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Vow Wow "V" ('87) 山本恭司(g)、人見元基(vo)、厚見玲衣(key)、新美俊宏(ds)にNeil Murray(b)が加入してから初のアルバム。日本が生んだメタル・アルバムの傑作のひとつ。メンバーそれぞれが突出した個性を持っているが、このドラマティックでパワフルな楽曲はメンバーの個性がぶつかり合った結果、としか言いようがない。当時はアメリカを主体に活動するLoudnessに英国を根城にするVow Wowと漠然と思っていた(後に英国ミュージシャンズ・ユニオンに加入)。本作は、A面山本恭司の楽曲で、B面に厚見玲衣と2分したような感じ。ホーン系のキーボードを多用した楽曲は勇壮でパワーのあるソウルフルな人見元基の声によく合っていた。そして、"Cry No More"などで聴かせるギター、ヴォーカル、ピアノの叙情性豊かなパフォーマンスはVow Wowならでは。プロデュースはThin Lizzy等で有名なKit Woolven。但し、"Don't Leave Me Now"のみJohn Wettonプロデュース。この曲ではJohn Wettonは歌詞も担当(コーラスも?)。プロモ・ヴィデオも作られた。後のPhenomenaIIのVow Wowメンバーの参加はこの辺りの繋がりだったのでしょう。  
The Velvet Underground & Nico ('67) Lou Reed(g、vo)、John Cale(ele.viola、p、b)、Sterling Morrison(rhythm g、b)、Maureen Tucker(perc.)のThe Velvet Undergroundを見たAndy Waholがプロデュースを買って出たところ、Andy Waholの所に出入りしていたNicoを合流させて仕上がった作品。オープニングの"Sunday Morning"はタイトルに相応しい牧歌的なサイケ・ポップ曲(この曲のみプロデュースがTom Wilson)。語尾が投げやりなところがBob Dylanっぽい感じを受ける。Nicoがリード・ヴォーカルを取る"Femme Fatale"、"All Tomorrow's Parties"、"I'll be Your Mirror"も同様に時代に即したサイケ・ポップな曲。"Run Run Run"などは英ビート・バンドに影響を受けたかのような曲。その中で異彩を放っているのがJohn Caleのエレクトリック・ヴィオラをフィーチャーした"Venus in Furs"(文字通りSMがテーマなのだろう)、徐々に壊れていく様がまさにタイトル通りに聴こえる"Heroin"、アヴァンギャルドなノイズにLou Reedが無機質に歌う"The Black Angel's Death Song"、サーフ・ミュージックにサイケが合体したかのような"European Son"などの実験的なノイズの洪水に圧倒される。この両極端な音楽性の同居がこのアルバムが特殊な理由の一つではないだろうか。



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M.E.



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