Jack Bruce Pt.3

Jack Bruce Part 3

Pt.3です。長いなぁ…うん。キャリアが長いだけあって色々な事やってますね、Jack Bruceは。課外活動第2弾はゲスト参加ですが…ここではボーカルに焦点を当ててみましょう(これがまた見事に脈絡ないんだな…本当に)。


Guest
Gary Moore
"Corridors of Power"('82)
Gary MooreのVirgin移籍第1弾(当時ファンはHM/HRに全く無縁だったVirginとの契約は驚きだった…)。6曲目Gary Moore作の"End of the World"(当時ライブでもこれから始まる事が多かったらしい)でJack Bruceがボーカルで参加。これが、Gary Mooreの自慢の一つで、この作品がJack Bruceのヴォーカルのみでのゲスト参加作品が初めてのこと。Neil Murray(b)、Tommy Eyre(key)とBobby Chouinard(ds:元Billy Squire Band)という編成で収録されている。Gary Mooreのちょっとクラシカルなイントロ・ギター・ソロから始まるHRの佳曲。ギター・クレイジーの異名は健在である。アルバムとしても完成度の高いHRを披露している。中でもGary Mooreお得意の泣き泣きのバラード2曲やFreeのカバー"Wishing Well"とお馴染みのナンバーが入っている。
Allan Holdsworth
"Road Games"('83)
Edward Van Halenが奔走して発売に漕ぎ着けたと言われるアルバム。Jeff Berlin(b:Bruford等セッション多数)、Chad Wackerman(ds:Frank Zappa等)というメンツで製作された。Jack Bruceは5、6の"Was There?"と"Material Real"でボーカルを取る。表題曲ではTempest時代の盟友Paul Williamsがボーカルを取る。バックボーカルにPaul Korda(元Rare Bird)の名前が見えるのも興味深いでしょう。Jack Bruceらしい歌声を披露してます。
The Golden Palominos
"Visions of Excess" ('85)
Anton Fier(ds)率いるアヴァン・ポップロック・プロジェクトThe Golden Palominosの2nd。80年代中期に作られたポップロック作品としては現在でも未だ古臭さを感じさせない貴重なグループ。Jack Bruceは"Silver Bullet"で歌とハープで参加。この曲ではBill Laswell(全曲で参加)、Jody Harris(g&slide g、元Raybeats)、Richard Thompson(g、元Fairport Convention)、Bernie Worrell(Hammond Org)、Syd Straw(back vo)というラインナップで作られいるブルーズロックの佳曲。Jack Bruceの勢いのあるボーカルとSyd Strawとの絡みが素晴らしい。また要所に配されたJack Bruceのハープの力強さは曲のアクセントを上手く付けている。
その他にもSex PistolsのJohn Lydon、R.E.M.のMichael Stipe等が参加。
The Golden Palominos
"Blast of Silence" ('86)
JB参加第2弾の3rd。アルバムの基本路線は前作と同じく80年代中期にしてはねじくれたハードポップな面とブルースロックっぽい部分を併せ持つアルバム。Jack Bruceは"(Something Else is) Working Harder"にLarry Saltzman(acc.g)、Barnie Worrell(Hammond Org)、Peter Blegvad(g、元Slapp Happy)、Jody Harris(g)、Nicky Skopelitis(g;Material、Curlew等)、Bill Laswell(b)、Syd Straw(back vo)と共に参加。このアルバムでもJack Bruceはクラシック・ロック調のアプローチを持つ一際ハードな曲を担当。3本のギターが怪しいうねりを醸し出し、Jack Bruceのボーカルは何処か悲愴感みたいな悲哀を感じさせる。Syd Strawとの絡みがこの曲でも非常に良い効果となっている。
Bill Ward
"Ward One : Along the Way" ('90)
初代Black Sabbathドラマー、Bill Wardの1stソロ。基本的なバンドメンバーはMarco Mendoza(b)、Keith Lynch(g)、Rue Phillips(g 元Smokin' Roadie)という面子。そこに多彩なゲストが参加というアルバムになっている。Jack Bruceは"Light Up the Candles(Let There be Peace Tonight)"と"Tall Stories"でベースとヴォーカルで参加。"Light Up the Candle"では作曲にも加わっている。特徴的な膨らみのあるベースプレイ(音がデカイ!!!)に非常に優しさのある歌い方を披露しているのが印象的。ギターはMalcolm BruceでKeith Lynchはサポート。 "Tall Stories"ではハードで緊張感の高い感じの曲調にJack Bruceの情感豊かなヴォーカルが引っ張って行く。その他には、やっぱりBlack Sabbathっぽい曲も用意したんだなと思わせる"Bombers(can Open Bomb Bays)"が始まると、ヴォーカルは盟友Ozzyだったり。Zakk Wyldeの聞き間違いようのないプレイが聞ける"Pink Clouds an Island"があったり、Malcolm Bruceと書いた"Short Stories"ではMalcolm BruceのピアノのみをバックにBill Wardがエフェクト処理をしたヴォーカルを乗せて、次の"Bombers"へと繋ぐ構成で演出したりと工夫の多いアルバム。再起をかけたアルバムとしては上出来なハードロックを基調としたアルバム。
