Parallel or 90 Degrees

Afterlifecycle ('98) Andy Tillison(keys、vo、ds、g)、Sam Baine(key、g)、Graham Young(g 元No-Connection 現Urban Jazz Guerrillas)、Jonathan Barrett(b)、Lee Duncan(ds)という布陣で作られたParallel or 90 Degreesの2nd。7曲のセクションからなる"Afterlifecycle"、3曲からなる"Ithinkthereforenothing"(I Think Therefore I Am;デカルトの「我思う、故に我あり」のもじり)へと続く。この中のアコースティックギターが美しい"Cognito Ergo Zip"もデカルトの同じ言葉のラテン語訳"Cognito Ergo Sum"のもじり。そしてヴォーカルがVan Der Graaf GeneratorというかPeter Hammillを思い起させる"Run in Rings"、"Coming Up Roses"を挟んで"Afterlifecyle (conclusion)"へと続く、コンセプトアルバムとみて良いだろう。所々にダンスビートのような激しい反復するトリガー音等がアクセントに使われているのが特徴だろうか。ボーナストラックにThe Niceのカバー"Flower King of Flies"に1st"The Corner of My Room"(見た事ないです、これ)からの1曲目"The Third Person"の短縮版が収められている。
The Time Capsule ('99) Andy Tillison-Diskdrive(synth、vo、nylon g)、Sam Baine(p、synth、g)、Jonathan Barrett(b 当時Magna Cartaにも在籍していたらしい)、Lee Duncan(ds 02年にお亡くなりになりました)、Gareth Harwood(g、vo)にゲストとして盟友Guy Manning(g)が参加。"Fast>>Fwd"という短いオープニング(確かに早回し)から"Encapsulated"の波音のSEからアコギが美しく鳴り始めると、タイムカプセルと題された旅が始まる。"Unforgiven Skies"では同じアコギのメロディーで始まる。こういうアコギとSEの使い方がPink Floydを思い起させる。"Blues for Lear"は後にRoine StoltバージョンがThe Tangentのオフィシャル・サイトで発表されるが、こちらがオリジナル(探し方はサイトにあります)。そして8つのパートからなる20分以上の大曲"The Time Capsule"へと。最後の"Aftertimecapsule"はSam Baineの作曲、演奏。
No More Travelling Chess ('99) 元々92年にAndy Tillison Diskdrive(vo、key、g、ds)と現在ソロアーティストとして活躍しているGuy Manning(g、key)がGold Frankincense & Disk Drive(Parallel or 90 Degreesの前身)と名乗っていた頃、Van Der Graaf Generator(Arrow、Roncevaux)とPeter Hammill(Flight、Modern、In the Black Room)のカバー曲にオリジナル2曲"Advance"、"Evolutionary Status Quo"(各々TillisonとManningの曲)を足して出されたカセットをCD化したもの。カバー曲では正確な歌詞を得る為にPeter Hammillその人に協力を仰ぎ、録音されている。本人達曰く「トリビュートではなく、学習の場だった」との事。
Unbranded Music from E.E.C. Surplus ('00) Andy Tillison Diskdrive(Vo、Key、add g)率いるParallel or 90 Degreesのカタログの中で一番、純シンフォに近いかもしれない。アグレシッブに歌う様はPeter Hammillに接近する一方、コンプレッサーにかけられたかのようなヴォーカルは一気にThe Flower Kingsの世界に接近する。実際、Andy Tillison DiskdriveはこのアルバムでThe Flower Kingsへの親愛をクレジットしている。Sam Baine(synth、p)、Ken Senior(b 元Purpleというプロジェクト名で活動していたらしい)、Gareth Harwood(g)、Alex King(ds)というラインナップ。Martin Orfordがゲストで"Shoulder to Shoulder"でフルートを入れている。Wキーボードという利点を活かして様々な音世界を見せる所は変わっていない。このアルバムでは一段とサイケデリックな世界が広がっているように感じる。ハードな時はOzric Tentacle的な表情を見せるギター、スペーシーなキーボードにピアノのはっとさせられる音が流れ込む場面など、今風なシンフォアルバムとでも言えようか。ボーナスとラックとして収められた25分にも及ぶ"An Autopsy in Artificial Light (Afterlifecycle Part 2)"には"Flowerpower"の"There's No Such Night"の歌詞から"There's no such thing as blank and total darkness"というRoine Stoltの言葉がジャケット内のタイトルの下に印刷されている。
