Jonas Reingold / Karmakanic

Jonas Reingold

Reingold "Universe" ('99)Goran Edman(Vo、元Madison、John Norum、Yngwie Malmsteen等)を迎えて製作されたJonas Reingoldのソロ。The Flower KingsからはJaime Salazarが参加。ギターはMarcus Jacobssonの他にDowntown Clownsからの僚友Chris PalmとPeter Espinoza(Majestic)がギターソロで援護をしている。Goran Edmanの伸びやかなボーカルを配した攻撃的な北欧メタルを軸にJonas Reingoldの魅力を伝える作品となった。作曲能力はMidnight Sunでも如何なく発揮されていたが、プレイヤーとしてのJonas Reingoldのアイデンティティが少しは判明出来る作品でしょう。Pete Sandbergが4曲で歌詞を手伝っている他全てJonas Reingoldのペンによるもの。


Karmakanic

Entering the Spectra ('02)Jonas Reingoldの新しいプロジェクトの1st。Reingoldの発展形と見て良いだろう。メタル色は薄れ、プログレサイドにぐっと近づいている。Reingoldから引続き北欧メタルの顔役Goran Edman。Sand&Goldにも参加していたJohan Glossner(g)が参加。The Flower KingsファミリーからはRoine Stolt(vo、g)、Tomas Bodin(key)、Jaime Salazar(ds)、Zoltan Csörsz(ds)、Robert Engstrand(key)が参加。冒頭、リスナーへのオープニングステートメントから始まり、12分からなる表題曲が始まる。Yellow、Blue、Red、Purple、Indigo、Green、Whiteと色分けされた7つのセクションからなるロングチューンは北欧ジャズロックの大名盤、Miles Daviesの"Aura"を思い起こさせる。北欧メタルのエッセンスを残した"The Spirit Remains the Same"(Goran Edman; vo)、SFサイケチューン"Cyberdust from Mars"(Roine Stolt; vo)と"Space Race No.3"(Göran Edman; vo)と続く。"The Man in the Moon Cries"とは、日本ではお月様にはウサギというのが定番ですが、欧米では人が泣いているように見える、とよく言います。"One Whole Half"ではReingoldにも参加していたChris Palm(g)とJaime Salazarとでジャズロックバトルを繰広げる。"Is This It?"ではMajesticのkey奏者Richard Anderssonがソロを提供(多分Part III the Questionかな?)。バッハの無伴奏チェロ組曲ト長調をE.ベースソロで入れ(全部やってみるのも面白いかもしれない?)、"Welcome to Paradise"で終わるという構成。ソロプロジェクトらしく様々なアイディアが押し込まれていますが、そんなにトッ散らかった印象もなく、色々と楽しめる作品だと思います。
Wheel of Life ('04)Goran Edman(vo)、Zoltan Csörsz(ds)、そしてKrister Jonzon(g)というカルテットがメンバーとして固定され、バンドとして機能し始めた事が伺える。特にGoran Edmanのボーカルを軸に置いた事で、アルバム全体にまとまりが出た。The Flower KingsファミリーからはRoine Stolt(g 2曲で参加)、Tomas Bodin(organ 頭3曲で参加)、Hasse Bruniusson(perc 冒頭曲で参加)、メタル界からはRichard Anderson(key solo 冒頭曲)が参加。Helen Melin(perc)、Sal Dibba(perc セッション多数)、Helge Albin(flute Tolvan Big Band等)、Jakob Karlzon(p リーダーバンドBig 5等)、FloodgateからOla Heden(p)や全ての歌詞も手掛けているInger Ohlen(スキャット系voを"Where the Earth Meets the Sky"で披露)が参加、多彩なアイディアを具現化する為に集まっている。こういったゲスト陣の多さは、プロデューサー等の裏方での仕事からでしょうかね…。モールス信号の音から(SOSって打っているのかな?)牧歌的なアコースティックギターが入り、次第に緊張感が高まり、盛り上げて行くイントロを持つ"Masterplan Pt1"で幕を開ける。子煩悩ソング"Alex in Paradise"にしろ"Where the Earth Meets the Sky"や表題曲等でのGoran Edmanの表現力は見事。渡り鳥的な活動から誤解され易いけど(それも仕方がないと言えばそれまでなのですが)、実力に見合った評価がされていないシンガーの代表格だろうなぁ。音楽的にはKarmakanicは相当気に入っているらしいので、頑張って欲しいとは思う。但し、このグループの本懐は"Do U Tango?"や"Hindby"と言ったインストにもあるので、そのバランスをこれからも上手く取り続けるのか、どちらかに寄ってしまうかで、決まってしまうだろうな…。
