Tim Alexander

Tim Alexander

Attention Deficit "Attention Deficit" ('93)Magna Cartaから出た即興ジャズ・ロック・プロジェクト。元TestamentのAlex Skolnick(g)がMichael Manring(b)に声をかけたところから始まったようだ。ドラムにTim Alexanderを迎える。冒頭に3人の頭文字を捩った"ATM"をはじめ、"TMA"、"MAT"等、3者3様のサウンドを打ち出したトラックが聴ける。"An Exchange of Niceties"は90年代以降のKing Crimson的な混沌と整合性を聴かせる。続く"Scapula"ではMichael Manringの独創性のあるサウンドが後半から曲をグイグイと引っ張っていく。11分にも及ぶ"Fly Pelican, Fly"は最後の4分ぐらいからヘヴィーなセクションへと雪崩れ込む。約56分、全18曲の作品。
The Brides "Dalmatian Car" ('97)Tim Alexander(ds、b、g、key、vo)とLinda Cushma(b、g、ds、vo)によるユニットThe Bridesの唯一作。John Henry Hiltonが5曲でdsを叩いている。やはり一番近いのはPrimusだろう。歌メロそのものは非常にポップでありながら、バックの演奏から乖離したり近づいたり。表題曲の"Dalmatian Car"は語りに近いラップのような歌い方にヘヴィーなノイズがゆったりとしたグルーヴを醸しだす。John Henry Hiltonが参加した曲の一つ"Spot"はPrimusが演奏していもおかしくないような曲。"Paper Airplanes" は桜のメロディーをバックに歌が乗る。"The Corner Store"はレゲエっぽいリズムに何とも言えない脱力感のある歌がのる。最後はインスト"Freak Dub"で締め括られている。至る所にLinda Cushmaのスティック・サウンドも散りばめられており、あのサウンドが好きな向きにも良盤となるだろう。
Attention Deficit "The Idiot King" ('01)Magna Cartaから出る一連のセッション・アルバムは2枚目となると一気に構築性が上がる。1枚目は音出し、って感じで危ういバランス感覚を持つが、個人的にはこちらの方が安心して聴ける。硬軟使い分けるMichael Manringのプレイが随所で光る。方やAlex Skolnickは意外とジャズ・ギタリストであることを意識したかの如くなサウンドが多いように感じる。そんな中"Dubya"のギター、"The Killers are to Blame"のドラム、"Nightmare on 48th St."の混沌、"Public Speaking is Very Easy"のベースといった後半の流れは聴き物かもしれない。Tim Alexander、ギターのクレジットがあるのが驚き。
Oxygene 8 "Poetica" ('03)Linda Cushma(vo、stick)、Frank D'Angelo(g)、Tim Alexander(ds)によるトリオ・グループのデビュー作。Linda CushmaとFrank D'Angeloもmidiを通して多彩なサウンドを操っている。そこにTim Alexanderが変則的なリズムを叩き出している。電車の発車メロディーのようなオープニングで始まる"Empty"、サウンドスケープの美しい表題曲"Poetica"といったインストが12曲中5曲。残りのヴォーカル・ナンバーもハード・ドライヴィングなものからしっとりと歌い上げるものまで多様。本作はLinda Cushmaの兄弟Larryに捧げられており、その中でも中心的なトラックがJim Hornadayが弾くアコースティック・ギターが美しい"Larry's Lullaby prelude"とLinda Cushmaの想いがストレートに歌詞に表現されている"Larry's Lullaby"だろう。Larryは肺がんで苦しんでおり、バンド名であるOxygene 8(発音がoxygenateとなる)も肺がんで苦しむLarryの苦しみを少しでも軽くしたい、との思いから付いたそう。因みにマスタリングはTy Tabor(King's X)。
Fata Morgana "This is a Dream" ('07)Tim Alexanderによるソロ・プロジェクト。重いグルーヴを持つグランジ以降のベタっとしたギター・サウンドが特徴のヘヴィ・ロック・グループ。Tim Alexanderらしいフリーキーなドラミングも聴けるが、決してリズム主体ではなく、むしろ、楽曲主体。クラシック・ロックの語彙があちこちに散りばめられている。オープニング・トラックの"It's just the Way We Are"はBlack Sabbath的な引き摺るような重いリフを持つ曲からヘヴィーでスローな"Aim Low"の流れが意外と呪術的で病みつきになる。一筋縄で行かないリズムを持った"Reason"などは非常にらしい。延々と引き摺るようなサウンドで引っ張る11分を超える"E Dream"で締め括られている。Luis Carlos Maldonado(g Into the PresenceやGlenn Hughesの"First Underground Nuclear Kitchen"などに参加)、Todd Minix(g、vo Fred Green)、Paz Lenchantin(b Zwan等)、Tony Levin(b)、Sam Lersch(b Fred Green)、Chris Peeler(vo Fred Green)が参加。
Cushma Cides Alexander "Not Different but Not the Same" ('08)Linda Cushma(vo、b、stick Oxygene 8等)、アルゼンチン出身のGuillermo Cides(stick、g、key等)、Tim Alexander(ds)によるプロジェクト。印象として80年代以降のKing Crimsonをベース(勿論stickに拠る所が大きい)に、ポップでキッチュな感じで仕上げたような印象を持つ。勢いのある"Crazy Beautiful Life"から幕を開ける。"Close Your Life"はOxygene 8でも取り上げたSteve Parrishの曲の再録(?)。ここでもTony Levin(b)がゲスト参加している。強烈なグルーヴを持つ"Half the World"はElectric Consort BandのNan Mercader(perc.)が参加。浮遊感のあるオープニングを持つ"Helens Mountain"はDjam KaretのGayle EllettがキーボードでFederico Miranda(Gandhi)がギターソロで参加。"Woman on Horseback"はTrey Gunn(stick)とJoe Mendelson(key)のプロジェクトQuodiaの曲に新しいアレンジを施したもの(この曲はQuodiaのサイトでオリジナルを聴くことが出来る)。インターネットを駆使し、多くのゲストを迎えるもLinda Cushmaのポップでキッチュなセンスを軸に記名性の高いヴォーカル(時にMadonnaあたりを思わせる声質を持つ)がグイグイと曲を引っ張る。名盤。


