Jakko M. Jakszyk

Jakko M. Jakszyk

The Bruised Romantic Glee Club ('06)21st Century Schizoid Bandの活動を経て発表された2枚組ソロ作。"Nowディスク"、"Thenディスク"とに分けられている。"Nowディスク"にはJakko M. Jakszykのオリジナル曲、"Thenディスク"にカバー曲を収録。今まで共演して来た数々のゲストを迎えて製作されている。Dizrhythmiaで共演経験を持つGavin Harrisonが殆どの曲でドラムを担当。管はMel Collins。ある種、Jakko M. Jakszykの持つ豊富なバックグラウンドを全て放り込んだかのような豊穣なサウンドがここに形成されている。インストを基本としたアルバムになると思っていた所、父親を亡くしたりと歌詞がドンドン出来上がって書かれたアルバム、とも語っている。インスト"Catley's Ashes"は21st Century Schizoid Band時代に書かれた曲でLevel42時代のMark Kingがベースを担当。アイリッシュ・テイストを持つ"When Peggy Came Home"から"Highgate Hill"へと繋がるこの曲は生母を探すというテーマに相応しい優しさに溢れた曲。続く "Forgiving"はRobert Frippとの共作/共演曲。Robert Frippの広がりのあるサウンドスケープは、ある種、菩薩的に聴こえる時がある…。"Love had softened all his features"はPeter Blegvadの"Not All Fathers"の歌詞より拝借したもの、との事。Gavin Harrisonのブラシワークが秀逸な"Doxy, Dali and Duchamp"ではDave Stewartがピアノ、Danny Thompsonがコントラバスという布陣。時にJakkoのこういったジャジーな曲ではStingっぽく聴こえる。"Thenディスク"ではSoft Machineの"As Long as He Lies Pefectly Still"にオリジナルパーツを挿入したもの。Hugh Hopper(b)、Dave Stewart(p、organ)、EggのClive Brooks(ds)にLevel42で共演経験を持つGary Barnacle(sax)という布陣。Dave Stewartのサウンドに震える。最初のKing Crimsonカバーは"Pictures of City"。Dizrhythmiaと同じサウンド形態で、"Pictures of an Indian City"となる。更にHenry Cowの"Nirvana for Mice"を挟み、名曲"Island"では故Ian Wallaceがドラムを担当。管は当然Mel Collins。Dave Stewartがピアノ、ハルモニウム、バスーンと大活躍。そして、再びHenry Cowの"The Citizen King"からJakko M. Jakszykが15才の時に録音した曲でアルバムは締めくくられている。ノスタルジー等という簡単な一言以上にJakko M. Jakszykの心情をきめ細かく表現した現在と過去を結ぶ素晴らしい作品だろう。
Waves Sweep the Sand ('09)"The Bruised Romantic Glee Club"のコンパニオンCDという位置付けがされている本作は"The Bruised Romantic Glee Club"から漏れた曲郡で構成されている。ファンタジー映画のオープニングを思わせる"Scarecrows"から"Aliens Lights in Iberian Skies"へと流れる。"Alien Lights in Iberian Skies"やGavin Harrison(ds)が参加した"Christmas in Krakow"、"Barnaby Naan"、Ian Wallace(ds)が参加した"Kevin Coster's Golf Course"はJakko M. Jakszykが作ろうとしたインスト・アルバムからピック・アップされている。"London Bridge"はBreadのカヴァーでJakko M. Jakszykは"David Gates in Whiley Bay"というセクションを最後に付け足している。"Django's Lullaby"は息子であるDjangoの為に書いたバラード。パーソナル過ぎる、という理由で"The Bruised Romantic Glee Club"から外されたが、Jakko M. Jakszykらしい素晴らしいバラード。"Theme One"はGeorge MartinによるBBC Radio1のテーマ・ソング。Van Der Graaf Generatorのバージョンを下敷きにしたGary Barnacleのサックスをフィーチャーしている。コンピューターのハードディスクが壊れたため、唯一残っていたバージョンがこれらしい。デモに近いものもあるようだが、Jakko M. Jakszykの持つ音楽性が堪能出来る作品ではある。