Michael Mantler
"Folly Seeing All This" ('93)
Michael MantlerがThe Balanescu Quartet(strings)、Rick Fenn(g;10cc他)、Wolfgang Puschnig(alto flute)、Karen Mantler(piano)、Dave Adams(vibra、chimes)と作った作品。Jack Bruceは最後の3曲目Samuel Beckett作の"What is the Word"でKaren Mantlerとボーカルを分け合う。Michael Mantlerはこの作品に思い入れが強いらしく後に"The School of Understanding"でも引用している( Pt.2参照)。Jack Bruceは女性ボーカルとの相性が非常に良く、このKaren Mantlerとのボーカルの分け合いも非常に良くマッチしている。これはJack Bruceが持つ、咽び泣くようなボーカル・スタイルによるものかもしれない。この曲でのRick FennはDavid Gilmourを思い起こさせる…。
Leslie Mandoki and Friends
"People" ('94)
私が持っているディスクには詳しいクレジットが全くないので、詳細は不明ですが、Jack BruceがCMPに在籍中に制作された模様(93-96年の間、という事になりますね;94年と判明しました)。Leslie Mandokiの豪華ゲスト満載(Ian Anderson、Jack Bruce、David Clayton-Thomas、Bobby Kimball、Nik KershawにSteve Khan、Al Di Meola、Geroge Kopescni、Pino Palladino、Anthony Jakcson、Victor BaileyにBST Horns等)のこのスタイルはこのアルバムから始まったようだ。殆どの楽曲はLeslie MandokiとLaszlo Benckerによる。"Imagine"やMiklos Varga(元Pandora's Box:ハンガリー出身)の"Mother Europe"、Nick Kershawの"Love and Money"等のカバーを含む。ゴージャスなポップ・ロック目白押し。
Mark Nauseef Miroslav Tadic
"The Snake Music"('94)
CMPからの刺客Mark Nauseef(ds)とMiroslav Tadic(g)によるプロジェクト作。Jack BruceはJimi Hendrixの"The Wind Cries Mary"、"Rope Ladder to the Moon"(1stソロから)でボーカル、ベースを担当する他1曲目の"Lizard on a Hot Rock"(Jack Bruce/Markk Nauseef/Miroslav Tadic作)でハーモニカも披露。Jack Bruceの"T.W.C.M."は詩を読むような語り口調で囁かれ、続く"R.L.t.t.M."でも同じ調子で進む。ボーカルが押さえられた事でバックの演奏が更に強調され、その凄みが伝わって来る。その他にもW.Puschnig(sax)、Markus Stockhausen(trumpet)、David Torn(g)と前衛的なミュージシャンが集められたアルバム。Nino Rota(フェリーニの映画音楽やGodfatherの音楽担当等で有名)の"Amarcord"、Zappaの"Who are the Brain Police?"("Freak Out!"<'66>)のカバーも収められている。
Poems by Paul Hines Music by Many
"Darn It!" ('94)
実に製作年数7年という長い年月を掛けて作り上げられたKip Hanrahan主導の元に出来上がったプロジェクト。現代音楽からモダン・ジャズ、アヴァンギャルドと名の付く音楽の集大成とでも言えようか。Paul Hainesの「ことば」を礎にDerek BaileyやCarla Bley、Robert Wyattらが曲を提供。全33曲、CD2枚組、参加ミュージシャンは50人以上というボリュームである。Jack Bruceは1枚目の"Rawalpindi Blues"(Carla Bley作曲)でベースと歌を担当。Don Pullenのピアノ、Leo Nocentellis(元The Meters)のギター、Robbie AmeenとMarvin "Smitty" Smith(元Strata Institute)両者によるトラップ・ドラムによる非常に表情豊かなナンバーとなっている。
Kip Hanrahan
"All Roads are Made of the Flesh" ('95)
