Roine Stolt

Fantasia ('79) Roine Stolt初のソロアルバム、全10曲。Mats Lofgren(vo 元Kaipa)、Janne Ahman(vo)、Ninna Hogman(vo)という3人のボーカリストを迎え、その他にもHakan Hultman(ds)、MatsLindberg(b、moog、taurus pedals、tubular bells 元Kaipa)、Per Andreasson(key)、Hasse Bruniusson(ds、mallets)、Andreas Zeitler (alto sax)が参加。Mats Lofgrenの前にはTrettioariga KrigetのRobert Zimaが参加していたようだ(こっちも聞いてみてかったな)。布陣からも判るように、単なるギタリスト・アルバム以上のものを目指していたのは一目瞭然である。発表年から、どうしてもチープなシンセの音などが気にはなってしまうが、ギターサウンドは流石。どの曲でもソロになるといきなり艶が出るから不思議だ。Kaipaから一歩出たRoine Stoltの音楽的に目指したかった方向性が伺えるのが興味深い。Mats LofgrenとNinna Hogmanのデュオボーカルを聞かせるバラード曲"Som Svalor Mot Skyn"(楽器は全てRoine Stoltが担う)、Kaipaの延長線上にある雄大な"Dodens Ansikte"の他、ジャズ・フュージョンからの影響なども聞こえる楽曲もある。この後もRoine Stoltはソロキャリアと平行してプロデュース業に没頭し80年代を過ごす。このアルバムもKaipaとThe Flower Kingsのミッシングリンクとして聞くと興味深いサウンドである。92年にCD化の際に3曲ボーナストラックを入れて再発された。
Hydrophonia ('98) Roine StoltがThe Flower Kingsを組閣してから、初めてのソロアルバム。このアルバムでRoine Stoltは、ギター、ベース、キーボード、パーカッションとマルチぶりを見せている。その他にはJaime Salazar(ds)、Ulf Wallander(sax)を迎えて制作されている。タイトルを見ると水(もしくは海)の音、というテーマらしいが…。生命の起源に想いを馳せた、というところだろうか。クレジットに、Frank Zappa、Miles Davies、Jimi Hendrix、John Lennon、Jon Anderson、Charlie Mingus、George Gershwin、Allan Holdsworth、Princeへ捧げる、とあるのが目を引く。このアルバムを理解する紐解きになるだろう。Roine Stoltのギターはリズミカルで躍動感に溢れるオープニングから、印象的なアコギに水が流れるようなサウンドスケープに占められる曲、リリカルなUlf Wallanderのサックスが紡ぐ北欧トラッド、フォークのようなメロディーに心休まるナンバーまで多様な音楽性を披露しているオールインストアルバム。
Wall Street Voodoo ('05) Roine Stoltのブルースロック愛に溢れた2枚組ソロ。2枚組になったのは、当初はボーナスディスク程度に考えていた2枚目がフルディスクになった結果。つまり、それだけ吐き出しておかないといけないテーマがあった、という事だろう。そういう意味ではこのアルバムは歌詞にも重きを置いたシンガーソングライター的アルバムと言えるかもしれない。このアルバムで思い起されるのは、やはりSteve Hackettの"Blues with a Feeling"だろうか…。このアルバムがSteve Hackett流ブルースロック(殆どカバーでしたが)であったのと同様、このアルバムもRoine Stolt流サイケ・ブルースロックアルバムである。多彩なギターサウンド、またメロトロン等もたっぷりと使用し、飽きさせない。このアルバムへの参加がTFKへの参加の決手となったMarcus Liliequist(ds)、Hasse Bruniusson(perc)が参加。その他の参加メンバ−はクレジットの問題(らしい)で偽名を使っている(もしかしたら、Roine Stolt流のジョークかもしれない、との疑惑は拭えませんが)Slim Pothead(key)、たまにBilly Sheehanっぽいサウンドを聞かせるVictor Woof(b)、Gonzo Geffen(key)が参加。ゲストボーカルにNeal Morseが5曲で参加。Creamを思わせるイントロとボーカルハーモニーを持つ"Head above Water"(エンディングのハモンドはまるでJon Lordみたいだ)、サザンロック的なガッツでタフなサウンドを持つ"Dirt"、"Spirit of the Rebel"、サイケな香りをたっぷりと吸い込んだ"Everyone Wants to Rule the World"や"Remember"。生々しいサウンドを持つ"Unforgiven"(時折"I'm forgivenと全く反対に聞こえるからおかしい)やスローブルースの"Outcast"、どこまでも男臭い哀愁を漂わせる"Mercy"。Hasse Bruniussonのマリンバが活躍する"Dog with a Million Bones"(何てタイトルだ!)、最近、Roine Stoltが敬愛を表明して止まないJoni Mitchellの"Sex Kills"のカバー、Slim Potheadのムーグソロが活躍する"The Unwanted"。アルバムの鍵となる壮大なファンクR&B"It's All about Money"、粘りのあるStevie Wonder(は褒め過ぎか?)っぽい"Everybody is Trying to Sell You Something"。スピーディーな"Hotrod"(まんまだな…)と聴き所満載なアルバムである。ボーカルメロディーは意外にも非常にキャッチーである。これがThe Flower Kingsのメンバーのソロというだけでプログレ界隈のファンにしか聞かれないとしたら、非常に勿体ない。シングルカットしたら、結構売れそうなんだけどな…。


 

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