Who's the Boss in the Factory ('08)キーボードに04年のライブから既にバンドに合流しているLalle Larsson(Electrocution 250等)を迎えた編成。ゲスト陣が今回も豊富。The Flower KingsからRoine Stoltが12弦ギター、ハモンド・オルガン、パーカッション、Tomas Bodinがキーボードで参加。The TangentからAndy Tillisonが"ハモンド・オルガンとムーグ・シンセを、Theo Travisがサックスをプレイ。Bad HabitからSven Cirnskiがギター・ソロを、盟友Johan Glossnerは殆どの曲でアコースティック・ギターを披露。更にElias Kallvikaが"Send a Message from the Heart"のソフト・セクションのギター・ソロ、Daniel Beijbomがオープニングのマーチング・ドラムをプレイ。多分、その父親がLasse BeijbomでJonas Reingoldと共同で"Eternally"のストリング・アレンジを担当。そして、ゲスト陣の目玉がワールド・アコーディオン・チャンピオンシップに2度優勝しているLelo Nika(Joe Zawinulとの共演が有名)が"Eternally"でアコーディオンをプレイ。という総力戦で臨んだ3rd。インストルメント・パートを充実させつつも、Göran Edmanのナチュラルなヴォーカルを軸にきっちりと作り込まれている所にバンドの焦点が定まってきた感を受ける。特にソフトな歌い方をするGöran Edmanは時にRoine Stoltの声を思い起こさせる。今回は特にキーボード陣の活躍が目立つ。Tomas Bodinの特徴あるサウンドや吼えるようなAndy Tillisonのサウンド、流麗なピアノ・ソロが秀でているLalle Larsson。全体と通してバラエティー豊かな音楽性や過去からの流用(特にPink Floyd的なほんの瞬間がちらほら)も持つがThe Flower KingsともThe Tangentとも違ったKarmakanic独自のサウンド、スタイルが構築されてきた。"Send a Message from the Heart"の真ん中のジャジーなギターソロがKrister Jonssonかな?こういうソロをもっと披露出来たら、また一つのバンドの特色になりそう。そういった意味でも次には多いに期待したいところ。最後の"Eternally"のエモーショナルな出来は素晴らしい。
In a Perfect World ('11)本作ではまずドラマーがThe Flower Kingsでも一緒にやっていたMarcus Liliequistにチェンジ。そして更にソロ・アーティストとして活躍しているNils Erikson(vo、key)を補充し、ヴォーカルパートの充実を図る形となった。またミキシングにも関わっており、裏方としてもJonas Reingoldの片腕的な見方が出来る。今まで散見されていたゲスト陣を一切廃しバンドとしてまとまりのあるサウンドに仕上げている。作曲は全てJonas ReingoldとJulia Olssonというクレジット(後者はJonas Reingoldの友人のアメリカ人で英詞にするのにヘルプしてくれた、との事)になっている。オープニング・トラックの"1969"はJonas Reingoldの生年であり、また社会的、ロック・ヒストリーでも数々のイヴェントが起こった年としても記憶されている年でありそのスピリットを取り返そう、というメッセージが込められているようだ。Lalle Larssonのセンスの良いピアノなどが曲を引き締めるのに役に立っているように聴こえる。"Turn It Up"はポップ過ぎる、という理由でJonas Reingoldはアルバムから外そうとしていたところ、Göran Edmanが絶対に収録すべきだ、と言ったところ収録が実現した曲。ビッグなコーラスが印象的で、ボーナス・トラックにラジオ・エディット(オープニングをカットした短縮バージョン)までになっているリーダー・トラック的な扱いにまでになった名曲。"When the World is Caving In"の冒頭のアカペラ部はNils Eriksonによるものだろうか?Krister Jonssonの少しDire Straitsを思わせるリフやヘヴィなプレイとキャッチーなコーラス、Lalle Larsonの流麗なピアノなどが相まった佳曲。"Can't Take It with You"はJonas Reingold曰くカリブ海+デス・メタル(というかグロウル)というユーモアたっぷりのクレイジーな曲。Krister Jonssonのエンディングでのアコギのプレイなどは流石の一言。"There's Nothing Wrong with the World"でもキャッチーなコーラス、"leave it now"の後に来るラテン語の"Da pacem cordium"(give peace to every heart)というフレーズが印象的で静でのエモーショナルなフィーリングが素晴らしい曲。"Bite the Grit"はヘヴィなグルーヴに包まれた曲。最後の"When Fear Came to Town"はアコースティック・ブルーズ如き趣を持つ曲。Göran EdmanとKrister Jonssonの一つ一つのノートが丁寧にフィーリングを紡ぐ曲。本作をもって、ここにポップ・マエストロへの道を進むJonas Reingoldの姿が確認出来る秀作。


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