千夜一夜物語に既に取り掛かっている中、リリースされていなかったマテリアルが貯まっていたものを纏めて発表したもの。古くは最後のトラックで85年の"The First and Last to Lve Me(2、October)"まで遡る。オープニングはJelly Roll Mortonの"Buddy Bolden's Blues"。Jack Bruceがサッチモさながらのヴォーカルを聴かせる。ピアノはAllen ToussaintにオルガンがDon PullenにCharles Nevilleのテナーが入る。続く"...At the Same Time as the Subway Train was Pulling Out of the Station..."ではお馴染みのRobbie AmeenとJT Lewisのトラップ・ドラム、Milton Cardona、Anthony Carillo、Richie Floresのコンガ隊と管がグルーヴを生む。Don Pullneのピアノが縦横無尽に駆け回る。続く"The First and Last to Love Me(4、December)"はCarmen LundyのしっとりとしたヴォーカルにDino SaluzziのバンドネオンにDon Pullenのピアノが絡むトラックとなっている。アルバム・タイトルになっている歌詞が冒頭に入っている"The September Dawn Shows Itself to Elizabeth and Her Love on East 18th Street in Manhattan"はダウンタウン・ジャズと呼ぶべきトラックだろうか。Jack Bruceがジャジーに歌う。"The Same Dawn, at Almost the Exact Same Moment, Actually Smiles at Don in Passaic"でもJack Bruceがヴォーカルを担当。肌理の細かいトラップドラムやパーカッション類が印象的。そして、57秒という長さながら、このトラックのためにこのアルバムが作られたといっても過言ではないDon Pullenの奏でるソロピアノが美しい"Within an Hour, in New Orleans, Chalres Knows the Light's in the Room without Even Opening His Eyes"。最後にJack Bruceらしいベース音が冒頭で聴け、管が曲を引っ張るバージョンにしてある"The First and Last to Love Me(2、October)"で締め括られている。最後にこのアルバムはDon Pullenに捧げられている。
Kip Hanrahan
"A Thousand Nights and a Night (Red Night) ('96)
Kip Hanrahanが総指揮を執る千夜一夜物語の第一弾。今回も構想に4年ほど費やしているらしい(現在、3枚まで作られている)。一応物語り形式なので、ボーカル陣は役が付いている。Jack BruceはJewish DoctorとTaj al-Muluk役の2役を仰せつかっている。元々Jack Bruceは歌う、というより、囁く、話しかけるようなタイプのボーカルを聞かせる事が多いので、こういうタイプは更に本領発揮、というところだろうか。曲に感情を乗せるのが非常に上手い人だなぁと殊更に実感。バックはいつものKip Hanrahan一派が務める。Don Pullen(p)、Robby Ameen(trap ds)、Fernando Saunders(b)、Milton Cardona(congas)、Paoli Mejias(congas)、Eric Valez(congas)、Alfredo Triff(vln)、Andy Gonzalez(b)、Anthony Carrillo(bongos)等。また今作ではJack Bruceが歌う"The Jewish Doctor's Tale (Opening)"にEric Schenkman(g:元Spin Doctors)も参加。パーカッション類が音壁を築き上げる中、壁画を描くようにソロイストが色彩を加えていく。昔話を語り継ぐようにボーカリストたちのストーリーは続く。
Man Doki
"People in Room No.8" ('97)
Leslie Mandoki(vo、ds、perc.、udu)とLaszlo Bencker(key.、grand-piano、hammond-organ)が中心となって多くのゲストを迎えて作られたオールスター・ポップロック作品。では、そのゲスト陣を見てみよう。ボーカルにJack Bruceを始め、Ian Anderson(Jethro Tull)、David Clayton-Thomas(元Blood,Sweat&Tears等)、Bobby Kimball(元Toto)、Chaka Khan、Joshua Kadison、Nik Kershaw、Peter Maffay、Guru(Gang Starr:rap)。演奏はAl Di Meola、Steve Lukather、Mike Starn、Steve Khan(元BST)、George Kopecsniというギター陣、Pino Palladino、Anthony Jackson、Victor BaileyにJack Bruceというベース陣にBill EvansやThe Brecker Brothersといった管。Jack Bruceはこのアルバムでは4曲で参加。4曲全部でボーカルを取っているのではなく、他のボーカリストと曲を分け合う形を取っている。ので、結構面白いデュエットとか聴けたりもする。演奏陣を見て判るように確かにジャズっぽいフィーリングはあるにはあるのだが、それもポップスの範疇に入る程度の話である。ロックアンセム満載。好きなボーカリストやプレイヤーがいれば買いです。
V.A.
