)を相棒にKellii Scott(ds 元Failure?)が殆どのトラックでドラムを担当。その他にはMiles Lorettaが3曲、Ray Luzier(Army of Anyone)が1曲でドラムを担当。David Henning(b、元Big Wreck)が殆どのトラックでベースを任されているのも特徴だろう。Alain Johannes(Eagles of Death Metal)とSteve Stevensが1曲づつリードでゲスト参加している。そういったバンド編成を意識した本作は、古き良きロックのあり方を再認識させてくれるアルバムとなった。まず、Pt.2が付いている"Perfect World"、"Dynomite"、"Life is what You Make It"、"Cross It"では、そのPt.2でジャミングを続けるという70'sハードロックのライブのような生々しさを持っている。特にオープニング・ナンバーの"Perfect World"や往年のKing's X本家を少し思い出させる”Life is what You Make It”のキャッチーさは素晴らしい。そして、続くPt.2は全て1発録り。曲のテーマを軸に展開されるジャムに興奮される。そして、お得意の10分にも及ぶナスティーなファンク・ロック"Coming Over"も用意されている。本作こそ、これぞDug Pinnickという作品に仕上がっている。ジャケットの妖しさも◎。
Supershine ('00)Doug Pinnick(b、vo)が元TroubleのBruce Franklin(g、vo)と組んだプロジェクト。ドラムにはJerry Gaskillと元TroubleのJeff Olsonの二人を起用。ハモンド・オルガンにThe Galactic CowboysからWally Farkas。プロジェクト名やこのグループを代表するカヴァー曲が暴走列車の異名を持つGrand Funk Railroadの"Shinin' On"ということから、へヴィーグルーヴを持ち合わせた古き良きクラシック・ロック・タイプとも取れる。どの曲でも懐かしい雰囲気を持っており、思わず体や首が揺れ、拳が天を突く。Deep Purpleの"Smoke on the Water"を思い切りスローダウンさせたかのような"Kingdom Come"、Sabbathっぽいリフからキャッチーな歌メロを持つ"I can't Help You"や"Automatic"、サイケデリックなオープニングを持つ"Won't Drag Me Down"と佳曲が目白押し。カヴァーの"Shinin' On"以外は全てBruce FranklinとDoug Pinnickの手による楽曲で占められる。
The Mob
"The Mob" ('05)
Kip Winger(b、プロデューサー)が盟友Reb Beach(g)、Timothy Drury(key)、元Night RangerのKelly Keagy(ds)というメンバーを揃えてDoug Pinnick(vo)を迎えたプロジェクト(?)作。ギターインスト曲である"Guitar Solo"(そのものズバリ過ぎだな…)と"Spaghetti Western"以外は全てKip Winger、Reb Beach、Doug Pinnickによる共作曲で占める。"One Track Mind"の前のスタジオでの会話が「Well, first of all, what track you guys...」ってちょっとくだらない駄洒落が聴こえるのを無視して、オープニングのギターリフからして「ヲヲヲ、Wingerだ」となる。一聴して、Wingerタイプの楽曲にDoug Pinnickがヴォーカルを乗せただけ、という印象を持ったが、聴き込むとそれ以上のものが聴こえる。基本的に、Wingerの2ndと3rdを結ぶミッシングリンクを埋める感じもする。Timothy Druryのキーボードは一歩間違うとダサいところへ落ちてしまうところを上手くサウンドをコントロールしているのはプロデューサーとしてのKip Wingerの手腕か。"Wait"のグルーヴはKing's X的というかPearl Jam辺りにも通じる。バラードの"The Magic"はKelly Keagyがヴォーカルを取る。Night Rangerファンにはノスタルジーに涙するだろう。"I will Follow"や"Turn to Stone"のReb Beachの緊張感のあるサウンドやヴォーカル・ハーモニーが秀逸。このアルバム、楽曲の良さに加え、特にReb BeachとDoug Pinnickの魅力がぎっしり詰まった素晴らしいアルバムである。
