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Roy Harper
"Stormcock" ('71)
David Gilmour(Pink Floyd)をはじめ多くのファンを持つRoy Harperのベストワークに挙げられる作品。本人はそうは思ってはいないようだが、事実、その後のライブでここからの曲は重要な位置を占めているのを考えると、本人もしっかりとその辺りは把握しているのだろう。ジャケットの笑顔を見れば、どれだけの物を創り上げたか、安易に想像できるほど、いい顔をしているジャケット。このレコーディング時、当時はまだ、あまりギター弦をしっかりと買わなかったRoy Harperは同じAbbey Road StudioにいたShadowsのHank Marvinにギター弦を何本かおねだりをしたという話もある。2曲目"The Same Old Rock"のリードギターにクレジットされているS. Flavius MercuriusはJimmy Page。やはり最大の聞き物はDavid Bedfordがアレンジを担当した13分にも及ぶ"Me and My Woman"だろうか。アコースティックギターを主に使いながらも、決してメロウな路線に身をおかず、どちらかというと、ハードな路線を好むRoy Harperだが、この"Me and My Woman"は繊細さとDavid Bedfordによる壮大なオーケストレーションの組合せが良い。その後、ライブではスピードアップさせてプレイするRoy Harperも、らしい。確かに、括るとしたらフォーク・ロックとなるのだろうが…この熱さはアコースティック・ロックと呼びたい。
Humble Pie
"Smokin'" ('72)
元々はSteve Marriott(vo、g、harp、key)とPeter Frampton(g)の双頭バンドとして注目を浴びるも、結局は水と油みたいにその音楽性がよくある化学反応を見せることもなく、置土産にフィルモアの怒涛のライブ"Performance"を残してPeter Framptonが脱退。後任にClem Clemson(g、key、vo)が参加。一気にSteve Marriottの持つR&B趣味全開のハードロックに焦点をしっかりと合わせた名盤を作り上げた。いきなりファック・ン・ナスティーと歌っているように聴こえる"Hot 'N' Nasty"のFreeにも通じる間とオープニングから鳴り響くオルガンが醸し出すグルーヴが聴く者をHumble Pieの世界に巻き込む。アコースティックな出だしで始まるトラッド曲"You're So Good for Me"で聴けるのはGreg Ridleyのヴォーカル、そして後からSteve Marriottの声が重なる。女性コーラスにMadeleine BellとDoris Troyと実力派揃い。英国では絶大な人気を誇るEddie Cochranの"C'mon Everybody"のカヴァーから米国南部への憧憬が伺えるスワンピーなナンバー"Old Time Feelin'"ではAlex Kornerがバンジョーっぽいギター、ティプルとヴォーカルを披露(Greg Ridleyの声も前に出ていますね)。コーラスを合わせるリハっぽい様子から始まるキャッチーなナンバー"30 Days in the Hole"。Junior Walkerの"Roadrunner / Road Runner's 'G' Jam"にはオルガンでSteve Stills(Crosby Still & Nash)が参加。古くは20年代、Louis Armstrong等から歌い継がれた"I Wonder"をHumble Pie流のヘヴィー・ブルーズに。最後の"Sweet Peace and Time"もGreg Ridleyの野太いヴォーカルから始まるハード・ブギーな曲。こうしてみると、Greg Ridleyのヴォーカルって結構活躍している。今作で多用したコーラスも後のThe Blackberriesの参加要請への欲求を高めただろう。誰もが認めるロックの名盤。
Hardline
"Double Eclipse" ('92)
Brunetteで活動していたJohnny Gioeli(vo、g、perc.)とJoey Gioeli(rhythm g、vo)が元Journey〜Bad EnglishのNeal Schon(g)、Bad EnglishでNeal Schonと行動を共にしたDeen Castronovo(ds)にTodd Jensen(b)というメンバーで結成された1st。1stシングルとなった"Hot Cherie"は83年にDanny Spanosがヒットさせた曲(オリジナルはStreetheart)。全体的にメロディアスなキャッチーなフレーズが満載。大仰なコーラス、と80年代中期のLAメタルを継承するタイプの楽曲が多い。"Everything"なども歌詞は赤面ものだったりもするが、ドスの利いたJohnny Gioeliの野太いヴォーカルもあって、あまり気にならない。"Dr.Love"は元City BoysのMike SlamerとMark Bakerによる曲。Neal Schonによるギター・インスト"31-91"やJonathan Cainが作曲に参加した"Everything"や"I'll be There"はJourney〜Bad Englishと続いたアリーナ・ロック路線。"Rhythm from a Red Car"は名曲。自然と体が動くポップ・ロックの名作。

 

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M.E.

 

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