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Opus Avantra "Introspezione" ('74) この作品を聴くたびに脳裏に浮かぶのは、バレエダンサーが優雅に宙を舞い踊る姿。それもアルバム全編を通して。何故だかは判らないけど…。別段、バレエ音楽からの影響が強いわけではないと思う…けど、バレエ音楽に造詣が深いわけでは全くないので、判りませんが。そんな事を頭に思い浮かべつつ、時にAnnie Haslamを思い起こさせるオペラティックな歌唱を披露するDonella Del Monacoが楽曲を牽引していく。編成はLuciano Tavellaによるフルート、Enrico ProfessioneとPieregidio Spillerのヴァイオリン2本、Riccardo PerraroのチェロにPierdino TisatoとTony Espositoがドラム/パーカッションを担当と、まるで室内楽団のような編成で、聴こえて来るサウンドは正にそのものと言っても過言ではない。表題曲は音楽監督を務めるGiorgio Bisotto作で、Giorgio Bisottoがピアノ、Alfredo Tisoccoがチューバ、Tony Espositoがパーカッションとクレジットされている。それ以外はDonella Del MonacoとAlfredo Tisocco作によるもの。"Introspezione"、「内省」と題された曲に嘘偽りはなく、正しく、その言葉を音に置き換えたかのようなサウンドが聴ける。
Irene Orleansky "Live the Music" ('05) イスラエル在住のスティック・プレイヤー。スティックの持つ叙情性とIrene Orleanskyの表情豊かなヴォーカルが非常にマッチしている。殆ど、スティックにプログラミングという組み合わせで曲が構成されている。ダンサンブルなプログラミングも多用されているが、肌理の細かいスティックで単調さから抜け出しており、単なるダンス・ミュージック以上の楽曲に仕上がっている。ロシア人ヴォーカリスト/プログラマーKirill Malahovが全面的に参加。更に同じくスティック・プレイヤーのGuillermo Cidesが"The Child of Music"、"Karev Yom (Come to the Day)"、"Stay (Version II)"に参加。"Karev Yom (Come to the Day)"はユダヤ教の過ぎ越し祭の夜に歌われる伝統的な歌と"Ala Ya Uma"はイエメンのユダヤ教の伝統曲が収録されている。"Meditation"はスティックによるインスト曲。"Deep within Your Soul"は同じくスティック・プレイヤーのDon Schiff(Rocket Scientists)の曲。最後に"Dance with the Music of Your Heart"のAsi Kojakによるクラブ・リミックスも収録。女性ヴォーカル・ファンやスティックのサウンドが好きな人は絶対にチェックすべき作品。
Ozzy Osbourne "No More Tears" ('91) ロック・アイコンとしてその地位を確立したOzzy Osbourne。個人的に最もその相方に相応しいのはZakk Wylde(g)に他ならないと思っているので本作。当時、Michael Inez(b)は正式なメンバーで表題曲のリフを書いているのでmusical directionというクレジットがされているが、本作でベースを担当したのは全てBob Daisley。また4曲でMotorheadのLemmy Kilminsterが歌詞を共作している。冒頭の"Mr.Tinkertrain"ではオルゴール音の裏にTVドラマ"Sometimes They Come Back"からの台詞「where is she?」という男の子の声が入る。PVでは31年に発表されたフリッツ・ラング監督の「M」を使用したり、歌詞のいたるところでこの曲のモチーフを暗に示している。そのモチーフに合うようなザクザクと切り込むリフに特徴的なOzzy Osbourneの狂人のような声が曲の狂気を表現している。表題曲のシリアスな"No More Tears"の歌詞も連続殺人鬼をモデルにしている。"Hellraiser"は後にMotorheadが映画「Hellraiser 3」のサントラ用に再録している。それまでの馬鹿馬鹿しいまでのユーモアやパブリック・イメージも本作で多少違った方向に変わったように思える。そういう意味では重要な作品だろう。

 

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M.E.

 

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