More Exotic Ways to Die ('02) このアルバムからギターがDan Wattsにチェンジする。今回も表題曲"More Exotic Ways to Die Parts 1 to 6"という各々のパートが独立した曲で構成されている曲から始まる。トラックリストでは7曲入っていることになるのだがPart 6"The One that Sounds like Tangerine Dream"はSEみたいな流れるようなサウンドスケープ(タイトル通りなんでしょうね、私はTangerine Dreamは聞いた事がないのですが)。それがライブのオープニングSEのようになり観客の拍手でPart 7"A Body in Free Drift"が迎えられ、曲が終わるとまた観客の拍手が聞こえ、擬似ライブのようにしてある。そしてDan Wattsが書いた"The Dream"(どちらかというとNightmareの方が正しい感じがする)と"Petroleum Addicts"でアルバムが締め括られる。このアルバムはCDロムが入っており、「フォルダー1」に"Enjoy Your Own Smell"というParallel or 90 Degreesのコンピ全10曲("Blues for Lear"のライブバージョンや"Unbranded"のラジオエディット等が入っている)と89年作の"Running Rings" アルバム全曲とカバー曲("America"や"Dark Side of the Moon"等)やアウトテイク集、"Migraine"("Unbranded"に収録)のビデオパフォーマンス等が「フォルダー2」に雑然と入っている。
A Can of Worms - the Best of Po90 1996-2001 plus Unreleased Recordings from 2002 ('08) 1st "The Corner of My Room"より"The Media Pirates"、2nd"Afterlifecycle"より"Afterlifecycle Sequence"、3rd"The Time Capsule"より3曲、4thのVan Der Graaf Generatorのカヴァー・アルバムより"Modern"、5th"Unbranded"より2曲、6th"More Exotic Ways to Die"より3曲に02年に録音された未発表曲3曲(The Tangentで既発になった"Four Egos One War"を含む)にジャジーなフィーリングが増したRoine Stolt入りの"Blues for Lear"のバージョンという構成。Parallel or 90 Degreesの"Four Egos One War"はアコースティック・ギターがどこかDavid Bowie風に聴こえる、大仰さを抑えた感じのバージョンに仕上げている。その他のDan Watts(g)との共作曲"Fadge Part One"はノイジーなギターを据えたハードな楽曲。"A Kick in the Teeth"はAndy Tillisonらしい叙情性が後のThe Tangentの音楽性を表しているようで興味深い。"This is a progressive rock record"の文字が如何にもAndy Tillisonらしい。
Jitters ('09) 何と7年ぶりとなる新作。メンバーはAndy Tillison(key、g、vo)、Dan Watts(lead g、key、treatments)、Alex King(ds)にAlex KingとDan Wattsと組んでいるBritish FictionというバンドのメンバーでもあるMatt Clark(b)という編成。オープニングの"Interlude"と題されたインストから幕を開けるのが何とも復活を祝うか如くのタイトルで良い。Dan WattsのヘヴィーなギターがあってこそのParallel or 90 Degreesという思いが更に強くなる。そのDan Watts、本作では"Threesome"と"On the Death of Jade"で作曲を担当。エフェクトをかけたヴォーカルやドラム・サウンド、ループなどParallel or 90 Degreesらしいサウンド。"The dock of the Abyss"はU2っぽいサウンドにAndy Tillisonの声は少しばかりPhil Lynottっぽく(Bob Dylanの系譜、ということかな?)聴こえる。プロデュースはAndy TillisonとDan Watts。Dan Wattsのトリートメントというのはサウンドの肝でもある。ジャケットを開くと、やはり「プログレ・ラブ」が全開である。因みにライナーにKen Senoirを探したが見つからなかった、という表記がある事から当初は以前のメンバーそのままで活動しようとしたのが窺える。