Others

Michael Manring "Thonk" ('94)既に(?)Attention Deficitで共演経験のあるMichael Manringのソロ4作目。自身が製作に関わったhyper bassのみの曲("Monkey Business"、"My Three Moon"、"Adhan"、"The Enormous Room")はライブ・レコーディングされた曲。Tim Alexanderは冒頭の"Big Fungus"と"Bad Hair Day"はMichael ManringとのデュオとAttention Deficitのラインナップによる"Disturbed"の3曲に参加。Michael Manringのプレイはギターでも弾いているのかと思わせるようなサウンドが飛び出す(ある種Jonas Hellborgにも通じるトリッキーさを持つ)。お互いテンションの高い超絶プレイを繰り広げる。その一方でWindham Hillのレーベル・メイトであるPhil Aabergのピアノが美しい"On a Day of Many Angels"はWindham Hillらしい美しい桂曲。その他にSteve Morse(g Dixie Dregs)、Steve Smith(ds 元Journey等)が参加。因みに"My Three Moons"はDNAの構造解明に貢献したRosalind Franklinに捧げられているのが興味深い。
Oxygene 8 "Freak of Chance" ('07)07年に出された5曲入りEP。プロデュースにSteve Parrish(g、syn、vo)が担当。冒頭の"Close Your Eyes"と"Don't Look Down"はSteve Parrishによる静謐なイメージを持つ、どこかno-manあたりを思わせる曲。Tim Alexanderはその冒頭の"Close Your Eyes"と"No Different but not the Same"のみに参加。"Freak of Chance"ではKiko King(メキシコのCastに参加していたらしい)がドラムを担当。最後の"Poetica Reprise"は前作からの抜粋をミックスしたような感じ。"Close Your Eyes"にはTony Levin(b)を迎えLinda Cushmaはヴォーカルに専念している。その他の曲ではスティックを持っている。ギターにClaudio Corderoが2曲、Federico Mirandaが1曲参加。
Puscifer "V is for Vagina" ('07)ToolやA Perfect Circleで活躍するMaynard Keenan(vo)のソロ・プロジェクト。プログラミングされたノイズなどをふんだんに使っている割にはMaynard Keenanのヴォーカルが非常に生々しく感じる。日本人の声をサンプルした"DoZo (Version2)"のように所謂トリップ・ホップなどに分類されるようだが、そんな中でもMomma Sed"のようにAinjel EmmeとMat Mitchellのアコースティック・ギターを主体にしたギトギトしたブルージーなナンバーも。妖しい雰囲気を醸しだすシアトリカルな"Drunk with Power"はStolen BabiesのGil Sharone、Rani Sharoneの双子のリズムセクションが参加。アルバム最後を飾る"Rev.22:20 - Dry Martini Mix"はその名の通り黙示録の最後の最後である22章20節をモチーフにしたもの。Tim Alexanderは冒頭の"Queen B"、"The Undertaker"、"Sour Grapes"に参加。


Primus

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