P

Pink Floyd "Wish You were Here" ('75) 私の初Pink Floydは深夜のFMラジオ。1週間特集していたのをエアチェック(知らない人はスルーして下さい、今では有り得ない昔話です)したのをずぅっと聴いていた。時に中学1年生。殆どMCが入らない番組(大概の曲は頭から終わりまでしっかり完奏されていた)でプログレって言葉は知っていても音としてはよく判っていなかったと思う。Pink Floydは矢鱈と長い曲があったり、シンセの使い方がスペーシーで広がりがあって、ヴォーカルは結構タフで、ギターはブルージーだった。なので、一風変わったブルーズロックバンドであった。その程度の知識しかなかった私が初めて買ったのは、やはり名盤と誉れ高い「狂気」だった。何か雑誌でチェックしたら、やっぱり「狂気」から入るのが正しいみたいな書かれ方をしていたんで。でも、私が聴きたかったのは、"Shine on You Crazy Diamond"のギターソロで、"Welcome to the Machine"のRoger Watersのヴォーカルに"Have a Ciger"のグルーヴ、"Wish You were Here"のセンチメンタリズムだった。そして再び、"Shine on You Crazy Diamond"に戻るという構成を持つ、このアルバムを買ってからは、このアルバムが一番の愛聴盤となった。だって、ブルーズロックバンドだと思っていたから(いや、今でも、多分そう思っている)。ジャケットは、箱物の"Shine On"のCD。「鬱」まではアナログしか持っていなくて、この箱物で初めてPink FloydのバックカタログをCDで買った。それ以降もリマスターされようが紙になろうが、これだけ。この盤の主人公が誰なのかは後追いで知ることにはなるが、そんな事に関係なく、初めて聴いた時から、そして今でも、このサウンドは狂おしくも心を掻き毟る。  
Christine Perfect "Christine Perfect" ('70) Chicken Shackに在籍中の68年にJohn McVieと結婚。Chicken Shackを脱退した直後にシングル"I'd Rather Go Blind"がヒット。周囲の後押しを受けソロ・アルバムの製作を始め、出来上がったのが本作。共同プロデューサーにMike Vernon。Top Topham(g 元Yardbirds)、Duster Bennett(g)、Rick Hayward(rhythm.g 後にSavoy Brownへと加入)、Martin Dunsford(b 元Just Five)、Chris Harding(ds)というバンド・メンバーにFleetwood Macの"When You Say"(Danny Kirwan作)にJohn McVie(b)とDanny Kirwan(g)がゲスト参加(この曲のみプロデュースもDanny Kirwan)。更にChicken ShackからAndy Sylvester(b)が参加。ホーンにTerry Noonan(Sony Boy Williamsonのカヴァー"Crazy 'bout You Baby"とDeadrick Maloneの"I'm on My Way"のアレンジも手掛ける)とMike Vernon人脈がずらりと揃う。そのMike Vernonは冒頭の"Crazy 'bout You Baby"、Chuck Jacksonの"And That's Saying a Lot"、Bobby Blandの"I'm Too Far Gone (to Turn Around)"をカヴァーに選曲したらしい。スクウェアーでかっちりした演奏が何ともブリティッシュ・ブルーズ・プレイヤーらしさを醸し出している。この頃のChristine Perfectの声質は後のAnne Lennoxあたりのディープで佇まいの良い上品さを持ち合わせている。特にChristine Perfectの自作バラード曲"Wait and See"のエモーショナルなヴォーカルが素晴らしい。その他にもポップで上品なストリング・アレンにを施してあるDanny Kirwanの"When You Say"、スライドを聴かせる"For You"、サイケデリックな仕上がりのT.J.Whiteの"I Want You"と最初から最後まで飽きさせない良作。このアルバムを最後にChristine Perfectは専業主婦に専念することになるが、Peter GreenのFleetwood Macの脱退後、バンドの迷走を見兼ねてFleetwood Macに加入することになる。
Paradise Lost "Gothic" ('91) Paradise Lostの2作目。所謂デス・ヴォーカルが入ったもので私が買った始めてのアルバムが本作。デス声に関しては好きか嫌いか、と聞かれると多分後者(表現方法としてはアリだと思ってます)。ただ、今、こうして聴いてみると、意外と歌詞もしっかりと聴き取れる程度のデス・ヴォーカルではある。個人的には、本作はNick Holmesのデス声がどうのこうの前にGregor Mackintoshのあまりにも扇情的なギターソロや曲のオーケストレーションにノックダウンされてしまった。オーケストラ・アレンジはKeith Appletonが担当。オケはThe Raptured Symphony Orchestraが担当している。そして、更に本作ではNick Holmesのデス声と一緒にSarah Marrionがソプラノ・ヴォーカルを入れて耽美的な世界観を醸しだしているのも特徴。今ある、男女ツイン・ヴォーカルの美女と野獣系のオリジネイターは正しくこのアルバムではなかろうか?歌詞は全てNick Holmes、作曲はGregor Mackintoshと完全分業制。その他メンバーはAaron Aedy(rhythm g)、Stephen Edmondson(b)が現在でも不動。ドラムがMatthew Archerとなっている。

 

List

M.E.

 

inserted by FC2 system