E

Etna
"Etna" ('75)
Fleaを前身に持つバンド。Carlo Pennisi(g)、Elio Volpini(b)、Agostino Marangolo(ds)、Antonio Marangolo(key)の4人編成の全編硬質でテクニカルなロックを繰り広げるインスト・アルバム。所謂ジャズロックと呼ばれるタイプ。まずは目眩るめるテクニックの応酬。技巧派とはいえ、ジャジーなサウンドが根底にあるが故、無骨ながら滑らかな、この時代ならではのサウンドが聴ける。シリアスなんだけど、聴きやすいのは、メロディーの良さかな?同系列のジャズロックバンドに比べると圧迫感が少ないように思える。やはり、こういう音は時代を超えたサウンドとも言えようか。インストだけど曲目が全部英語だと、やっぱりちょっとホッとする…。因みにバンド名はシチリア島にある火山名。ジャケットも秀逸。
Ethos
"Ardour" ('75)
Michael Ponczek(chamberlin、organ、moog)、Mark Richards(perc.)、Wil Sharpe(g、mandolin、vo)、Brad Stephenson(b、vo)、L.Duncan Hammon(mellotron、piano、moog、organ、clarinet)という編成で発表された75年1st。バンド名はギリシャ詩劇にも登場する人物から。2人のキーボード体制を持ちながらも意外にも作曲に携わっているのはギターのWil Sharpeが主。75年という時代にあって、ブリティッシュ・プログレッシブ・ロックの黎明期をよく研究している痕跡が窺える。Hawkwindのようなスペーシーなキーボード・サウンドが飛び出す"Space Brothers"、King Crimson的なメロトロンがサウンドを牽引したり、牧歌的なパートはGenesisを思い起こさせたり。ベースはChris Squireに影響されているのであろう、硬質なサウンドを聴かせる。こうやって書けば、確かにあちこちからヒントを沢山貰ってきて繋いだアルバム、ともなるのだが。やはり、愛すべきサウンド、ということだろうか。多彩なサウンドを聴かせる展覧会的なアイディアが良い。2ndではL.Duncan Hammondが脱退している。プロデューサーは後にForeignerに入るLou GrammがいたBlack SheepのプロデュースもしていたStuart Alan Love。
Emerson, Lake & Palmer
"Tarkus" ('71)
元The NiceのKeith Emerson、元King CrimsonのGreg Lake、元Atomic RoosterのCarl Palmerからなる。鍵盤ハードロック・トリオと言っても過言ではない攻撃的なプログレッシブ・ロック・バンド。クラシカル・ミュージック、サイケデリック、ジャズ、ロックン・ロール等といった多彩なバックグラウンドを持つKeith Emersonのプレイは攻撃的でパーカッシブ。Greg Lakeの伸びやかな喉はどちらかというと叙情面担当。Carl Palmerは正にバンド・サウンドの牽引役だろう。所謂LPのA面が空想の怪獣をモチーフにした表題曲。7つのパートからなる組曲となっている。ハモンドやチャーチ・オルガン、ピアノ、チェレステ、ムーグ・シンセをこれでもかと弾き倒さんとする攻撃的なプレイが巻き起こすカタルシスは圧巻。Greg Lakeの伸びやかで迫力のある喉はKeith Emersonのプレイに比肩するパワーをも併せ持つ。"Stones of Years"で聴かせる叙情性や意外に泣きを効かせる"Battlefield"のギター・プレイが素晴らしい。"The Only Way"のイントロでバッハのトッカータヘ長調を使い、荘厳なGreg Lakeのヴォーカルに乗るようにブリッジ部で平均律クラヴィーア曲集第6番ニ短調が引用されている。そして"Infinite Space"は副題に"Conclusion"とあるように"Tarkus"のテーマがピアノで再び出てくる。最後はホンキートンク・ピアノが転がるようにロールするエンジニアのEddy Offordを揶揄した"Are You Ready Eddy?"で締め括っているところにこのグループのエンターテイナーな基本姿勢が見える気がする。

 

List

M.E.

 

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