 

The Tangent

The Music that Died Alone ('03) Parallel or 90 Degreesのkey奏者Andy Tillisonのソロプロジェクトとして始動したものが、The Flower Kingsと繋がったことでバンド形態となった作品。The Flower KingsからはZoltan Csörsz、Jonas Reingold、Roine Stoltが参加。Parallel or 90 DegreesからはSam Baine、盟友とも呼ぶべきGuy Manningが参加。そして、元Van Der Graaf GeneratorのDavid Jacksonが管奏者として参加。Andy TillisonのVan Der Graaf Generatorマニアぶりは有名で、Van Der Graaf Generatorのメンバー殆どと仕事をしたことがあるそうだ。4曲(内組曲3曲)からなる50分にも満たないこの作品は70'sへのオマージュとして、意図的に短い作品として作り上げられた。Hatfield & the Northの"Chaos at the Greasy Spoon"(オリジナルは"The Rotter's Club")を含む"The Canterbury Sequence"のドラミングは白眉。疾走感を持つ管も素晴らしい。タイトルトラックは、Andy Tillisonがプログレ愛を語った歌詞を持つ曲。アルバム全体から徹頭徹尾Andy Tillisonのプログレを感じさせる作品。
The World that We Drive Through ('04) Van Der Graaf Generator再編の為バンドを離れたDavid Jacksonに代わりJade Warrior、Gong、Porcupine Tree周辺等の活動で知られる若手ジャズプレイヤーTheo Travis(sax、flute)を迎えて制作された2nd。今作も前作を踏襲した作りになっている。冒頭"The Winning Game"の最後の最後にBurt Bacharachの"What the World Needs Now is Love"("Reach Out"収録)が付け加えられているのには少し驚かされました。前作よりもスケールも大きくなった感があり、密度も高くなった印象を受ける。アレンジの妙技も、更に磨かれている感じだ。Theo Travisの起用は正解でしょう。聴き所満載。名盤でしょう、これ。
A Place in the Queue ('06) Roine Stoltは自分自身のキャリアに集中する為、脱退。Zoltan Csorszも脱退する。リプレイスメントとして、スウェーデンの新進気鋭のジャズギタリストKrister Jonssonを起用。ドラムには初代The Flower Kingsドラマー、Jaime Salazarが座る事になる。前2作までのアクロバティックなまでに変幻自在なドラミングは影を潜め、ステディーでソリッドなリズムが中心になる事に最初は多少の戸惑いを感じたのも事実。但し、その分、上物が遊ぶ余裕が出来上がり、ソリスト達の活躍が目につく。今作でも、Andy Tillisonの「プログレ・ラブ」を象徴するようにYesの"Tales from Topographic Oceans"からインスパイアされた旨がライナーに記されている。それはジャケットからも感じる事が出来る。但し、インスパイアされた、というだけで、何も明確な影響はナシ。また、アルバム全体の長さも同様に前2作の倍になっているのは、2枚組に影響された、というだけの事。実際のCDでは1枚ものだが、Andy Tillisonの中では「2枚組」という、如何にもAndy Tillisonらしい発想である。近作では叙情的な大作"In Earnest"と表題曲を本編の頭と最後に持ってきている。特に表題曲はTheo Travisとの共作というのも興味深い。"The Sun in My Eyes"は往年のソウルナンバーを思い起こさせる、意外な曲(オーケストレーションもそれに準じて懐かしい香りがする)。Theo Travisが持ってきた"DIY Surgery"は長さが丁度良い、少しアヴァンギャルドな作風。そして、往年のプログレ魂を揺さぶるのはYes風のコーラスを配した疾走感のある"GSP Culture"と今作も充実した内容。ボーナスディスクには本編から漏れた曲3曲に"The Sun in My Eyes"のエクステンディットバージョン(プログレ風にした?)と05年ドイツでのライブで披露されたインスト曲とKrister Jonssonが楽曲に初めて関わった長尺インスト曲の全6曲が収められている。