Others

Dizrhythmia "Dizrhythmia" ('88)Gavin HarrisonとJakko Jakszykがチームを組んだアルバム。そこにDanny Thompson(b)とインド・パーカッションの名手Pandit Dineshが加わり、ウェスト・ミーツ・イースト的なアルバムが出来た。基本は、メロディアスなロック、ポップチューンにジャズフィーリングがあるもの等、西洋的な楽曲にサランギやサロード、パーカッションの数々がサウンドに特色を加える、といったパターン。ピアノにDave StewartやLyndon Connah(特に"8000 Miles"でのプレイは白眉)、ペダル・スティールにお馴染みのB.J.Coleの名前がある。そして、Jakko Jakszkのソロにも収められていた"A Grown Man Immersed in Tin Tin"の再演では歌詞を担当したPeter Blegvadも客演。"It will Only End in Tears"と"A Grown Man Imersed in Tin Tin"の2曲のみがヴォーカル入り。
64 Spoons "Landing on a Rat Column" ('92)78年から80年にかけてレコーディングされたもの。クラシックを学んでいたTam Neal(key、vo)とLyndon J Connah(ds、vo、key)が10才の時から始めたグループ。そこに同様にクラシックを学んでいたAndrew Crawford(b、flute、vo)が加わった。当時64 Spoonsのライブを見に来ていたSoon Afterというバンドを率いていたJakko Jakszyk(lead vo、g)とTed Emmet(trumpet、vo National Healthのアルバムにも参加経験アリ)が加わりラインナップが完成。バンドが活動していた間はシングル1枚のみを発表("Ladies Don’t Have Willies"は著作権の関係でこのアルバムには収められていない)だけで終わる。本作は64 Spoonsが活動していた間に録りためた曲を集めた作品。Genesisのようなファンタジックなオープニング"It's All Overture"から、Gentle Giantを思わせる"Aggressive Travelling"や"Plonder On"、捻くれポップ"Fat Chance"、Ted Emmettの管が印象的な"Ich Bin Heidi"やライブMCで「ジャズ・ロックじゃない曲。なぜならジャズロックは演らないから」というフリから始まる"NIB (Synthesizer Party)"は思い切りFrank Zappaタイプのジャズロック。今ならMats & Morganな攻撃的なナンバー。"Tail in the Sky"はJakko Jakszykの声が伸びやかなバラード。Frank ZappaやGentle Giant的なユーモアが満載な硬軟両極端なナンバーを収めた好盤。"Julius Caesar"、"This Old Man"、"Landing on a Rat Column"はライブ・ナンバー。
Jakszyk, Fripp and Collins with Levin and Harrison "A Scarcity of Miracles - A King Crimson ProjeKct" ('11)Robert Fripp(g、soundscape)という人は聴き手を引っ掻き回すのがつくづく好きなのだな、と思ってしまう。本作を「A King Crimson ProjeKct」と位置付けた事で聴き手の期待感がKing Crimsonと関連付けられるからだ。09年に行ったKing CrimsonラインナップであったRobert Frippとそのリズム隊であるGavin Harrison(ds、perc.)とTony Levin(b、chapman stick)に21st Century Schizoid BandにいたJakko Jakszyk(g、vo、gu zheng、key)とMel Collins(also、soprano sax、flute)が合流した、という見方が大方で、それ故の誤解も生じる。もう一つは、Jakko Jakszykのソロ・アルバム「The Bruised Romantic Glee Club」のメンバーにRobert FrippとTony Levinが合流した、という見方も出来るのだ。この両方の見方で本作の音楽性は解き明かせる。Mel Collinsの存在やJakko Jakszykのソロでもカヴァーされた"Island"から、やはりIsland-Crimsonのリリシズムの復権を強く感じる。King CrimsonがWトリオ以降取り組んできたRed期を軸としたヌーヴォ・メタルよりも更に一時代戻ったノスタルジーが本作にはある。"The Price We Pay"で聴かれるGu Zheng(古筝)のオープニングなどJakko Jakszykが好む東洋的な音も忍ばせている。最後に収録されている"The Light of Day"などは即興性と構築性の両面を備えた美を感じる。欲を言うならば、21st Century Schizoid Bandのように2管にしていたら、と思うと夢が膨らむ(その時はやはりTheo Travisで)。それを差し引いても本作は名作である。叶うことなら、このラインナップでのライブが見たい。



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