Samla Mammas Manna





Samla Mammas Manna

Samla Mammas Manna ('70)Lasse Hollmer(p、organ、vo)、Lasse Krantz(b)、Hasse Bruniusson(ds、vo)、Henrik Oberg(perc)というギターレスの編成で収録されたデビュー作。オープニングからSamla節全開のオッペケペー、ホニャニャラ感(で判る人がいるのだろうか?)で好き嫌いが分かれるかもしれない。北欧トラッド、ジャズ、ロックのゴッタ煮ってところ。一枚全部聞き通すと、緻密でテクニカルなジャズロックの印象が濃く残る。一方でお茶目でユーモラスな側面も。ユーモアは大切です。メロディーなどもよく練られている印象。4、8、9、10がライブ録音かな?これがまた熱いんですね。01年、CD化に際してボートラ2曲追加収録(これもライブかな?)
Måltid ('73)Coste Apetrea(g)が加入しての2枚目。冒頭から10分にも及ぶ"Dundrets Frojder"から始まる。ジャズロック色を底辺に、お茶目なメロディーライン(正にサーカスかフェアーかヴォードヴィルか?)はトラッドからの影響だろうか?ヒスノイズを上げるパーカッション。バタバタとしているドラムが上物を構築していく。極めつけはトリの鳴き声か、それとも、どこぞかの芸人さんの雄叫び(チッキーショーとかって聴こえてきそうで怖い)にしか聴こえない、呪術的なヴォーカル。そんな中、気を吐くCoste Apetreaのギター。多様なスタイルを持っているが、特にブルージーに聞かせる瞬間はゾクッと来るものがある。91年のCD化の際にボートラ3曲追加。1stから"Circus Apparatha"とこのアルバムの為に行なわれた同じセッションから"Minareten II"と"Probably the Probably"が収められている。
Klossa Knapitatet ('74)裏ジャケットに見えるAmerika、スーパーサーカスの横断幕を屋根の上から覗き込むメンバーの写真がある意味、このアルバムをズバリと言い表しているのかもしれない。捻くれたジャジーなプレイ、Frank Zappa的なノベルティーみたいな人懐こいメロディー、正にサーカスを観ているかのような曲だったりと。"Small Dialectics"のシリアスなジャズ・ロックからアコースティックな小曲ながらバカみたいに速いプレイを挿入した"The Sign"。チャールズ・チャップリンの映画を思い起こさせる"Way Down a Rabbithole"はLars Hollmerのヤケッパチなヨーデル入り。タイトルが完全にギャグと化している"Come a Little Closer"、徐々に濃密なサウンドに移行するジャズ・ロックの権化からメロディアスな最後の落差が激しい"The Mousemilkingmachine"からモダン・ジャズのような混沌としたサウンドを持つ"Influences"。表題曲も1分23秒という波の音をバックにゲストのBrynn Settelsのアコーディオンが鳴る短い曲。Lars Hollmerの美しいピアノをバックに切り裂くように鳴り響くCoste Apetreaのギターで始まる"Frameless Nights"は正に圧巻。
Kaka ('99)Coste Apetrea(g)、Hans Bruniusson(ds)、Lars Hollmer(key)、Lars Krantz(b)というラインナップによる再結成盤。John Fiskeという進行役のような司会者がいきなりバンド名を噛むところから始まる(コメントが所々入るが、ギャグや辛辣なもの)。本作は93年から98年にかけて行われたライブ・レコーディングを元に製作された模様。Hans Bruniussonが担当のマリンバなどは後から足されたのではないだろうか?因みにミキシングにRoine Stoltがクレジットされている。緻密なアンサンブルに混沌と独特なセンス・オブ・ユーモアによって作り上げられる唯一無二の音世界。後半にタンゴの憂愁美が漂う"Lyckliga Titanic"、Samlaらしい緩いメロディーが満載な"Första Ikarien"、ブルージーなフィーリングが聴こえる"Andra Ikarien"、ヘヴィーなオープニングを持ち、圧巻のアンサンブルを聴かせる"Tredje Ikarien"の3部構成が素晴らしい。Samlaが持つユーモアやシリアスネスが同居した名盤。


Zamla Mammaz Manna

"The Mystery of Popular Music" ('77)Zに改名(発音は全く同じらしい)してからの1作目。本作は2枚組で1枚目がスタジオ盤"The Mystery of Popular Music"で、2枚目が76年から77年にかけて録音された即興を集めたライブ盤"For Older Beginners"となっている。本作からギターがEino Haapalaにチェンジ。一聴すると…出てくるのはノベルティ・ソング?といった趣。人懐こいメロディーに思わず頬が緩む呪術的なヴォーカル。聞き覚えのあるメロディーを持つオープニングの"At Ragunda"から奇天烈なバックヴォーカルが入っている"Seasonsong"(ヘリウム・ガスでも吸ったの?)。"Buttonless"とかヤバ過ぎるだろう?「退いた、退いた、退いた、出ろ、出ろ、出ろ」としか聴こえない(誰か空耳に送る?)。「みんなのうた」から聴こえてきそう。最後の17分に及ぶ"The Fate"は秀逸なジャズ・ロック・インスト作品。
"Family Cracks" ('80)一気に作風が変化したアルバム。今までのユーモラスな部分を最小に留め、シリアスである種攻撃的なものさえ感じる。そういう意味ではロック・ミュージックというフォーマットで考えると聴き易いものになったのかもしれない。それ故に本作を最高傑作とする向きもある。確かに"The Forge"の疾走感、"The Panting Short Story"のアンサンブル、本作ではHans Bruniussonはドイツでライブ録音された"Papa (with Right of Veto)"のみ参加で、フランスで録音されたライブ曲"The Thrall"を含むその他の曲はVilgot Hanssonがドラムを担当している。ライナーに今作は過渡期の中で製作され、その状況が作風に及ぼした影響も少なくない、とあるように、こういったメンバーチェンジなどの状況も音楽性の変化と関わりがあるのかもしれない。確かにこのバンドはユーモラスというキーワードが常にトップに来たバンドだったので、そのユーモラスという部分を取り払ったら、どうなるか、というの問いに応えた作品だろう。本作で一旦Zamla Mammaz Mannaはその幕を閉じることとなる。



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