"Knights of the Blues Table"('97)
ブリティッシュ・ロックの歴史を紐解けば、必ず登場するのがこの盤の主人公Cyril Davies。Blues IncorporatedをAlex Kornerと共に造り上げ、多くのミュージシャンに活動の場を与えたその実績は彼なくして語れない。Jack BruceはDick Heckstall-Smith(sax)、Clem Clempson(g)、Ronnie Leahy(organ)、Neal Wilkinson(ds)というメンバーでCyril Daviesのペンによる"Send for Me"を提供。Cyril Daviesが側にいたら絶対にやらない、と言うJack Bruceはここでハーモニカを披露。Clem Clempson(g/vo)をメインにした"I've Got News for You"ではJack Bruceはベースに専念し、Mark Feltham(harmonica)、Ronnie Leahy(p)、Neal Wilkinson(ds)という編成で録っている。また特筆すべきは、ハーモニカを持つMick Jaggerが弟Chrisと共に"Rackeer Blues"を収録。Miller AndersonやMaggie Bell、Big Jim Sullivan、Peter Green、T.S.McPhee、The Pretty Things、Paul Jones、Mick Taylor等数多くのCyril Daviesと縁深い人達がこのアルバムに貢献している。ブリティッシュ・ロック創成期に思いを馳せるには良いアルバムかもしれません。
Bruce Cameron
"Midnight Daydream"('99)
アルバム発表約1ヵ月後、この世を去った天才ギタリスト唯一のソロ作。Hendrix色は確かに強いのだが、ただのHendrixフォロワーではない。自身の影響としてYes(Howe、Banks両者)、Zappa、Coltrane、Judas Priest等のメタル、The Four Tops、The Temptations等を挙げている通り、非常に豊かなバックグランドを持っており、それを上手く楽曲に反映させ素晴らしい作品に仕上げている。Jack Bruceは"Doctor Please"でAnt-Beeをドラムに"Raining the Blues"という曲でMitch Mitchellを迎えたトリオ編成で良い意味で両曲ともCreamを彷佛とさせる要素を持った佳曲で華を添えている。その他にもBilly Cox(b)、Buddy Miles(vo、ds)というBand of Gypsy組、Michael Bruce(vo)、Neal Smith(ds)というAlice Cooper Band組の他にKen Hensley(key)等も参加。Bruce Cameronが弾くMellotronも良い味を出してます。Ken HensleyもUriah Heep時代を思い起こさせる凶暴なサウンドを提供。これが廃盤というのは納得がいきませんぞ。
The New Gary Husband Trio
"From the Heart"('99)
ドラマーというイメージが強いのですが、自身のグループではピアノ、キーボードを使うGary Husband。Mick Hutton(b:Django Bates率いるFirst Houseにいましたねぇ)、Gene Calderazzo(ds)というメンツで発表された2枚組アルバム。Jack BruceはJobimの"Once I Loved"でボーカルを取る。この曲はLifetimeでも演奏されていたのでお手のものでしょう。ボーカルナンバーではGeorgie Fameの"Deep in a Dream"等がある。またゲストとしてGary Husband作の"Not Even the Rain"ではSteve Toppingのギター(EsquireやRadiusに参加している)も聴ける。
Anthony Hindson and Friends
"It's a Curious Life" ('99)
Anthony Hindsonはサロード奏者として有名なUstad Ali Akbar Khanに師事し、彼のオーケストラ等でも活躍した英国出身のギタリスト。この作品は今まで共演した経験のあるミュージシャンやその友人たちを集めて作られたアルバム。Jack BruceはTony Williamsの紹介で今作に参加する事になった模様。Jack Bruceはタイトル・トラックの他1曲でボーカルを、それ以外にも2曲ベースで参加。タイトル・トラックはDavid Hentschelが共同プロデューサーに名を連ねているから、という訳ではないだろうが、少しGenesis風にも聞こえる。ボーカル・メロディーは完全にインド音楽からの影響がみえる。この曲ではJack Bruce(vo)、Anthony Hindson(g)の他Gary Husband(ds)、Shankar(w vln)、Zakir Hussain(tabla)、Scott Thunes(b:元Frank Zappa)、John Good(flute)、Mark Robertson(synth solo:Cairo)が参加。