Atomic Opera



Atomic Opera

For Madmen Only ('94)Atomic OperaはFrank Hart(vo、g)を中心にJonathan Marshall(g)、Mark Poindexter(ds)、Jonas Velasco(b)から成る。マネージメントにSam Taylorが付き、このデビューアルバムでもプロデュースを行っている。デモを聴いたGiant Recordsから新興レーベルCollision Artを立ち上げたDerek Shulman(元Gentle Giant)と契約を結ぶ。オープニング・ナンバー"Joyride"から4声の爽やかなハーモニーから横揺れスラッシーなリフが切り刻む。Sabath的なムードを持つスローなヘヴィー・ナンバー"Achiles'Heel"の世界観は秀逸。そして、ヴォーカルのFrank HartのKlaus Meine声が炸裂するScropions的ナンバー”I Know Better”などもある。"War Drum"あたりはScorpionsの未発表曲といわれたら信じてしまいそうなくらい質は高いが、この曲には賛美歌「見よや、十字架」("Onward Christian Soldier")と「みなささげまつり」("I Surrender All")が挿入されているのも、そういった欧州的な雰囲気を更に高めているのかもしれない。"Blackness"はギターサウンドやグルーヴなどで、また最後に収められている"New Dreams"ではコーラスなどで兄貴分のKing’s Xの影響が見て取れる。本作発表後、レーベルが倒産してしまい、バンドは活動場を失い、一旦解散してしまう。
Penguin Dust ('97) Atomic Operaを解散させた後も、作曲を続けていたFrank Hartは、書き溜めた曲を発表するために再びAtomic Operaの名前を使うことに。その為にCCM界隈でソロ・ミュージシャンとして成功していたKemper Crabbをマンドリン、ヴォーカルで迎えFrank Hartもチェロを学びアコースティック・サウンドを以前よりも大胆に取り入れR.E.M.やLed Zeppelin的な風格を持つサウンドを取り込むことに成功している。それも、結局の所は曲そのものが成熟していたから、アレンジも磨けば磨くほど、素晴らしいものになったからだろう。1st時にあった、ハードロック色にアコースティック色を加えることで更に雄大で往年のサイケデリックなサウンドを作り上げている。Kemper CrabbがAtomic Opera前に参加していたCaedmon's CallからTodd Bragg(cymbal)、Garrett Buell(perc.)がDogwoodのカヴァー"Water Grave"(The Imperialsでのバージョンの方が有名だろうか)に参加。チェロの響きがサウンドに重みを加え、絡むようなコーラスも秀逸。最後の"Fever Dream"は後にFrank Hartの自主レーベル名となる曲。さながら代名詞ということだろうか。今作のプロダクションにはGalactic CowboysのAlan Dossがミキシングを、Ty Taborがマスタリングを担当。ファミリー総力戦。そしてそれに見合うだけの傑作がここに生まれる。
Alpha and Oranges ('99)ジャケットを見て判るように黙示録に出て来る「alpha and omega」をもじったタイトルだろう。つまり、「始まり」の意の通り、初期の89年から93年の間にレコーディングされた物の蔵出しアルバム。プロデュースはSam Taylor。Frank Hart(vo、lead g)以外はJonathan Marshall(rhythm g)、Mark Poindexter(ds)、Len Sonnier(b)、Jonas Velasco(b)が参加とある。"Joyride"あたりにアイディアが流用されていそうな"Rain Parade"から始まり、1stのアルバム・タイトルにもなっている"For Madman Only"のコーラスあたりはモロにKing's Xを思い起させる。2ndの"FeverDream"の原曲の"Feaverdream #1"は歌詞は同じようだが、ファストなスラッシュ・チューン。この変わりようは結構興味深い。中にはこちらが好きな向きもあるかもしれない。アコースティックな"Magic Castle"も2ndあたりにアイディアが使われていそうな佳曲。サウンドのクオリティーは(スタジオ盤としては)決して高いものでもないんだろうけど、曲の質が良いので、それを補うにありあまる。色々とアイディアが詰まっていそうで聴いていて興味深い。
Gospel Cola ('00)前作"Penguin Dust"のあまりの完成度の高さからMetal Bladeが契約をオファーしリリースされた3rd。Frank Hart(vo、g、cello)にマルチ・プレイヤーKemper Crabb(vo、mandolin、dulcimer、recorder、bouzouki、harmonica、ocarina)は変わらず。リズム隊にスティックも操るRyan Birsinger(b、stick、vo)、John Simmons(ds、perc.、vo)。ハモンド・オルガン、ローズにByron Roy、そしてパイプ・オルガン(Doxology)にAndy Bowenがゲスト参加。まずは、この多彩な使用楽器を見ても判るように、幅のあるサウンドを持つアルバムで、聴き手を飽きさせない。またメイン・ソングライターのFrank HartとKemper Crabbと分けることで、リードヴォーカルも楽曲に主に携わった方が担当しているようだ。"Reiah Discerns the Times"、"Malediction"、"The Circle is Closed"はKemper Crabbがヴォーカルを担当。70年代的なサイケ色はそのままにAtomic Operaらしい広がりのあるサウンドが印象的だ。歌詞のテーマは非常にクリスチャン的ではある。特にアルバム・タイトルにもなっているGospel Colaが出てくるオープニング・トラックの"Jesus Junk"や"Winterland"は直接的な表現が出てくる。リコーダーの響きが冒頭から心地よく鳴り、ヘヴィーでサイケデリックなグルーヴへと展開する様が素晴らしい"Melediction"、John Simmonsのドラムが楽曲をリードする、勢いのある"Muse"、"Love is as Strong as Death"はタイトル通り美しい情景を持つバラード調の曲。タイトルが意味するところはキリストの死のことでしょうね。壮大でプリミティブなダイナミズムを持つ"The Circle is Closed"の世界観は聴く者を圧倒する。初期のスピリットを持つ正にAtomic Operaらしい"Stop My Heart"と佳曲揃い。正に名盤"Angel Dust"をバンド形態のダイナミズムをもってして発展させた、という印象を受ける。


Frank Hart

Human Liturgy ('05)現在は本作を発表したFeverDreamレコードを率いての活動や教会の音楽ディレクターとしての一面なども持つFrank Hartの1stソロ。Frank Hartはヴォーカル、ギター、シタール、ベース、チェロ、ピアノ、パーカッションを担当。その他にJohnny Simmons(ds、perc.)、Trip Wamsley(b)、Mandy Campbell(viola、vo)、Maggie Fleetwood(cello、vo)、Kemper Crabb(vo、mandolin、dulcimer、recorder)、Stan Nelson(b)、Michael Selph(hammered dulcimer)、Emily Barker(piano)、Bart Postlewait( slide solo)、Rob Camper(perc.)が参加。編成を見て分かるように基本的にアコースティックだが、インド風な味付けも強く往年のLed Zeppelin的なサイケ感も強く、聴く者をグイグイと引っ張っていく。Frank Hartの声は時にStingやKip Wingerなどを連想させるハスキーなヴォーカル。反面"Little One"のような牧歌的で愛らしい曲も用意されている。鬼才Frank Hartを堪能するには打ってつけなアルバム。


King's X

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