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Rick Wright "Broken China" ('96) 雨音と雷鳴をバックに始まる"Breaking Water"はまるでジャケットを現すかのよう。Slapp HappyのAnthony Mooreをプログラマーに迎え、Manu Katche(ds)とPino Palladino(b)というリズム隊ががっちりと繊細なRick Wrightの世界を構築していく。ギター陣はTim Renwickが8曲で参加。Dominic Millerが5曲。そして元Atomic RoosterのSteve Baltonが"Along the Shoreline"でリズムギターで参加というオマケ付き。1st同様、殆どの曲でRick WrightがVoを取る中、"Reaching for the Rail"と"Breakthrough"でSinead O'Connorがゲスト参加。更にKate St.John(元Dream Academy)がオーボエ、コーラングレで参加もしている。Pink Floydの世界観を具現化する内省的なサウンドを持ちながらも、本作では、時にVangelis辺りを想起させる広がりのあるサウンドも披露している。全曲Rick Wrightの作曲、歌詞は当然Anthony Moore。ギター陣は、ある意味、David Gilmourの呪縛からは逃れない状態。但し、それが却って好結果を生んでいるのかもしれない。美しい作品である。  
The Who "Who's Next" ('71) CDになってからというものの、何回このCDを買いなおす羽目になったのだろうか?ってぐらい色々なヴァージョンが出た記憶がある。今ならやはり71年4月26日のYoung Vic Theatreでのライブを収めた2枚組Deluxe Editionだろう。このアルバムはビート・バンドだったThe Whoがハードロック・バンドに移行した瞬間のように思える。珍妙なタイトル"Baba O'Riley"はPete Townshendが傾倒していたMeher Baba(インドの導師)と現代音楽のTerry Rileyから取られたのは有名な話。そのオープニングから正にThe Whoのサウンドに取り込まれる。因みに最後のヴァイオリンは元East of Edenの初代ヴァイオリニストDave Arbusによるもの。アルバム全編、一切その勢いを殺ぐことなく一気に9曲聴かせる。John Entwistle作の"My Wife"、名バラード"The Song is Over"(未だにライブでは演奏された事がないらしい)や最後の"Won't Get Fooled Again"(Van Halenもよく演奏しているのでも有名なナンバー)と多彩な表情も持つ。"The Song is Over"と"Getting in Tune"のピアノはNikcy Hopkins。ボーナストラックで重要なのはNYセッションでPete Townshendのリズム・ギターに専念したいという事からLeslie West(Mountain)が呼ばれているMarvin Gayeのカヴァー"Baby don't You do It"等が収められており、こちらも聴き逃せない。



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M.E.



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