Not as Good as the Book ('08) ギターにJakko M. Jakszykを迎えた4th。今作では、Parallel or 90Degrees時代に書かれた"Four Egos, One War"以外は全てAndy Tillisonの手による楽曲で占められているが、更に楽曲に磨きがかかったように感じる。当初はソロ・プロジェクトという形で始まったThe TangentがRoine Stoltが加わったことによりバンド方向にシフトしたのが、ここに来て、本来のThe Tangentの姿を見せたのも興味深い。"Four Egos, One War"が今作に収められた事と無関係でもないだろう。冒頭の"A Crisis in Mid-Life"からぐいぐいとキーボードの音で引っ張るところは、このバンドの特色を明確にしている。"Lost in London (25 years later)"の中間のジャズ・セクションは本来であれば、Sam Baineなのだろう。Andy Tillison本人もこの曲で彼女がいないのは残念だとも言っていた。続く"The Ethernet"のギターソロ部分は元々Guy Manningが書いたパートで、それをJakko M.Jakszykがなぞって演奏している。この作品でもAndy TillisonのPeter Hammillバリのヴォーカルを所々で聴くことが出来るが、この私小説的な作品を出すのに当たって、Peter Hammillに作品を発表すべきかどうか相談をしたらしい。Disc1最後の"Bat Out of Basildon"での最後のギターソロは何となくSteve Vaiを思い出させるサウンド。Disc2では20分を超える大作2曲で構成されている。"Four Egos, One War"はAndy Tillison曰く、戦争が一向になくなる気配のない現代において、再録を決心したとの事。5つのセクションから構成されJulie Kingという女性ヴォーカリストが"Ours"、Andy Tillisonが"Theirs"、Guy Manningが"His"、Jakko M.Jakszykが"Mine"でヴォーカルを担当。"His"セクションのファンキーなグルーヴは秀逸。因みにブックレットに掲載されていない"The Full Gamut"の歌詞は編集の都合で割愛されており、オフィシャルサイトにて読むことが出来る。また、このCDには100ページ近くに及ぶイラスト付き小説が付いた特別版もあるが、こちらはCDと特別な連動はなく、後からAndy Tillisonがこじつけた感もある本となっている。特に"Lost in London"。イラストに描かれたジャケット群を見るのだけでも楽しい作品である。
Down and Out in Paris and London ('09) ジョージ・オーウェルの小説と同名タイトル(邦題:パリ・ロンドンどん底生活)でドキリとしたが、特に関連性はないとの事。本作ではリズム隊に元10cc、CamelのPaul Burgess(ds)、元Parallel or 90 DegreesのJonathan Barrett(b)を新たに迎えTheo Travis(sax、flute)、Guy Manning(g)とオール・イングリッシュ・バンドとして再出発した。"In Ernest"の続編を含むオープニングの"Where are They Now?"は8つのパートからなる大作。"Paroxetine - 20mg"はパキシルという劇薬(主に抗うつ剤として使用される)の事。歌詞もうつ症状を表しているように思える。"Down and Out"と題された3、4曲目は"Perdu Dans Paris"("Lost in Paris"と訳せる)と"The Company Car"に分かれる。前者のリードギターはJakko M.Jakszykがゲストで参加している。ボーナス・トラックとされている"Everyman's Forgotten Monday"はRichard Wrightに捧げられており、モロにその世界観を持っているナンバー。そして最後に1st以来となる"The Canterbury Sequence Volume2"では副題に"ethanol hat nail"とあるようにNational Healthのアナグラム。Andy Tillisonの吼えるようなハモンドは鳴りを潜め、サウンドスケープ・タイプのサウンドが占める割合が多くなったように感じる。またTheo Travisの管が今まで以上にブルージーな情感で聴き手をグイグイと引き込む。

 

Andy Tillison Diskdrive

Fog ('07) ライナーの謝辞にEdgar Froese、Chris Franke、Peter Baumann、Klaus Schulzeへ、とあるようにアンビエントを中心としたキーボード・ミュージックが主体のインスト・アルバム。使用機材にムーグ、ミニムーグ、リボン・コントローラーをはじめ、B4オルガン、シンセ、ピアノなどがクレジットされている。4つのパートに分かれている"Nebel"を含め"Ersatzgebaude"("Empty Building")、"Abendspaziergangamrhein"("Evening Walk along Rain")の3曲。流れるような曲想の中に所々にAndy Tillisonらしいサウンドがしっかりと入っている。中でもNebelのパート3"Slink"のモンド風なジャジーなオルガンが出てくるところは意外性もある。"Ersatzgebaude"の12分半ぐらいから始まるサウンドはThe Tangentそのものっぽく、後半ではライブっぽいドラム・サウンドなどがあることから生っぽい即興的な雰囲気を持っており変化に富んでいる。最後の"Abendspaziergangamrhein"は全編においてリズム楽器を使わず、浮遊感漂う曲。

 

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