Razr13 ('09)King's Xのセキュリティを長年担当しているBig Bald Mike(g)、Dug Pinnickのベース・テックとして働いているRyan 13(Ryan Cook)、Jerry Gaskillのドラム・テックとして働いているChris "JRAB" Thomasからなるバンドに、その音源を聴いたDug Pinnickがヴォーカルを提供することになりRazr13が結成された。グランジを通過したモダンなメタル・サウンドを主軸とする。サウンドはKing's Xに近いもののKing's Xほどグルーヴはない。エフェクトをたっぷりとかけたDug Pinnickの咆哮が入る"Comatose"から本作は幕を開ける。"Jekyll & Hyde"はヴォーカル・メロディーなどは初期King's Xに近いサウンド、グルーヴを持つ。続く"Alive"は本アルバムの中でハイライトの一つだろう。ハードロックの古典的なツインリードの導入部からザクザクと切り込むリフ。Dug Pinnickの力強い歌詞とヴォーカルが素晴らしい。ギターをたっぷりと吸い込んだヘヴィ・ロック佳曲。"Quicksand"はアコースティック・ギターによるブルーズ曲。"4th of July"はリズムがMetallicaの"Sad but True"っぽい。Dug Pinnickはここでもエフェクトをかけたシャウトを多用している。King's Xファンには必聴盤。
Tres Mts. ('11)Richard Stuverud(ds; The Fastbucks)、Jeff Ament(b; Pearl Jam)、dUg Pinncik(vo、g)をメインにMike McCready(g; Pearl Jam)が6曲で参加。Jeff Amentが初めてKing's Xのショーを見たのが89年で3年後にPearl Jamのオープナーを頼んだ事がある。そしてKing's Xの'04年のライブ盤"Live All Over the Place"でJimi Hendrixのカヴァーに参加しているJeff Amentのプレイが聴ける。dUg PinnickもJeff Amentのソロに参加したことがあり、このプロジェクトは当然の帰結と言えるだろう。ミキシングが終わって発売されたのが11年だが実際のレコーディングは04年にほぼ終わっていたらしい。dUg Pinnickらしいエフェクトをかけたヘヴィーなグルーヴを持つ"My Baby"から畳み掛けるように始まる。"Oh Lord!"や"God Tole Me"などソウル/R&Bフィーリングがたっぷりと吸い込んだナンバー、サイケ色が加味された"Makes Me Feel"とこのメンバーならではリラックスした中に醸し出されるグルーヴが素晴らしい。"Life"は"God Told Me"の続編っぽい感じで、歌詞などちょっとJohn Lennonっぽい感じを受ける。"Afrosheena"のオープニングのコーラスはKing's Xを思わせる。"She's My New Song"を歌えるシンガーはdUg Pinnick以外現在のロックシーンにはいないんじゃないだろうか?これぞ正にこのグループが目指すところのヘヴィR&Bだろう。最後に"She's My New Reprise"で戻ってくる。Pearl Jamのオフィシャル・ストアでCDを買うとデジタル・アルバムも付いておりiTunesストア・オンリーの音源が2曲付いてくる。


Others

Dream Theater "Falling into Infinity" ('97)こちらを参照してください。
Lance Lopez "Wall of Soul" ('04)テキサス州ダラス出身のJimi Hendrixスタイルのブルーズ・ギタリストの2ndアルバム。Daniel Williams(b)とJohn Garvin(ds)というソリッドなリズム隊を従えて製作されている。その上でJimi Hendrixに深く傾倒したLance Lopezのギターと声が乗る。カヴァーにRobin Trowerの"Shame the Devil"("For Earth Below"から)とJimi Hendrixの"Spanish Castle Magic"("Axis: Bold as Love"から)を選んでいるのも非常にらしい。特に前者はRobin Trowerチューンの中でも特にJimi Hendrix色が強いナンバー。ゲストにEric Gales(g、vo)が3曲で参加。Doug Pinnickがアルバム最後を飾る"Time"に参加。この"Time"だけが本作の中で異色と言えるナンバー。アコースティック・ギターで始まる広がりのある8分もの音世界はウネリを基調としたそれまでの曲とは一線を画する。中間部以降のアコースティック・ギターの使い方もどこかTy Taborを思わせる。隠しトラックにドブロを使ったナンバーが収められている。