もう1曲"Kathleen"という曲ではJack Bruce(vo)、Anthony Hindson(g)、Scott Thunes(b)、Mark Robertson(p)、Gary Husband(ds)という編成。インスト物ではJack Bruce(b)、Gary Husband(ds/key)、Anthony Hindson(g)というトリオで1曲とJack Bruce(b)Shanker(w vln)、Zakir Hussain(tabla)、Tony Williams(ds)、Anthony Hindson(g)となっている。インスト物も激しいインタープレイなどは聞かれないものの、T.Williamsとのプレイでは変態的リズムを紡ぎ出し(Zakir Hussainの作曲だ…)、いつものJack Bruceサウンドと相まって独自の色を出している。全体的には、アプローチとしてのインド音楽が背景にあるものの、曲自体はそれほどインド色が強いわけでもない。
Network
"Highly Committed Media Players"('00)
Steve Clarke(ds:元Fastway)率いるアヴァンギャルド・ジャズ・メタル・プロジェクト(このアルバムではメタルって程ではなくなりましたねぇ。ジャズ・ロック寄りです)。多分6枚目のアルバム。このアルバムではLarry Coryell(g:11th House等多数)Pete Jacobsen(key)Ted Emmett(trumpet:National Healthの"D.S. Al Codaに参加)にWolfgang Schmid(b:元Passport)とChris Laurence(b:Elton Dean等セッション多数)が参加。5曲目のJimi Hendrixの"Manic Depression"でJack Bruceはベースとボーカルを担当。この曲はJimi Hendrixの30周忌に際しシングル・カットされた。Jack BruceがこれだけJimi Hendrixのカバーを行うにも、Jimi Hendrixが亡くなる前夜、行動を共にしていたから、という話もある。Larry CoryellのギターとTed Emmettのペットが大活躍のバージョンである(ハマり過ぎって話もある…)。
Golden Palominos
"Surrealistic Surfer" ('00)
Dressed to Killというレーベルから出されたGolden Palominosのベスト。このベストには1st("The Golden Palominos")から1曲、2ndから4曲、3rdから4曲、4th("Dead Horse")から5曲、そしてJack Bruceがボーカルを取る"The Animal Speaks"(2nd収録)がJohn Lydonバージョン共々収められている(バックは同じでしょうね)。John Lydonバージョンではゲップから始まり、パンキッシュ(高い所をヒットさせるけど凄い不安定、とも言う)でJohn Lydonそのもののボーカルを聴かせる。一方Jack Bruceは(当然ながら)ゲップはなし。比べるのもナニなんで。でもこのベスト、John Lydonバージョンの後すぐにJack Bruceバージョンが来るんだよなぁ。比べて下さい、って言ってるみたいですねぇ。
Dick Heckstall-Smith and Friends
"Blues and Beyond" ('01)
British Blues Rockの顔役、Jack Bruceにとってはお父さんのような人、とはJack Bruceの弁。ソロとしては多分4枚目(だと思う…)。Dave Moore(以前にもD.H-Sのソロに参加した事がある)とPete Brownのプロデュースの元、多彩なゲストを迎えて作られたアルバム。緑神Peter Green(元Fleetwood Mac)を始め、Jon Hiseman(元Colosseum等)、Mick Taylor(元The Rolling Stones等)等々が呼ばれている。Jack Bruceが参加した"Hiddeen Agenda"はDick Heckstall-Smith(sax)、Dave Moore(keys)、Clem Clempson(g:元Bakerloo、Colosseum、Humble Pie等)、Gary Husband(ds)、David Hadley(b:元After All)という構成。音楽は Dick Heckstall-Smith、歌詞はPete Brownが手掛ける。Dick Heckstall-SmithがコメントしているようにClem Clempsonのしなやかなギター、Dick Heckstall-SmithとJack Bruceの咽び泣くようなサックスとボーカルがマッチしたスローな曲(でも重い)。
Gov't Mule
"The Deep End Volume 1" ('01)
こちらを参照。
Man Doki
"Soulmates" ('02)
前作と同じ路線のMan Dokiの作品。ゲスト陣もほぼ同じ。ボーカルではChris Thompsonが参入。Jack Bruceは今作では6曲で参加。参加の仕方も前作同様ボーカルを他のボーカリストと分け合う形でロックアンセムを歌い上げる楽曲で占められている。単純に曲が良いです。お祭りアルバム。
V.A.
