L

Led Zeppelin
"IV"('71)
発売当時アルバムタイトルどころか、バンド名の表記もなかった、このアルバム。ゆえに便宜上"IV"とかルーン文字のシンボルをメンバーがそれぞれ選んだことから、「ルーン・アルバム」とか色々と呼ばれているのが本作。あまりにも強力な"Stairway to Heaven"があるため、他の曲の影が薄くなったかというと、決してそんな事はなく。それ以上にこのアルバムが傑作と呼ばれる所以は、楽曲の充実にある。冒頭からロックバンドとしてのアイデンティティを前面に出したハードロックの教科書的な"Black Dog"と"Rock and Roll"。一転してFairport Conventionの歌姫Sandy Dennyを迎えてトラッド風の美しい曲"The Battle of Evermore"から劇的な名曲"Stairway to Heaven"(この曲が名曲とされているのは、John Paul Jonesの多彩なサウンドがあってこそ、と個人的には思える)へと繋がる前半部から、強力な独特のグルーヴを持つファンクナンバー"Misty Mountain Hop"、そしてJohn Bonham(ds)が二つのセットのドラムスティックを使っていることから曲名が決まった"Four Sticks"の幻想的な音空間を持ちつつRobert Plantのシャウトが気持ち良いほどに伸びる。Joni Mitchellの事を歌ったとされる"Going to California"。"There's a girl out there with love in her eyes and flowers, in her hair"や"They say she plays guitar, and cries and sings"といったラインは有名。最後にお得意のブルーズの改作"When the Levee Breaks"。Kansas Joe McCoyとMemphis Minnie夫妻によって録音されている。この曲は1927年、ミシシッピー川が氾濫した時、30トンもの爆薬を使って土手(levee)を爆破した時の事を歌ったもの。但し、この爆破は不必要だったとの説もある。Led Zeppelinのバージョンでは、力強い怒りを表に出したバージョンとなっている。
Bjorn J:son Lindh
"Atlantis" ('83)
ジャンル分けをするなら、KitaroやVangelisのようなニューエイジ、という事になるのだろう。但し、そこはBjorn J:son Lindh。緩さは全くない。曲の構成からサウンドまで多彩なゲスト陣を迎えながら、美しく仕上げている。Bjorn J:son Lindhのピアノ/シンセを軸に表題曲では元FocusのJan Akkermanがアコギとギター・シンセで参加(特にアコギ・プレイが素晴らしい)。盟友Jan Schafferがギター、シタールで、ABBAにも参加したMats Ronander(g)、KebnekaiseのギタリストKenny Hakansson等も参加。作曲はトラディショナル作品の"Marion's Dream"を除いて全てBjorn J:son Lindh作。アルバム・タイトルやジャケットに象徴されるように海や未だ知られることのない大陸への憧憬などをモチーフにメロディアスな旋律で埋め尽くされている。美しく、広がりのある、そして深遠な作品。
Little Angels
"Young Gods" ('91)
ジャケットに映し出されるメンバーのバックにある「理由なき反抗」のJames DeanやRolling Stones、David Bowie、Jimi Hendrix、Janis Joplin、Jim Morrison、John Lennonといったポスター陣がある種本作のキーワードにもなっているだろう。本作はMark Plunkett(b)、Toby Jepson(vo、ac.g)、Bruce John Dickinson(g、banjo)、Jimmy Dickinson(key、p、hammond organ)、Michael Lee(ds)という編成による2nd。ミッド・テンポながら高揚感のあるオープニング曲"Back Door Man"から畳み掛けるようにグルーヴのある"Boneyard"、マンドリンによるオープニングにちょっとサイケっぽさを併せ持たせた"Young Gods (Stand Up Stand Up)"と続く。バラード曲"I ain't gonna Cry"を挟んでホーンが活躍する"The Wildside of Life"と元気の良いナンバーがこの後も続く。ドラマティックなオープニングを持つ"Natural Born Fighter"からElton John風なピアノで始まる"Feels like the World has Come Undone featuring the Angel's Anthem"で本編が締め括られている。日本盤にはボーナストラックに"Take It Off"、"Revival"と"Jump the Gun"の3曲が更に収録されている。特筆すべきは随所でセンスの良いオルガンや転がるようなホンキートンク・ピアノを聴かせるJimmy Dickinsonの存在は欠かせないだろう。そこに記名性の高いToby Jepsonのヴォーカル、キャッチーな楽曲群に突き抜けるような元気の良さが特徴だろう。

 

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M.E.

 

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