D as dexology

D

Demon
"British Standard Approved" ('85)
New Wave of British Heavy Metalムーヴメントから出てきたDemonの4th。バンド名からしてガチガチにイメージを固められやすかった所に、このジャケット。逆にファンは戸惑った。ジャケットに描かれたタイタニック号は大英帝国斜陽の象徴。寒々とした海を進むSEから人々の話し声。そして、ダイナミックな音世界が展開される。Dave Hillはストーリーテラーだ。立体感のある音空間の中を切り裂くようにMalcolm Spoonerのギターが入ってくる。作曲も全てこの2人。Pink Floyd等に代表されるようなストーリーを持たせたプログレシッブロックに果敢に挑んだのは、ミュージシャンとして悔いのない最後の作品を仕上げたかった、というMalcolm Spoonerの思いか(アルバム完成7日後に亡くなる)。サポートするようにサウンドに膨らみを持たせるのは新加入の若きSteven Watts(key)。ゲストにベース、リコーダー、フルートと大活躍のGavin Sutherland(The Sutherland Brothers Band)とJohn Waterhouse(g)がヘルプに。そしてムーディーなインスト"Second Stage"を挟みアルバムテーマの根幹となる"Proxima"で、近年の技術革新が過去数世紀分の進化に値するのではないか?それぐらい早いペースで人や世界は変化し対応を強いられているのか、というテーマを提示する。そして2部作に分かれる"The Link"から後半へ流れ込む。"New Ground"や"From the Outside"のイントロ等は静をしっかりと見つめた作風が素晴らしい。そして、最後の最後、表題曲となった"Hemispheres (British Standard Approved)"で見事にアルバムを描ききった。Dave Hillの声にRoger Watersのエッセンスが聞こえる。New Wave of British Haevy Metalというムーブメントが起こした一つの底力。異色なんだろうが、快作である。
Def Leppard
"Hysteria"('87)
ドラマーRick Allenの忌まわしい事故から3年。Rick Allenの復帰を誰もが歓迎した。左腕一本でアコースティック・ドラムとエレクトリック・ドラム、トリガーの組合せでアルバム制作に臨む。ロック・アルバムでここまでエレクトリック・ドラムがどっしりとしたサウンドを造り上げたのは"Hysteria"が初めてではないだろうか?プロデューサーMatt Langeもこのアルバムで多くの方法論を確立したはず。今作はLPで言うところのA面は全てシングルになったんじゃないかな?"Woman"、"Rocket"、"Animal"、バラード"Love Bites"、"Pour Some Sugar on Me"、"Armageddon It"。それがそのままプロモ・ヴィデオとなり日本のお茶の間にも普通に流れた。残念な事に個人的にDef Leppardの歴史がここで止まってしまったまま。この後も追ってはみたものの、どうしても違和感が抜けず。やはり違う。


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M.E.



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