"From Clarksdale to Heaven
Remembering John Lee Hooker('02)
John Lee Hooker没後1年後に出されたトリビュート盤。主にBritish Blues Rock勢のメンツによる物。Jack BruceはGary MooreとGary Husbandのトリオで"I'm in the Mood"と"Serve Me Right to Suffer"を演っている。前者でJack Bruceはボーカルを、後者でGary Mooreがボーカルを取っている。その他にもJeff Beck、Gary Brooker、T.S.McPhee、Mick Taylor、Andy Fairweather-Low、Dick Heckstall-Smith、Peter Green等が参加している。また、ボーナストラックにJohn Lee HookerがJimi Hendrixトリビュート用にBooker TやRandy Californiaと録った"Red House"やJohn Lee Hookerが01年に録音する予定だった"The Business"(作曲はRobert HunterとGreg Anton)も収められている必携盤である。
John Cage
"The Works for Piano 5" ('03)
これまでも幾つかのJohn Cage('12-'92)の作品を取り上げてきたアルゼンチン・ピアニストHaydee Schvartzによるもの。ここでは'33年に作られた"Three Easy Pieces"、'44年作品の"Soliloquy"と"Four Walls"の3作品が収められている。Jack Bruceがボーカルを入れているのは"Four Walls"の中の"Act I SceneVII"(3:01)。つまり"Four Walls"はダンス劇であり、Merce Cunningham(choreographer、振付師?かな?)とJ.Cageのコラボレーションとして発表された作品。Jack Bruceが歌うテキストもMerce Cunninghamによるものみたいだ。こういう作品にも登場してしまうところが、Jack Bruceの懐の深さなんだろうな。Michael Mantlerの諸作のポエトリー・リーディングみたいな作品も多く残しているので、こういう作品も得意なのでしょう。
Vibe Tribe featuring Richard Schumacher
"Views" ('05)
Richard Schumacherのギターを中心に置いたジャズ・フュージョンを下敷きにしたAOR作品(インスト曲が2曲)。Jack Bruceはブルージーな"Here I Am"とダンサンブルな"Speak to Me"で落ち着きのある、しっとりとした情感豊かな喉を披露している。Jack Bruceが声だけのゲスト参加をするとどうしてもベースに耳がいってしまうが、ベースは9曲中5曲(Jack Bruce参加曲含む)でYellowjacketsのJimmy Haslipが演奏している。また、冒頭の"The Sign"はEric Bibbがリード・ヴォーカルで参加しているのも見逃せない。"African Chant"は正にタイトル通りのトロピカルな雰囲気を持った爽やかな曲。表題曲はEnglish HornとFlugelhornがメロディーを奏でるフュージョン・インスト曲。そして最後にRichard Schumacherのクラシカル・ギターとMitchel Formanのピアノが織り成す"Eyes of the Heart"で締め括られている。
Vargas Blues Band
"Love, Union, Peace" ('05)
本作はスペイン生まれアルゼンチン育ちのギタリストJavier Vargas率いるVargas Blues Bandの8枚目のスタジオ作。基本的編成はJavier Vargas(g)、Earnest Williamson(key)、David Smith(b)、Steve Potts(ds)というもの。Jack BruceはCreamを意識したミッド・テンポのブルーズにベースとヴォーカルで参加。キーボードに(Stevie Ray Vaughn)Double TroubleのReese Wynansが参加。その他にもSantanaのようなラテン・ブルーズ・ロックを披露する"Tiny Paradise"と"Exotic Mambo"ではAlex Ligertwood(vo)が参加。Glenn Hughes(vo)を擁したスライドを使ったプレイが印象的なスローブルーズ"Sad Eyes"やElliott Murphyの牧歌的なヴォーカルが聴ける"Deep Blue"などがある。またGreg Allmanの息子Devon Allmanは"Dance Away the Blues"、"How Verso are You?"(若い頃のDavid Coverdaleを思わせる)と"Magic of the Gods"(こっちはちょっとPaul Stanleyっぽい)に参加。"Aguaclara"ではJuan Gómez "Chicuelo"のフラメンコ・ギターをフィーチャーし、Javier Vargasの泣きのギターがSantanaを思わせる。レコーディング風景を収録したDVDではJack Bruceの姿も確認出来る。


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