Billy Sheehan "Holy Cow !" ('08)現在Niacinなどで活躍するBilly Sheehan名義での3rdアルバム。ドラムにShrapnel周辺で活動するセッション・ドラマーRay Luzierを迎えBilly Sheehanは本業のベースのみならず、ギター、ハーモニカ、ヴォーカルをこなす、という形。ベースはいつものBilly Sheehan印ががっちりと刻まれたもの。全12曲あるうちヴォーカル曲が8曲。意外と(失礼!)ヴォーカル面でも健闘しており、時折John Sykesあたりの声を思わせる。ゲスト・ギタリストに盟友Paul Gilbertが"Dynamic Exhilarator"(インスト)、"A Lit'l Bit'l Do It to 'Ya Ev'ry Time"でZZ TopのBilly Gibbons、"Two People can Keep a Secret"がSimone Sello(サンレモ音楽祭でギターを4年間弾いていたプロデューサー/セッション・プレイヤー)が参加。そしてDug Pinnickは"Turning Point"でリード・ヴォーカルを担当。存在感が全く違う。この後にまだヴォーカル曲を残したのは構成としてはまずかった気がする。曲構成は、決して無理に難解なことをさせずに歌物としてヴォーカルを載せることを念頭に作られた形跡が聴かれるのに好感が持てる。日本盤には"Swimming Underwater"がボーナス・トラックとして収録されている。良質なハードロック・アルバムなのは間違いない。
Steve Stevens "Memory Crash" ('08)Magna CartaからリリースされたSteve Stevens個人名義では2作目となるソロ・アルバム。ドラムにBrian Tichyを迎え、Robin Trowerのカヴァー(これは意外だった)"Day of the Eagle"で一聴してそれとわかるグルーヴを叩きつけるDoug Pinnickがベースとヴォーカルで参加。その他は全てSteve Stevensがこなしている。Brian Mayバリのギター・オーケストレーションからを配した"Heavy Horizon"から幕を開ける。ノリの良い"Hellcats Take the Highway"は中間部のキーボードがThe Whoの"Baba O'Riley"を思わせ、その後のドラムもKeith Moonっぽい荒々しい凶暴なもの。表題曲では流石に流麗なギターを聴かせる。"Water on Ares"はアコースティック・ギターを前面に押し出した作風。"Small Arms Fire"は得意のフラメンコ調のギターからヘヴィーなサウンドへと移行する。"Cherry Vanilla"は都会的な洗練されたグルーヴを持つサウンド。David Lee Rothあたりにヴォーカルを入れさせると映えそうな曲。"Prime Mover"はまるでPink Floydへのオマージュのような作品。広がりのある音空間が心地良い"Josephine"。中間部からモロにYesなサウンドが出てくる。Steve Stevensという多彩なギタリストだからこそ、出せた個としてのカラーとレーベル・カラーをしっかりと意識し、上手く溶け込ませた作風となっている。
Jeff Ament "Tone" ('08)Pearl Jamなどで活躍するJeff Amentのソロ1作目。Jeff AmentはKing's Xの"Live All Over the Place"('04)でJimi Hendrixの"Manic Depression"で共演している。本作はドラマーThree Fishでも一緒だったRichard Stuverudをドラマーに迎え、その他のパートは全てJeff Ament自身が手掛けている。長い曲でも4分強というもので、コンパクトな曲が並ぶ。Doug Pinnickは"Doubting Thomasina"というオールディーズっぽいスローバラードにヴォーカルで参加。その他にも疾走感のある"Bulldozer"、デス声を使ったへヴィでサイケなサウンドを持つ"Relapse"、Pearl Jam的な大陸的な大らかさを持つ"Say Goodbye"などがある。"The Forest"はPearl Jamとして録音されながらEddie Vedderが歌入れをせずにそのままにしてあったのをJeff Amentがヴォーカルを入れて収録したもの。アルバム最後はドラムンベースなサウンドをベースにした"The Only Cloud in the Sky"で締めくくられている。基本はコンパクトな歌物が並ぶ作風なのだが、曲ごとにキャラクターをしっかりと持ったサウンドが鳴るのに好感が持てる。これが後にTres Mts.へと発展していく。


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