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Nbagi "Ecdysis" ('00) Nbagiに関してはちょっとした思い出がある。随分と前だけど、Nbagiのアルバムを探していた時、ふと立ち寄った江古田の某(もへったくれもないのだけど)プログレッシャー御用達喫茶店にて。マスターと話していた時、このアルバムをかけてくれた。それを聴いたら、凄く欲しくなってしまい、目白に頼めば取り寄せてくれると思うよ?と言われ、その足で目白で頼んだ記憶がある。あの時、あそこであの音量でこれを聴かせられたら、一発KOは間違いなし、である。グループ名のNbagiとはパプア・ニューギニアの伝説上の怪獣らしい。オープニングでは、まさにその怪獣が出てくるかのような永田利樹のコントラバスの音から、ラテン・グルーヴを中心に芳垣安洋(ds)とトビー洲崎(perc.)が持つ多彩なリズムの中、伸びやかで奔放な林栄一のサックスが飛び回る。"Heso"と題された2曲目はそのまま「へそ」という事なのだが、困った事に曲紹介でバックドロップに言及されているので、どうもジャケットに描かれている怪獣がバックドロップをかましている所を想像してしまう。でも、このずっしりとしたグルーヴとリズムはあながち間違ってないかもしれない。"For Carrie"(映画「キャリー」から)では、映画最後のシーンの煉獄絵巻がそのまま音になったかのようなサウンドに聴いているこっちまでハラハラしてくる。一転して鬼怒無月のバンドリンと壷井彰久のヴァイオリンの絡みが素晴らしい"J.P."はJaco Pastoriusに捧げられている。アルバム最後に収められている"Freeze in Fire"の真っ直ぐなロックナンバーと曲中の即興パートの持つ緊張感が同質なのが素晴らしい。聴けば聴くほど、色々と発見の多いアルバム。いつでも楽しめる作品である。1stアルバム、とあるとその後も期待したい、とは思うのだけど、次はあるのだろうか?
New Trolls "Concerto Grosso Per 1"('71) Nico Di Palo(g、lead vo)、Gianni Belleno(ds、vo)、Giorgio D'Adamo(b)、Vittorio De Scalzi(g)からなるバンドとLuis Enriquez Bacalovによるオーケストラとの融合を果たしたPer 1。コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)の名の通りソロイストとオーケストラの対話的手法とでも言うのだろうか。ヴィオリンとIan Andersonばりの荒々しいフルートからバンドの演奏が引っ張っていく"Allegro"(ヴィヴァルディあたりの影響が強く感じる)、静謐な音像の"Adagio (Shadows)"はヴォーカル(英語)がしっとりと歌い上げる。ストリングスのこれでもかという高みに上るかのような旋律に思わず引き込まれる。流麗なヴィオリン・ソロがオーケストラを引き連れるようなオープニングから"Adagio"のヴォーカル・ハーモニーへと戻る構成。そして"Shadows"と題されたパートはサイケ・ポップな雰囲気をまとったヴォーカル曲。副題にある"per Jimi Hendrix"とあるようにフルート・ソロを挟んだ後、荒々しくも狂おしいギターソロに入る。そして、バンドの即興らしい20分にも及ぶ"Nella Sala Vuota"(In It Knows It Emptyと訳せるらしい)ではUriah Heepっぽいオルガンにコーラス、リフは時折Black Sabbath的でさえある。そこにクラシカルな旋律が散りばめてある、といった趣。中間部にはジャジーでありながら、ファンキーにならない極めてヨーロピアンなオルガンが鳴り響く。最後はドラム・ソロで締め括られる。ジャケット中央の白抜きの文字は"To die / to sleep / perchance to dream"というハムレット(シェイクスピア)からの引用があり"Adagio"等でも歌われている。
No Sweat ('90) Def LeppardのJoe Elliottの肝入りでデビューしたアイルランド出身のNo Sweat。Paul Quinn(vo)、PJ Smith(key、vo)、Jim Phillips(g、vo)、Jon E.Angel(b)、Dave Gooding(g、vo)、Ray Fean(ds)からなる。アルバムではドラマーが加入する前だったことからJames Kottak(Kingdom Come)が叩いている。Keith Olsenがプロデュースを担当。ヴォーカル・コーラスを配したダイナミックなポップ・ロックが特徴。"Heart and Soul"、"Tear Down the Walls"、"On the Edge"の3曲はシングル・カットされてアイリッシュ・チャートでは健闘したよう。当時のハード・ロックを象徴するような活きのいい大仰さがウリ。"Generation"などでホーンっぽいサウンドは多分シンセからだろう。因みにプロダクションでJimmy CrichtonとMichael SadlerのSagaの二人が本作に参加している。

 

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M.E.

 

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